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「土岐の曲り屋」
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0)
敷地は南側に大きく畑がひろがります。
この畑を眺める様な平屋の家に住みたい。
というのがお施主さんのご要望でした。
1)
作る・食べる・憩う・勉強する・稽古する・遊ぶ・お風呂・寝るという居場所と、
内と外の行き来がしやすい、半屋外の光土間を用意して、
長い屋根の下に一緒に並べて配置する住処を構想しました。
2)
そして、この長い屋根を
わずかに、ゆるく、曲げました。
曲がったその先は、空間を移動することで、見えたり・隠れたり。
この緩い角度の作用で、目線を多方向に拡散させています。
室内風景の遠近感や視界変化の楽しさ、
それと、伸びのある大らかさが、少しだけ加味されました。
3)
これからお施主さんが南の畑に、食べられる緑、愛でる緑を育てます。
家族の成長と共に成長する風景が内側にも外側にも展開するような
ゆるやかな骨格を目指して設計しました。
・平屋の家に住みたい。(南側は自家用畑)
・ご主人の趣味の稽古が出来る庇付きの屋外稽古場が欲しい。
・奥さんの仕事場としてアトリエが欲しい。
・親子利用の勉強スペースをリビングに併設して設けたい。
などが主だった当初のご要望でした。
ご主人の稽古場は、子供の遊び場・ビニールプール・青空ランチなど多目的にも活用できるアウトドアリビングとして、プランニングの中心に考えました。
・リビングに近いところでアクセスしやすく
・どの部屋からも様子が見えて
・稽古のための広さ高さを確保して
・光を確保する
光土間として計画しました。
この光土間を家の内部空間の中心に置き、内部空間で挟み込むことで、居住環境の中に遠近感がうまれ、光のボリュームが生まれました。
小屋組みの連続性が強調される長い屋根と、その長い屋根がわずかに、ゆるーく曲がっています。伸びやかに家の中の風景が続きます。
小屋組みを室内に見せる、という方向性をお施主さんと共有した時点で、小屋組みの構造検討、形状検討、室内のみえ方を検証しました。
当初はまっすぐに伸びる連続小屋組みでしたが、計画案FIXの最終段階で、少し曲げて室内の見通しが伸びるようにしました。庭に向かって内側に曲げるか、外側に曲げるか、室内風景を模型で検証した結果、明らかに庭に向かって外側にした方が光土間のみえ方も、玄関からのファーストアプローチも楽しそうなので、外側曲げになりました。
子供部屋は現在の人数より増える可能性もあり、まだ小さい時期のため、建具で間仕切り、可変性を持たせました。建具を開けた状態で、リビングや光土間とも連続した使い方、広がり感を持たせています。
将来、お子さんが大きくなった時に、お子さんが間仕切り計画することも想定しています。将来の余地を用意しました。
1)初期の基本設計時は、配棟計画も含めた何案かの可能性を模型により提案しました。
2)基本案を固め実施案に移る前に、梁の見せ方などを検証するために小屋組みの検討案を模型で提案しました。
3)実施計画中は、素材などのサンプルで確認したり、照明計画や家具計画、建具計画など、ご提案→お施主さんのご検討→フィードバックをそれぞれ行い、確定していきました。
4)実施設計の終盤は、確認事項も増えてきたため、設計者のパソコン画面を一緒に確認できるスカイプ会議も行い、内容が充実しました。
5)工事にはいってからは、特に小屋組みの見せ場など、工務店さんが積極的に材料を選定してくれ、大梁・登り梁・屋根合板・柱など、きれいなものを揃えてもらいました。
6)工事に入ってからは、事務所HPのブログに写真レポートを連載し、この掲載により、お施主さんとの確認もこまめに行えました。又結果として、工事中アルバムが記録として残りました。様子は弊社HPからご覧ください。
7)お施主さん、工務店さん、設計が随時協力して、出来上がりを共有して家造りが出来ました。皆様感謝いたします。
リビングに入ると目に入る光の立体感。光土間(アウトドアリビング)とリビングが一体となって、使い勝手も楽しく広がります。
リビングの正面奥にアトリエが構えます。 スチールサッシの向こうに空間がある、透過性を連続感につなげています。
通りの向かいに大きな木。 焼杉の外壁が迎えます。
焼杉の外壁と、コンクリート バラ板打ち放しの目隠し壁、軒裏の杉板合板の外観。土間コンクリートの芝目地が玄関までアプローチを促します。
南側の畑に長く面した焼杉板の外観。 春になれば野菜や樹々で緑豊かに。
焼杉の黒い外観に挟み込まれた、光土間の白木空間。大型の木製サッシを開くと光土間で腰掛け畑仕事を一休みすることもできます。
コンクリートばら板打ち放しの目隠し壁が玄関ファサードのアクセントになっています。ポストや表札、ドアホンが埋め込まれ機能壁ともなっています。深い軒を見上げると木地の色合いで迎えられます。
玄関引戸はナラ板張り、焼杉外壁の表情にアクセントを添えます。
向かいの大きな木の木漏れ日が落ちる外壁。玄関内はグレートーンの落ち着いたインテリア。玄関内右手に1.3坪のシューズインクローゼット。
玄関引戸を開けると正面にピクチャーウィンドウがあります。窓正面にお施主さんが樹種検討中で春には植樹する予定です。左手には手洗いとその奥にリビングが続きます。
開いた玄関引戸から日差しが入ります。玄関と廊下は屋根形状に合わせた折り上げ天井となっています。玄関方向を見返した正面の黒い杉板貼りの壁の奥にシューズインクローゼットがあります。
リビングに入ると目に入る光の立体感。光土間(アウトドアリビング)とリビングが一体となって、使い勝手も楽しく広がります。左手はアイランドキッチンの腰壁。
切妻の小屋組、梁を見せた内部空間。壁は珪藻土仕上げ。キッチン周りはグレータイル。アトリエのガラススクリーンは黒スチール。アイランドキッチンの腰壁は杉板を黒染色しています。木地仕上げと白珪藻土にところどころ黒とグレーでアクセントをつけています。
キッチンのバックカウンターを長く伸ばして、リビングに親子の勉強コーナーを作りました。キッチン側の吊り棚には食器などを収納し、勉強コーナーの吊り棚は本棚を収納します。キッチンのバックカウンター下には炊飯器やごみ箱、キッチン壁の白い引戸の奥には1坪のパントリーがあります。
SOHOともなるアトリエ。ガラススクリーンと腰壁で間仕切ることで、書類収納量も上がり、又空間としてリビングに次の間ができ、広がりを持たせることができます。
仕事場となるアトリエは、コンパクトでも本棚としては効率的な収納力となっています。デスクカウンターも2.5mの長さ。玄関にも近く来客に備えられ、又家全体を一望できる位置にあります。
家の中全体を見通せる位置にあります。小屋組みの連続感、「ゆる曲がり」の様子がよくわかる眺めです。
光土間の立体感。「ゆる曲がり」具合が分かります。リビングの向こう、光土間の横のスペースは子供部屋です。お子さんが小さいうちは建具をしまい、一体の空間として使います。
光土間に面して3枚引きの木製サッシ。開け放つと一体利用できます。光土間周辺の外壁だけ白木板張り。稽古場・道場としても、お子さんのプール遊びにも、縁側に座って畑仕事の一服したり、等々アウトドアリビングとして活用予定です。
光土間に面した子供部屋は、お子さんが小さいうちは、多目的にも使えるように引戸で仕切ります。使用しない引戸は奥の壁の収納部分にしまいます。
光を透過する引戸(強化障子)で仕切ると柔らかな光に包まれます。部屋分けをする段階ではお子さんたちが間仕切り計画することも期待できます。
洗面所に続く廊下からリビングへの見返しです。「ゆる曲がり目線」の眺めです。廊下の右手は2坪のウォークインクローゼット、左手は独立した主寝室です。
敷地の端から見た外観です。光土間が見え、突き出た玄関部分が通りから視線を守ってくれます。
屋外スポットライトに照らされた小屋組みが木の空間を引き出しています。光土間とリビングの距離感・遠近感が出ています。呼べば聞こえる。目線が行く。広さも確保できている。
小屋組み空間を生かすために、天井からの照明は無くし、天井を照らす照明計画としました。キッチン側の吊り棚上部から間接照明。ダイニングのペンダントライトがアクセントになり、それ以外に照度を確保したいエリアには壁からスポットライト(目立ちにくい器具)を配しました。
ゆる曲がり、の先の奥に続くのは主寝室と洗面所です。廊下の灯りが奥行きを出します。