マンションリノベーション・リフォーム

I宅 内部改修 マンションリノベーション

面積:

73㎡

築年数:

1975年

エリア:

大阪府吹田市

実施時期:

2015年

内容:

築40年のマンションをリノベーションしました。
施主のIさんご夫婦がこの住戸を購入してから35年。子供が生まれ、その子たちも大きくなり、現在は下肢に障害を持つ娘さんとの3人暮らしです。

*大阪のすまい力アップ 第4回リフォーム・リノベーションコンクールにて特別賞を受賞しました。

建具は主にラワン合板を使っています。ラワンと言ってもいろいろ表情があるので工場に行って選びました。
建具以外で使っている木材と色味が合うように柿渋塗料で色をつけて仕上げました。引手には襖で使う木製のものを使って。

細かいところに目を向けて。こちらは排水管に麻縄を巻いたものです。
普通は壁で囲って隠してしまいますが、今回は居間から風呂場までの動線の途中にあって、少しでも有効な通路幅をとりましょうということで壁で囲わず、かつ触れてもいいように、というより触れたくなるような素材で仕上げました。

自宅で仕事をされているご主人のためのワークスペース。
スキャナーやプリンターの設置スペースと本棚を用意。その下は通風地袋になっています。

思い切って家具もそろえたいということで、天童木工のショールームにお供して選びました。
ブルーノ・マットソンがデザインしたチェアとテーブルによるダイニングセット。同じく、ブルーノ・マットソンデザインの格別座り心地のいいイージーチェア。

キッチンは既製品と家具工事で作った吊り戸を組み合わせています。

風通しのために、押入れに風の通り道となる地袋(じぶくろ:足元に作る収納。)を作りました。部屋と部屋がつながり、気持ちよく風が通ります。

夏は風通しをよくして過ごしたいということで、襖の開閉で通風を調節できる地袋(じぶくろ:足元に作る収納。天井近くに作るものを天袋といいます。)を作りました。手前側は押入れ、向こう側にはクローゼット収納があります。

床はパイン材のオイルフィニッシュ。
床で寝そべって過ごすことの多い娘さんのためにも、無垢の床材と健康に配慮した仕上げはたっての希望でした。

右手奥にみえる扉はLDKへ通ずる引き戸で、車椅子に対応して幅を1mにしています。
枠に掘り込みをいれて、閉めたときに建具がはまり込むようにしているのと、建具の底につけた毛束で床との隙間をふさいで、隙間風を軽減しています。

現場監督が作った、浴室用スロープです。建具と同じ柿渋塗仕上げ。床はコルクタイルです。

洗面台まわりもコンパクトにまとめ、なるべく介助スペースをとれるように。

娘さんを抱えて通る洗面室への動線は、介助しやすいように広く、扉は引き戸に。引き戸は、ラワン合板という素朴な材料に柿渋を塗って表情をつけています。
で右に見えている配管は、排水管です。以前は壁の中に隠されていましたが、できるだけスペースを取るために露出させました。そのかわり、麻縄を巻いて触りたくなるように仕上げています。

打合せのとき「お父さん、この部屋2畳だって…」と驚きと不安を隠せなかった奥さんの表情が忘れられません。玄関が広くなって、しわ寄せをくったのがこの2畳間ですが、すまい研究室の狭さを感じさせんとする工夫の甲斐あって、完成後の評判は良好です。

娘さんは外では車椅子、家では抱えられて移動するということで、玄関や風呂場まわりの狭さが問題でした。さらに玄関は内開きでありながら、土間の奥行きが十分でなく、使いづらさを助長していました。

まず始めに、玄関の使い勝手を改善することを考えました。土間が広げ、介助しやすい玄関にしています。手前に向かって緩やかな勾配をつけてスロープ状にし、車椅子を使うことに配慮しました。将来、手すりをつけるための下穴もあけています。

LDKとその隣にある和室は襖でしきります。
欄間部分をすかして目線を通すことで閉塞感を感じないように。
暖房の効きを心配されていましたが、ベランダの窓の断熱性を改善するために設置したインナーサッシの効果もあって、基本的にはオイルヒーターだけ。よほど寒ければエアコンを使って快適に過ごされているとのことです。

この住宅事例を手掛けた建築家

すまい研究室一級建築士事務所

建築家 / @兵庫県

【暮らしのうつわを丁寧につくります】 すまい研究室 一級建築士事務所の設計理念 1. 未来に価値を届ける どんなすまいにしたいかを考えるとき、完成直後の姿ではなく10年後20年後を想像してみてください。 建築の寿命は長いものです。 あなたが小さいときに過ごした家は、現在どうなっているでしょうか。 新しく完成する建築が同じくらいの時を経たときにも、価値を感じてもらいたいと思います。 時を経て熟成していくような建築を目指しています。 2. 自然を感じる建築をつくる 魅力的な空間は建築物だけで成り立つものではありません。 建築という人工物には、光・風・土・緑が欠かせない存在です。 すまい研究室は自然と建築の関係を大切にしています。 それらをどう取り入れるか、外と内とのつながりや建物の外部にも気を配ります。 ちいさな隙間にある木立や、一鉢のグリーンであっても、居心地のいい場所に自然は必要です。 3. 合理的であること+α 経済的であること・安全であること・環境に対して配慮することが建築の必須条件です。 しかし、それだけでは人にとって居心地がよくて魅力的な建築にはなりません。 ちょっとした遊び心・美しくまとめること・ホッとできる雰囲気、そんな合理性から少し寄り道したあたりに、すまい研究室の目指す建築があります。