注文住宅

東山の家2

実施エリア:

石川県金沢市

内容:

建設地の金沢市東山は、細い街路に狭い間口の宅地割りの住宅が建ち並び、伝統環境保存区域に指定された景観上も重要な地区であり、建築の形態や屋根、外壁の色彩なども条例で規制されている。しかし、観光地の茶屋街周辺の景観整備とは異なり、住宅が建ち並ぶこの地区においては、サイディングによる外観や、駐車スペースのために道路から大きく後退した建物によって街並みの連続性や風情が失われている。準防火地域であるため外壁や開口部の仕様も限定され、条例の基準に適合する色彩であれば素材は問われないことにも問題がある。

家族二人が暮らす生活の場は1階にまとめ、2階は全て納戸としている。最小限の駐車スペースを確保した上で、前面道路側の東側を2階建てとして街並みの連続性を保ちながら、敷地奥側の南面に小さな外部空間をとり通風・採光を確保している。

玄関庇と袖壁による防火壁によって隣地境界からの延焼ラインを避けて、玄関廻りに板張りの外壁と木製建具の玄関戸を設け、人を迎え入れる玄関としての雰囲気を創り出している。

夜景

夜間は、玄関ポーチの天井に付けられたダウンライトで玄関戸と板張りの壁面を照らし、囲まれた玄関ポーチ内にあかりをため込み、街並みに無用な光を出さないように計画しています。

和室

和室のふすまを開けると、畳コーナー(仏間)、リビングにつながります。右側は障子を開けて縁側と連続させた状態です。縁側の途中に障子戸と同じ形態の戸があり、リビング部分の縁側と仕切ることもできます。

和室

建物の一番奥にある和室も縁側に向かって障子戸で仕切られています。右側の地窓は、隣地からの視線と西日を避けるために限定された開口部として、主な開口部は小さな庭から つながる縁側としています。

畳コーナー

畳コーナー(仏間)の左側の障子を開けると縁側。正面の右側は奥の和室につながるふすま。

畳コーナー

畳コーナーからリビングを見たところです。4帖半の小さな空間ですが、光が透過することと、上部が抜けていることによって圧迫感の無いスペースになりました。

リビング

畳コーナーが行灯のように柔らかく光る照明器具のようになります。

リビング

障子を開けると畳コーナーとつながります。

リビング

内部はLDKとそれに続く畳コーナー(仏間)を中心に、洋室と和室の個室が手前と奥にあります。左側の窓の奥に見える外部空間が唯一の庭で、奥の和室につながる縁側を経由して居室の採光・通風を確保しています。天井は2階の床下地の28ミリの合板がそのままあらわしとなっています。

正面には、桟の両面に紙を張った太鼓張りの障子でリビング、縁側のそれぞれと仕切られています。手前の照明を消すと向こう側からのあかりが透過して、建具に縦桟のシルエットが映し出されます。障子の上部は桟のみで、閉めていても床暖房されたリビングスペースと一体の空間としてつながっています。

玄関

天井いっぱいの高さの玄関格子戸を開けると庇に守られた玄関ポーチが連続します。

外観

ジョリパット塗りの外壁と板張りの玄関が柔らかい素材感を出しています。建物側面の外壁はコストバランスを考えてジョリパットの吹付工法で仕上げています。

防火壁と庇の先端は見付け寸法を絞り、亜鉛メッキした鉄骨でシャープにみえるようにしています。玄関の木材は米杉という水に比較的強い材料を使っていますが、奥まったところにある木製の玄関戸は風雨から守られることによって傷みにくくなります。

外観

屋根はガルバリウム鋼板葺きで、玄関ポーチの前には庇を出して、迎え入れる玄関としての表情を出しています。庇の出幅と同じだけ隣地側の外壁を延長した防火壁として玄関ポーチ内の外壁と玄関戸が延焼ラインにかからないようにしています。準防火地域では、通常隣地境界から3mの範囲は防火構造の外壁と、防火戸(網入りガラスのアルミサッシ)を設置する必要がありますが、飛び出した壁と庇で隣地から3m以上の距離をとっています。そのため板張りの壁と、木製格子戸を付けることができるのです。