注文住宅

居久根の家(宮城)

実施エリア:

宮城県東松島市

実施時期:

2017年竣工予定

延床面積:

100平米

内容:

広義の仙台平野沿岸に見られる「居久根」の配置の考えを建築的に翻訳した平屋建ての住まいです。

震災以降、減災林としての居久根の存在意義が見直されて久しい中でも、高齢化する場合、屋敷林の手入れもままならなくなり、伐採することもあるといいます。このような地域における建築のあり方としては、上手に自然を翻訳しなおし、地域の防災・防風林的機能を代替・維持するというのもひとつの「地域の課題解決の方法」です。意識を敷地内だけに縛るのではなく、近隣や地域全体にまで拡げることで、その場所に建築することの意義が見えてくることは少なくありません。

プログラムは、介護・介助・リハビリテーション/趣味と地域の拠点/分家における継承・非継承/休耕地の運用/震災後の暮らし/施主支給の木材調達の管理など「極めて多層的」です。

基本事項として、ケアを要する家は、広義に縮小社会といっても、具体的に容易に縮小でき得るものではなく、ケアに係る空間は削れないどころか変化する身体への冗長性やプライバシーを設えておく必要があります。 まず、車いす利用者の在宅ケアを第一の目的としたゆるやかな一室空間としての「主屋」を考え、地域住民と交流するための趣味室と支援する家族のための「ちいさな門屋」を併設させ、将来的に減築も容易な構成をとっています。

主屋と門屋のあいだには心地よいヒューマンスケールをもった静穏な北中庭が設けられ、それぞれの行為をつなぎます。さらに、門屋は「建築的居久根」となって、この地域の厳しい季節風を和らげ、北中庭の静寂とと主屋を守る役目を果たします。

このように、人の行為をつなぐ空間と、地域と家をつなぐ構成を連続的に計画し、多層的なプログラムをフラットに、さりげなく解決しようと試みているのが特徴です。

建物がなぜそこに置かれるのか?なぜそこに置くべきなのか?という「配置の基本的解釈」とでもいうべきことを疎かにせず、家屋を地域環境を長きに渡り形成・持続してきた風土につなげることを大切にして進めています。