その他

『米倉』二階堂Y邸

種別:

その他

面積:

135㎡

エリア:

神奈川県鎌倉市

実施時期:

2015年

内容:

鎌倉の奥座敷ともいえる二階堂の日本料理「米倉」の新店舗兼用住宅。敷地は薬師堂ヶ谷といわれる覚園寺のある谷戸に位置し、鎌倉の中心地の喧騒から離れた歴史と自然に囲まれた静かな環境である。周囲の自然に溶け込むように、できるかぎり建物の存在を消したいと考えた。木造2階建ての建物は前面道路から離し、平入りの切妻屋根は棟を奥にずらし、手前に下屋を設けることで、手前から見えるボリューム感を減らしている。 西向きの道路側ファサードは日除けと目隠しの機能も兼ねた木製竪格子を全面的に取り付け、軒の出とともに陰影と奥行を併せ持たせ、できるかぎり背後の山の緑に馴染むように心掛けた。

店の客席は建物の一番奥の東側の庭に面した位置にある。訪れた客は長いアプローチ、玄関から内露地、カウンターの脇を抜けて、ようやく席に辿り着く。この行為とシークエンスも和を食する演出のひとつだと考えた。
カウンター席は格子天井で低く抑え、主人との距離感を縮め、落ち着いた空間とする。メインの客席は庭との一体感を高める為、正面の開口部は大きなガラス窓とし、床と地面のレベル差を抑えている。大小2つのテーブル席は、可動間仕切りで1室の広間にもできる。
サービスを兼ねる北側の内玄関から階段で上がる2階は住居となっていて、オープンキッチンのある3間四方の主室を中心としたシンプルな間取りである。 ヨシ張りの勾配天井が寝室上階の屋上テラスへ連続し、居間の高窓から東側の山の景色が望める。

このプロジェクト事例を手掛けた建築家

平林 繁

建築家 / @神奈川県

自然素材につつまれた『呼吸する家』 本来、日本の住宅(民家)は自然素材でできた風通しの良いものでした。それが現代社会、現代生活のなかで、いつの間にか人工的な材料や工業製品でできた息苦しいものになってしまいました。シックハウスといわれる住宅やエアコンをつけないといられない住宅といったものです。もちろん、現代の住宅で開発された断熱性能、耐震性能、耐久性、経済性などすべてを否定することはできません。昔の民家のもっていた良さを現代の住宅に活かした現代民家『呼吸する家』をめざしています。 エネルギーをできるだけ使わずに、快適に暮らしたい。地球温暖化や化石燃料の枯渇、脱原発がいわれる今日ではそう思わない人はいないでしょう。 風が抜ける家がいい。空気の流れをデザインし、風を呼び込み、自然対流による自然換気を促します。敷地、地形から夏と冬の風向きを考え、風の出入り口と風の流れるルートをデザインします。暖かい空気は軽く上に上がり、冷たい空気は重く下へ下がるという重力も利用し、建具を開閉することで、季節にあった状態にコントロールします。 もちろん窓は風と同時に光も取り入れるわけです。自然光をいかに室内に取り入れるかも同時に考えなければいけません。朝の光、昼の光、夕方の光をどれだけ室内に取り込むか。光のコントロールは近隣や道路が接近する敷地に住むために、プライバシーにも関係してくる現代住宅では欠かせないものになっています。 そして、自然素材の持つ調湿、脱臭、浄化作用を最大限に活用します。珪藻土、漆喰などの土壁や無垢のフローリングなどは経年変化を楽しむ素材でもあります。室内の空気を良くする自然素材のもつ暖かいテイストを住宅のデザインに盛り込みます。 このような細かな気配りの集積が大らかな空間、環境を生み出すことになるのです。 木漏れ日を浴びながら、そよ風が通り過ぎる、そんな快適な室内環境を目指します。

平林 繁

建築家 / @神奈川県

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