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外部環境を適切に取り入れることは、内部環境を豊かにしてくれるが、東京の高密度の住宅地ではプライ バシーの確保と開放感の狭間で、それの繊細な調整が必要になる。敷地は南側前面道路以外を隣家で囲まれていて、特に北側は集合住宅の 開口部がこちらの敷地を見下ろすように並んでいる。このような環境の中、自らの壁面でプライバシーを確保しつつ、中庭を中心に1階からR階まで立体的に渦を巻き、自然に回遊できるような平面計画にし た。中庭だけでなくルーフバルコニーも植栽され、住まい手は内部を移動する過程で、プライバシーを気にすることなく、開口部から立体的に光や風の変化、緑の豊かさを感じることができる。現代の日本において、適正な価格で自然素材や職人の仕事だけで住宅をつくるのは難しい。美しい経年変化や自然なムラを期待して、無機的な工業製品や既製品を排除して 自然素材を使用しつつ、職人による人為的な操作も排除した。外壁では職人の手業ではなく、材料の水分含有量の誤差によって自然なムラをつくり出し、ファサードの石積壁はコストをおさえるために、このために切り出した石と商品化され規格化された石を組み合わせている。