注文住宅

『外・〈外〉・《外》』家の中に家がある!

費用:

2000万円

実施エリア:

埼玉県所沢市

実施時期:

2011年12月

延床面積:

87平米

内容:

樹木の下、タープの下、バンガローの下。アウトドアライフでは、「外」という一言ではあまりある、様々な光や空気の状態を満喫することができる。
私達は、そんな豊かな住まいを目指し、開放的な環境を望む崖地に、徐々に室内化の深度を増してゆく、幾つかの層を持つ家をつくった。
庭で獲れた野菜の保管や物干しの場となる土間=〈外〉は、最も外に近い場所である。そこに射し込む光は、木製ルーバーにより細分化され、木毛板やOSB等の肌理のある仕上を照らすことで、更に細密化される。こうして、木漏れ日のように砕かれた光と現わしの架構によって、〈外〉に樹下のような雰囲気が生まれる。ここで、防火壁と兼ねて使用した木毛板は、熱伝導率が断熱材並みに低く(0.069w/mk)、〈外〉がつくる空気層と併せて、その内側にある居住空間の快適性を高めている。
〈外〉から、更に室内化された食事室=《外》の天井は、異なるポリカ波板をパターン貼りして3段階の透明度を持たせている。木漏れ日がタープに陽と影の斑模様を描き込むように、この天井で拡散した光は、頭上に豊かな表情を描き出す。
《外》と建具で仕切られた最も室内的な場は、構造用合板とOSBで囲われた小さな小屋である。木毛板を下見板貼りとした屋根、雨戸風の引戸といった風貌はキャンプ場に佇むバンガローのようである。
こうしてできた、外から続く三つの層は、平面的にも立体的にも重なり合う。特に、ふと見上げた時の重なりは、景色のような遠さを感じさせ、平面的な奥行感とは異なる、名状し難い深みをこの家に与えている。

明るいリビングダイニング

透明な天井から光が差し込むダイニング。
その上部には緑豊かなロフトが。
右手は4帖ほどの居間。ダイニングと土間を開放することで、狭さを感じさせない空間。
高齢者夫婦のため、全て、上吊の引き戸とし、床には敷居もレールもなく、フラットで安全。

ダイニングを開放した状態

この家のなかには4つの小さな家がある(2つの個室と居間と風呂)。
手前は個室、正面が居間。その先が土間。
小さな家に挟まれるように透明な天井を持つダイニングがある。
寒いときは小さな家を閉めて暖を取ったり、中間期は全ての引き戸を開け放ち、南北の通風を得ることができる。

土間を閉めた状態

土間側の引き戸を閉めた状態。引き戸の明り取り(緑の部分)と居間の飾り棚の高さを合わせることで、閉じた時の居間の囲われ感を出した。

居間の引き戸を閉じた状態

居間の引き戸を閉めた状態。引き戸は昔の雨戸のようにわざと桟をデザインし、閉めると小さな家の外壁を思わせる。
ダイニングの個室感が増し、この空間が家のなかで2番目に外に近い場所(光が降り注ぐタープの下のような)だと感じる。

光が降り注ぐダイニング-open

ダイニングはシンメトリーな空間で、屋根裏を透明な天井越しに見ることができる。屋根のトップライトの光が、透明度の違う波板をパターン張りした天井で拡散し、まるでタープの下にいるような感じ。夏冬の空気を天井扇で調節する。
正面上部は緑にあふれたロフト。家族の趣味の場所である。

ギャラリー・読書室・サニタリースペース

ここは家の中で最も外に近い場所。そこに面するのは離れのような個室と浴室。両親の個室とのプライバシーを確保するため、この場所はある。
この場所はご主人の趣味の写真を飾るギャラリー。子供が寝そべって読書する場所、そしてサニタリースペース。洗面台は外部のような場所にふさわしい、素朴なステンレスシンクとガス管で作った。

光あふれる離れのような風呂小屋

雑誌「LiVES」のバスルーム特集でも話題の、光あふれる離れのような風呂小屋。
天井ルーバーから光が入り、床のヒノキのすのこが気持ちがいい。壁はシナべニアの雰囲気を残しながら、透明なFRP防水を施し、光によって金色に輝く。夜は、船舶照明の素朴な光が心地よい風呂である。
正面は半透明波板によって土間と仕切られているが、土間までを風呂の広がりとして感じることができる。

緑あふれるロフト

ロフトからダイニングを見下ろす。
冬も暖かいロフトは植物がよく育つ。
家族の趣味の場所でもあるロフトは、生活に奥行きを与えてくれる、とても気持ちのいい場所。

夕景とライトアップされたダイニング-closed

夕景のダイニング。引き戸を閉めて、個室感を出した。屋根のトップライトから夕景の空が見え、屋根裏のライトアップすることで、ダイニングを魅力的に引き立てる。

素材感のあるコンパクトなキッチン

キッチンはパブリックなゾーンと位置づけ、外部でも使うような素材、フレキシブルボードで全体を仕上げている。
ダイニングに面したキッチンだが、閉め切ると個室にもなり、来客時は便利。
主婦の動線をできるだけ短くする狙いで、キッチンの奥の土間には洗濯機置き場と室内干し場、そして、庭へのアクセスである勝手口を設けている。
流し台の背面は食器、キッチンツール全てが収まる収納壁となっている。

ユーティリティな土間

洗濯機置き場、室内物干し場、通路、漬物の保管、農具置き場、ごみ置き場など、さまざまな機能をもつ土間は、とても便利な空間。

離れのような土間付きの個室

子供世帯の個室は、離れのような設えとした。
専用の土間を持ち、部屋の一部のように使うことができる。
4帖ほどの小さな個室だが、押入れやクローゼットを別途設けているため狭さは感じない。
左正面の障子は3枚に分かれており、雪見障子のように、用途に応じて閉めたり開けたりできる。
障子は断熱性に優れているので暖かい。

クローバー畑に面する大屋根の平屋 外観

崖上の開放感のある場所に建つ、大屋根を持つ平屋。
外壁の上部は透明波板とし、下地となるルーバーは、そのピッチをコントロールすることで、冬の日差しをふんだんに取込み、夏の暑い日差しは遮ることに成功した。外壁下部は素朴かつ丈夫なスレート波板。工場や倉庫のような質感の素材をあえて使うことで、普段着のような、ラフな雰囲気を出したかった。
夏はウッドデッキでビール片手に花火を見ながら夕涼みできる。小さな庭はクローバー畑で、一画には施主のための家庭菜園を設けた。

夕景のダイニングからみた空

夕景のダイニングから空を見るととても神秘的である。
月も毎日形を変えて、楽しませてくれる。
家の中でありながら、タープの下で食事をするような開放感がある。

室内の光が行燈のように灯る夜景

夜は、生活の明かりだけで、行燈のように光る外観。
帰宅につく家族を優しく迎えてくれる。