別荘

Viila S

種別:

別荘

実施エリア:

神奈川県箱根町

実施時期:

2013年

延床面積:

114平米

内容:

日常生活の場である住宅とは違い、そこから離れたリフレッシュを目的とした別荘には、何らかの非日常性のようなものが必要となる。施主の要望もまた、住宅的な日常性・利便性よりは非日常性であった。
それは自宅の白を基調にした明るい空間に対して暗く落ち着いた環境であり、見晴らしの良い開放性というよりは自身の内面を見つめるような(施主は、バリのウブドのリゾートのようなと表現された・・・)空間であった。
敷地は、箱根の古くからの別荘地芦之温泉にあり、前面道路から南東に下る傾斜地である。鬱蒼と茂る木々の間からは遠くに小田原の風景を望む事ができる。 設計のテーマは、この敷地の特徴を活かした「別荘ならではの楽しみや体験の場」を如何に作るかということであった。
そこで、家型のフレームを傾斜した地面の上に水平に置き、斜面とフレームの間に「場」を生み出そうと考え、傾斜に沿って三段の水平面をつくり、等高線の振れによって歪められた四角の平面形の家型のフレームを最上段のレベルに置いた。木造の軸組構造で構成されたこのフレームの内側にはメインの架構の柱は一本もなく、家型の空間と段状の床面によるシンプルな内部空間が形成されている。そして、そこに新たに2階の床面(一番下の床面の上には2階を作るのに充分な高さがある)を挿入して大きな屋根裏部屋のような空間を作った。 それから、個室を隔てる壁や家具を配置して住環境がつくられていった。 内部の環境は、施主の希望である暗く落ち着いた空間を作る為に、シナベニアを黒く染色した壁や家具で構成した。
開口部もテラスに面する部分を除き最低限の明るさを確保する程度しか開けられていない。しかし、そこから射し込む抑制された光は、太陽の動きと連動して黒い内部空間にさまざまな表情をつくり、多様な場を生みだしている。   
この空間で、施主は何に気付き、そして思考し、そのどれを活動に移すのだろうか。おそらく、別荘という非日常的な空間とは、日常では気付くことができなかったさまざまな出来事に目を向ける、そうした場を用意することだと思われる。