築80年の長屋をリノベ。柱と梁のある陰の場、光庭と一体となる水まわりは陽の場。完成度の高いインスタレーションのよう。

古民家・町家リノベーション

『RE長屋‐ITO2』~新:旧・モダン:和 のコラボ~(古民家再生)

手掛けた建築家

設計を担当

『RE長屋‐ITO2』~新:旧・モダン:和 のコラボ~(古民家再生) (列柱の越しに光庭・水廻りを見る / 表しになった熟成された丸太梁と新しくタイル張りでつくられた水廻りの対比がユニークな空気感を出している。)

列柱の越しに光庭・水廻りを見る / 表しになった熟成された丸太梁と新しくタイル張りでつくられた水廻りの対比がユニークな空気感を出している。

新:旧の対比、モダン:和の対比 が光庭を介して融合されてデザインのコラボレーションが生まれている。

『RE長屋‐ITO2』~新:旧・モダン:和 のコラボ~(古民家再生) (3軒長屋の中央が「RE長屋-ITO2」 /左端は15年前の1件目「RE長屋-ITO」)

3軒長屋の中央が「RE長屋-ITO2」 /左端は15年前の1件目「RE長屋-ITO」

築100年の趣を残しつつ新しくシックに包み込んだガルバリウム鋼板のファサード。3軒並んだ長屋の街並みが風景をつくっている。

『RE長屋‐ITO2』~新:旧・モダン:和 のコラボ~(古民家再生) (玄関から奥行のある空間を感じる /奥に見えるのはタイル張りの水廻り)

玄関から奥行のある空間を感じる /奥に見えるのはタイル張りの水廻り

昔ながらの瓦屋根の玄関ファサードと奥のモダンなタイル張りの水廻りの対比

『RE長屋‐ITO2』~新:旧・モダン:和 のコラボ~(古民家再生) (玄関土間から奥の水廻り /規則正しい列柱の向こうには光庭が抜けて見える)

玄関土間から奥の水廻り /規則正しい列柱の向こうには光庭が抜けて見える

既設の軸組となる柱のリズムを活かしながら、奥の光庭と白い水廻りを見せている。

『RE長屋‐ITO2』~新:旧・モダン:和 のコラボ~(古民家再生) (玄関横の部屋から階段をみる /光を抑制した空間はシナ合板で明るく設えている。)

玄関横の部屋から階段をみる /光を抑制した空間はシナ合板で明るく設えている。

母屋部分の玄関側の開口を抑えてプライバシィを守り落ち着きを感じる部屋である。

『RE長屋‐ITO2』~新:旧・モダン:和 のコラボ~(古民家再生) (玄関側の部屋から奥の光庭と水廻りをみる /木質感を大切にした仕上)

玄関側の部屋から奥の光庭と水廻りをみる /木質感を大切にした仕上

引き込み戸みで部屋が分割できる。階段を上がるとロフト風の寝室に行ける。

『RE長屋‐ITO2』~新:旧・モダン:和 のコラボ~(古民家再生) (光庭側から玄関側を見る /表しの丸太梁が見られる吹抜けは2階ロフトへつながる)

光庭側から玄関側を見る /表しの丸太梁が見られる吹抜けは2階ロフトへつながる

既設であった天井を撤去して丸太梁を見せる。左手にあった通り土間との壁も撤去して大きな吹抜け空間となった。

『RE長屋‐ITO2』~新:旧・モダン:和 のコラボ~(古民家再生) (吹抜けの力強い丸太梁 /2階ロフトとは縦格子の開口部でつながる)

吹抜けの力強い丸太梁 /2階ロフトとは縦格子の開口部でつながる

築100年の趣を見せることで、この長屋の歴史を感じることができる。

『RE長屋‐ITO2』~新:旧・モダン:和 のコラボ~(古民家再生) (曲がりくねった丸太梁 /木質感とアースカラーの設え)

曲がりくねった丸太梁 /木質感とアースカラーの設え

1階はラワン合板、吹抜けの壁は土壁の中塗り仕上げで粗々しく仕上げている。 床は無垢のナラフローリング、天井はラワン合板仕上げ。

『RE長屋‐ITO2』~新:旧・モダン:和 のコラボ~(古民家再生) (母屋の中から光庭と水廻りをみる /陰翳礼讃の光の質感をデザイン)

母屋の中から光庭と水廻りをみる /陰翳礼讃の光の質感をデザイン

シックな空間から明るくモダンな光庭と水廻り空間を見る。陰翳礼讃を感じるための光と闇を演出している。

『RE長屋‐ITO2』~新:旧・モダン:和 のコラボ~(古民家再生) (光庭と水廻りをみる・夕景 /光庭の明るさが抑制されて一体感が増す)

光庭と水廻りをみる・夕景 /光庭の明るさが抑制されて一体感が増す

光庭が外室として全体をつなぎ一体感が強まった。

『RE長屋‐ITO2』~新:旧・モダン:和 のコラボ~(古民家再生) (光庭と水廻りの夕景 /光庭を中心に自然が広がる)

光庭と水廻りの夕景 /光庭を中心に自然が広がる

光庭に面した引き込みを開けると大きくつながるリビングダイニング。

『RE長屋‐ITO2』~新:旧・モダン:和 のコラボ~(古民家再生) (光庭と水廻り・夕景 /白いタイル張りで清潔感を設える)

光庭と水廻り・夕景 /白いタイル張りで清潔感を設える

光庭とのつながりを持った水廻り。写真はガラスの引戸を外して撮影。

『RE長屋‐ITO2』~新:旧・モダン:和 のコラボ~(古民家再生) (光庭に沿った配置のキッチン /キッチンを抜けたら洗面トイレ浴室へ)

光庭に沿った配置のキッチン /キッチンを抜けたら洗面トイレ浴室へ

キッチンの手間に冷蔵庫を置く。水廻りは白で清潔感を出す。

『RE長屋‐ITO2』~新:旧・モダン:和 のコラボ~(古民家再生) (キッチンから玄関側を見返す /既設では通り土間としていた空間)

キッチンから玄関側を見返す /既設では通り土間としていた空間

通り土間として真っ直ぐ延びていた空間構成を活かしている。

『RE長屋‐ITO2』~新:旧・モダン:和 のコラボ~(古民家再生) (光庭に面した洗面浴室 /白いタイル張りでモダンなデザイン)

光庭に面した洗面浴室 /白いタイル張りでモダンなデザイン

大きな引戸で光庭と開放的につながる。写真はアルミサッシを外している。

『RE長屋‐ITO2』~新:旧・モダン:和 のコラボ~(古民家再生) (浴室からキッチン・母屋を見る /光庭を挟んで母屋のリビングダイニングとつながる)

浴室からキッチン・母屋を見る /光庭を挟んで母屋のリビングダイニングとつながる

光庭の向こうに見えるリビングダイニングはユニークな眺め。ブラインドを下すとプライバシィが守られる。

『RE長屋‐ITO2』~新:旧・モダン:和 のコラボ~(古民家再生) (水廻りから見た母屋の景色 /奥行方向につながる空間)

水廻りから見た母屋の景色 /奥行方向につながる空間

光庭がこの長屋の生命の源となる。引き込きみ戸を開けると光庭から玄関側の部屋までつながる。

『RE長屋‐ITO2』~新:旧・モダン:和 のコラボ~(古民家再生) (2階ロフトから階段を見下ろす /小屋組を表したロフト)

2階ロフトから階段を見下ろす /小屋組を表したロフト

既設の屋根裏部屋の上り梁を活かす空間。

『RE長屋‐ITO2』~新:旧・モダン:和 のコラボ~(古民家再生) (2階ロフトから1階のリビングダイニングへつながる縦格子 /小屋組の丸太梁を活かした空間)

2階ロフトから1階のリビングダイニングへつながる縦格子 /小屋組の丸太梁を活かした空間

ロフトとなる屋根裏部屋は天井が低く、こもり感の居心地がよい。

『RE長屋‐ITO2』~新:旧・モダン:和 のコラボ~(古民家再生) (ロフトから1階の光庭を見る  /丸太梁の下のリビング・ダイニングとのつながり)

ロフトから1階の光庭を見る  /丸太梁の下のリビング・ダイニングとのつながり

光庭の風・光がロフトまで伝わる。既設の1階天井とロフトの土壁を撤去してつながった空間である。

『RE長屋‐ITO2』~新:旧・モダン:和 のコラボ~(古民家再生) (夕景の外観 ・3軒長屋の趣のある街並み)

夕景の外観 ・3軒長屋の趣のある街並み

中に入ると大きな光庭があるとは感じられない外に閉ざした外観が面白い。

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手掛けた建築家

設計を担当

用途

賃貸

居住者

その他

所在地

愛知県名古屋市中村区

費用

設計・施工:1100万円

延床面積

70㎡

施工面積

70㎡

改修規模

フルリノベーション (3軒長屋の内の1軒をフルリノベーション)

階数

2階建て

間取り

3K → 2LDK

築年数

100年

期間

設計:5ヶ月 、施工:4ヶ月

完成時期

2019年09月

設計会社

向井一規建築設計工房

施工会社

八神工務

手掛けた建築家のコメント

設計を担当

懐古的な保存ではなく、古き良き物を表しにした上に新しいものを加え対比した、新:旧、そしてモダン:和のコラボレーションである。現代の材料をつかったデザインと、長く熟成された長屋の魅力を融合させてミステリアスな世界を創りだそうと考えた。
新築のみではなし得ない魅惑のエネルギーをもって生まれ変わったミクロコスモスである。

家づくりのきっかけ・施主の要望

名古屋駅西は空襲から免れた築100年の長屋が現存している。少しずつマンションが建ち始め長屋も減りつつある。しかしここに少しでも古き良き長屋の魅力を理解して、喜んで借りてもらいたいというオーナーの2件目のプロジェクトである。

この事例の見どころや工夫したところ

計画は大通りから少し入った築80年になる3軒長屋の真ん中である。左端の長屋は15年前にリノベーションした1件目の「RE長屋-ITO」である。今回も間取りは構造的な既設の軸組みに素直な形状でプラニングをするため同じ構成である。前回から年数が経った分は骨組みに傷みがあったが、補強や柱など長屋の原型である空間構成(通り土間の横に部屋が並び奥に水廻り、ロフトに屋根裏収納)を活かしながら改修を行った。

事例の進み方

母屋の奥は簡易的な増築が重ねられていて半壊状態になっていた。これを長屋本来の光庭に再生して、奥深い暗い長屋に光を落とす、陰翳礼讃の和の空間を演出した。限られた空間をより広く感じるものとするため、水廻り空間は鑑賞できる景色としてシンプルでモダンなデザインとした。光庭と一体となる陽の場である。また、母屋の年を積み重ねて傷ついた味のある柱・梁は表出させ、和を感じる薄暗く落ち着きのある陰の場である。

印象に残っていること

築100年の熟成した母屋に居ながら、新しくモダンにデザインした水廻りを見ていると、不思議な居心地を感じる。新築では成しえない時間がつくった空間に心身が癒される建築になった。

新:旧・モダン:和を対比を融合してデザイン・・・コラボレーション

母屋の奥は簡易的な増築が重ねられていて半壊状態になっていた。これを長屋本来の光庭に再生して、奥深い暗い長屋に光を落とす、陰翳礼讃の和の空間を演出した。限られた空間をより広く感じるものとするため、水廻り空間は鑑賞できる景色としてシンプルでモダンなデザインとした。光庭と一体となる陽の場である。また、母屋の年を積み重ねて傷ついた味のある柱・梁は表出させ、和を感じる薄暗く落ち着きのある陰の場である。

リノベーション前の写真

パース/模型/CG/スケッチなど

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この事例のコンセプト

この住宅の写真

手掛けた建築家

対応業務

注文住宅、リノベーション (戸建)

所在地

岐阜県瑞穂市穂積3057-13 TEL058-322-5721

主な対応エリア

石川県 / 福井県 / 長野県 / 岐阜県 / 静岡県 / 愛知県 / 埼玉県 / 千葉県 / 東京都 / 神奈川県 / 三重県 / 滋賀県 / 京都府 / 奈良県 / 大阪府 / 兵庫県

別途交通費をいただいての対応エリア > 本州

目安の金額

30坪 新築一戸建て

2,100〜3,600万円

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手掛けた建築家

向井一規

@岐阜県