戸建リフォーム・リノベーション

松楠居

面積:

251㎡

エリア:

福岡県中央区

実施時期:

設計期間2008.10~2009.8、工事期間2009.8~2010.1

内容:

昭和11年に建設された木造2階建の住宅を、事務所+多目的スペース+店舗へと改修するリノベーション・プロジェクト。70年来、この土地で歴史を刻み続けている建物を、鑑賞対象としてではなく生きた形で活用しつつ、同時に周囲の建物などと一体となって構築している風景を次世代に引き継いでいくことが期待された。第1期の外装周りの補修と復原および構造補強工事、第2期の段階的な内装工事を経て、都心の場所性をいかした現代の用途のもとに空間がコンバージョンされ、あらたな歴史が刻まれ始めている。ただし、建物内部の木部の材料と仕上げに関してはすべてオリジナルの状態が保存されており、必要に応じていつでも建設当初の様子に戻すことができるように計画されている。左写真は改修後の佇まい。建物までも含めた街の景観を失わないように、外観に関しては徹底した復原を行った。

主体構造 木造軸組在来工法
基礎 コンクリート布基礎
規模 地上2階建
軒高 7.560m
最高高さ 9.495m
敷地面積 462.44㎡
建築面積 161.15㎡
延床面積 251.51㎡

Completion in 2010/
Daimyo Chuo-ku Fukuoka,
JAPAN
撮影:深見亮介

二間続き(6+8畳)の部屋の建具をすべて取り払い、広縁と一体となった多目的スペース。木製のルーバーをデザインコードとして、欄間や空調の吹出口を構成。奥の床の間の壁面は左官職人の原田進氏によるもので、下地の風合いをそのまま仕上げとしている。
撮影:深見亮介

大名の街を見渡す、眺めのよいオープンキッチン。広縁の出窓部分を利用してあらたに設置された。キッチンに限らず、設備に関しては新しい機器が全面的に導入されている。
撮影:深見亮介

階段の突き当りには、イベントに関連した演出を行なう床の間を設置。
撮影:深見亮介

木材、塗り壁、和紙といった自然の素材感で構成された室内。うっすらと庭の様子が感じられる木製ルーバーの透かし。
撮影:深見亮介

グラフィックデザイナー先崎哲進氏との共同作業による欄間。スチールのフラットバーを曲げ、流れるような松の造形を表現している。
撮影:深見亮介

竪格子の間仕切りは筬欄間との意匠性を考慮しており、蕎麦屋の客席と庭を、適度な距離感でやわらかく遮っている。
撮影:深見亮介

床からの間接光による非日常的な招き入れの室礼。
撮影:深見亮介

デッキ材と玉砂利によって外部空間を室内に取り込む。もともとは土間空間であったところを、現代版のデザインとして再現し、土に潜んでいた記憶を視覚化している。
撮影:深見亮介

伝統的な日本家屋がもつ、ほの暗さの中に浮かび上がる建具のバリエーション。
撮影:深見亮介

このプロジェクト事例を手掛けた建築家

佐野正樹

建築家 / @福岡県

オランダに留学していた頃、アムステルダムは住宅事情がとても悪く、2年弱で4軒のアパートを転々としました。いろいろな箱の中で生活をしてみて、意外に人間の暮らし方には適応力があるものだと感じています。 日常生活が、効率よく“場”を使うことだけではあまりにも味気がないですし、“場”の方から人々の活動を誘い出すことで、思いがけず暮らしの幅も広がっていくのではないでしょうか。住まわれる方々との共同作業を通し、ありきたりではない十人十色な生活をサポートする住環境をつくりだせたら、とそんなことを考えながら設計をしています。

佐野正樹

建築家 / @福岡県

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