注文住宅

南城戸町の家

面積:

96㎡

エリア:

奈良県奈良市

実施時期:

2012年

内容:

敷地は「ならまち」の景観規制地区内にあり、近隣には2階建て町家や店舗が混然と建ち並んでいる。
生まれ育った町並みの景観が年々損なわれていくことを憂えられた依頼主は昔ながらのならまちの風情ある家を希望された。
敷地は西入り、間口6.3m、奥行15m、奥行方向に1.2m近くの高低差があった。
これらの条件から、内部は半階ずつずらしたスキップフロアで各空間をつなぎ、動線である階段吹抜けやその上の天窓や高窓、階段の側壁格子等を利用して内部を風や光が巡るように工夫した。
ファサードは黒く染めた板壁、前面に急勾配で葺き降ろしたいぶし瓦色の金属板葺き屋根、窓格子、間口一杯の格子塀等を配して町並みの色彩や景観に配慮した。又、通りからの視線を緩やかに遮りつつ、通りと内部が自然に繋がるように心掛けた。
ご主人の趣味の日曜大工やバイクいじりの場である外土間を挟んで、2階外壁はおもての格子塀から2間程奥へ引き込んでいる。又、前述の半階ずつフロアレベルをずらすことにより、通りに面して軒高や建物の全体の高さを低く抑えて見せている。これらの操作により、通りを行き交う観光客からの視線を避け、且つ狭い通りへの圧迫感を和らげるようにした。

前面道路からの外観

鈴木 道子

“住まい”に対する想いやイメージは、人により異なると思います。そして、その想いは、幼い頃の心象風景や、積み重ねてきた各々の人生の延長上にあるのではないでしょうか。設計着手前にその敷地に立ち、私はいつも様々な情景を思い浮かべます。土地から受けるエネルギーや、周辺環境からのイメージ、そして、住まい手の方達が語られる想いを重ね乍ら、安らぎのある家族の風景や、内部に溢れる光・風・緑のそよぎを想像します。それらはいつも固有の様々なイメージ゙を持って立ち現れてきます。“住まい”とは…私にとって、生活の基本であり、根幹の場だと思っています。そして、住まい手にとっては、安らぎや居心地の良さが最も重視されなくてはならない場だと思っています。設計プロセスの中で、私がいつも大切にしているのは、そこで営まれる生活を包み込む空間が持つ、精神的な影響力です。そこに集う家族の生活や、意識の変化に、柔軟に対応し、豊かに包み込み、そこに会話や互いへの気遣い、いたわりが自然に生まれる様な、きめ細やかな配慮が為された空間、季節の移ろいを感じ、心豊かに過ごせる空間…そんな空間づくりを、住まい手の想いを大切にし乍ら、優しさを込めて、作っていきたいと思っています。

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