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金沢市の浅野川に面する11階建てマンションの住戸のリノベーション。昭和60年代の景気の良い時期に建てられたマンションで、リビングの南面は大きな開口部、ドイツ製のシステムキッチン、部分的な床暖房などが備えられていたが、シングルガラスのアルミサッシによるコールドドラフト、窓面の結露により住環境は良いものでは無かった。重厚な色彩の造作材、室内に露出する柱型・梁型によって狭苦しい感じの空間を、明るくスッキリとさせ、収納を増やすことが求められた。
約16帖のLDKを中心に、玄関、廊下、トイレの改修を行った。
バルコニー側のアルミサッシはマンションの共用部分のため、ガラスの交換などはできません。内側に樹脂製のインサーサッシを取付けることによってサッシの二重化を図り、さらに無機質なインサーサッシを隠すために太鼓張りの障子を設置しました。時間帯によって、日差しによる陰影が障子に映りこみます。
テレビの置いてある中央部分は、既存アルミサッシが嵌め殺しガラスになっているため、バルコニーへは両サイドから出入りします。中央の障子は開けてもガラスがあって出入りできませんが、ガラスの掃除などのメンテナンスのために開けることもできるようになっています。
テレビの置いてある中央部分は、既存アルミサッシが嵌め殺しガラスになっているため、バルコニーへは両サイドから出入りします。中央の障子は開けてもガラスがあって出入りできませんが、ガラスの掃除などのメンテナンスのために開けることもできるようになっています。
右奥は既存の和室につながるふすまです。テレビ上部の天井には天井カセット型のエアコンを設置しています。カーテンが障子に変わることによって、その奥に空間がつながっているような感覚となり奥行きを感じることができます。また、シンプルな窓廻りになり、カーテンだまりの空気の淀みによる結露も解消されました。
対面するもう一方の壁は、しっくい塗りの素材感のある壁としています。この壁には洗面所へ行くための引戸を設けています。改修前は、洗面所へは一度廊下へ出てから行く必要がありましたが、廊下の一部をリビングとして居室化することによってゆとりができ、生活空間から直接行き来できるようになりました。
キッチンは、壁面に収納とガスコンロを設け、リビング側に向かってシンクと作業台の対面キッチンとなっています。もともと壁に向かってキッチンが設置されていたため、排気ダクトの取り回しや、コンロ廻りの汚れ防止のためにコンロのみ壁面に向かって独立しています。 人工大理石のカウンタートップはシンクとシームレスでつながっています。キッチン左側の出窓の小さなカウンターも人工大理石で高さを揃えて一体化してキッチンの延長として使えるようにしています。シンクの奥には、リビング側への水はねを防止する強化ガラスの小さなスクリーンを設けています。
一方の壁面にはアクセントカラーの青色で天井いっぱいの収納家具を設け、室内に露出していた柱型を収納の内部に取り込んでフラットな壁面と大容量の収納になりました。既存の照明器具は撤去し、数カ所のダウンライトを埋込み、その他は配線ダクトによるフレキシブルな照明計画ができるようにしました。
開口部は奥の方から、既存のアルミサッシ・樹脂製のインナーサッシ・太鼓張りの障子と三重構造になって、コールドドラフトを防止するようになっています。障子も桟の両側に紙を張る太鼓張りによって、外部の環境から室内を守ると共に、光の透過による見え方の変化を楽しむことができます。
既存の内装は、濃色の茶色を使った重厚な造作材を使い、天井いっぱいの食器棚カウンターがキッチンスペースを分けていました。左側は、玄関につながる廊下からのドアでキッチンへはリビング空間を経由して行く必要がありました。右側の壁には柱型が飛び出し、その間がテレビや冷蔵庫などの家電製品置場となっていました。
改修前のリビングは、南向きのバルコニーに向かって大きなアルミサッシの開口部がある開放的なプランでしたが、約30年近く前に建てられた当初は、まだペアガラスのサッシは一般的では無く、コールドドラフト(窓辺からの下降冷気)と結露が問題となっていました。