注文住宅

運ぶ家

実施エリア:

東京都大田区大森町

実施時期:

2015年6月

延床面積:

142平米

内容:

昭和の趣を残す8 棟の木造住宅を順次リノベーションして作りあげてきた大森ロッヂでは、路地を介した入居者間の緩やかなつながりをもつコミュニティが様々なイベントを通じて育まれてきました。
今回その敷地の一角に新築された店舗付き2 戸長屋「運ぶ家」は賃貸住宅建築の新しい仕組みにチャレンジしています。
賃貸でありながら入居者を先に決め、施主、設計者、入居者2 組の4 者により、入居者があたかも自宅を建てるのと同じようなプロセスを経て本プロジェクトは進められました。路面の飲食店舗および2階テラス空間が地域と繋がり、これまでの路地とも繋がります。新しく動き出す街の起点としてこの建築は設計されました。
表面上の仕様のみを比較し、求める賃貸条件を満たす部屋を仲介業者を通じて探すという賃貸不動産の流通の現状では、住まいの本質的価値が語られる事はありません。 投資対象としての賃貸住宅、ハウスメーカーによる画一型賃貸住宅のあり方に疑問をもった私たちは、入居者とオーナーが企画段階から直接結びつくことで、理想の店舗兼用住宅を創り出したい。そういう思いが関係者で重なり開発を進めていく事となりました。
運ぶ家は店舗、テラス、住居スペースと3 層に繋がる空間を2 つ並列させ、2 階のテラスで気配をつなげる設計としています。 既存の木造リノベーション住宅群のデザインテイストを踏襲すべく、準防火地域において燃え代設計を導入しテラス部分に露出させた1 5 0 角木柱よって、3 階住居スペースがお神輿状に持ち上げられる構成としています。
価値を発信する土台を1 階店舗スペース、2 階のテラス( 空中路地) はデザインコンセプトである新しい風をロッヂ全体に吹通す風穴であると見立てています。
運ぶ家はまた入居者の夢を叶える家でもあります。衣食住をテーマにした「y a m a m o t o s t o r e 」店主が手掛けるオリジナル製作鞄を展示。カフェスペースも作られます。「たぐい食堂」のご主人は古いものや民芸が好きで念願のおにぎり定食を出すお店をオープンします。各人の夢を運んで各々が成長する思いも込めて豊富な植栽を植え込みました。
また付帯する中庭には5 . 4 m × 5 . 4 m ( 九間) のタタキを設え、通年のイベント、餅つき大会、夏祭り、新酒ワイン、ピザの会開催時に、 大勢の集まりに対応できるようにしています。

クライアント 個人オーナー
用途 店舗付長屋
構造 木造3階建て
建築面積 56.79㎡
掲載誌 建築ジャーナル2015年9月号No.1242 / 新建築2015年8月号

2階にテラスがある住まい

1 階店舗スペース、2 階のテラス( 空中路地) はデザインコンセプトである新しい風をロッヂ全体に吹通す風穴であると見立てています。

ロフト付きのリビング

3階居住スペース内観。上部にはロフトスペースを設え、空間を有効的に活用している。

2階のテラス

運ぶ家の2Fテラスと既存の東屋及び路地との関係性。

開放的なテラス

2階ルーフ& テラス。街の風景が空間に溶け込む。

北側道路より見る

1階店舗、2階テラス、3階住居の構成。