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【3つの中庭と居場所が連なり混ざり合う住居】
南庭、東庭、北庭と3つの中庭のある住居である。
人が集まる事のできるゆったりしたスペースと中庭がある事をご要望された。
中庭住宅というテーマの中で、1つの中庭を象徴的に空間の中心に据えると室内空間のシークエンスは単調になる。その事を避け、歩くたびに様々なシーンが移ろう豊かなシークエンスを生むべく中庭を象徴的な扱いにせず、居場所の間に混ぜていくというような意識で設計を行った。
3つの中庭と複数の居場所とは、それぞれ違った距離感で関係を結び、違った奥行を見せる。庭の奥、または庭の手前に生活のシーンが感じられ、重なり合うような空間の奥行を感じさせる。
また、中庭を含めた全体を平屋のワンルーム空間のように連続させつつ分節し、冗長にならないように居場所ごとに適した天井高や床高を与え、空間のリズム感を生み出すよう意図した。
空間をデザインする際に、私が常に意識する事がある。南仏の「ル・トロネ修道院」を訪れて以来考えるようになった事であるが、籠るような「内省」と、開放的な「陽気さ」がまるで映画のようにシーンの連なりとして同じ建築に共存している状態が魅力的だと考えている。それは人の性格と同じで一面的でない方が心地良く飽きがこない。私が思案し続けたいのはそれらがどうすれば美しく連なるかである。
プライバシーを大事に考え、心地よい安息のある中庭の家をご要望頂きました。
3つの中庭を感じながら移ろう空間の流れのようなものを最も大切に扱いました。