アウトドアリビングとも称されるウッドデッキ。バルコニーやベランダなどの空間が、食事したり読書したりできる憩いの空間に変わるのが魅力で、DIYでも人気です。しかし、作り方を工夫しないと結局はあまり使われないスペースにもなってしまうので注意が必要です。ウッドデッキを存分に活用するためには、実はベンチを置くのが良いと、建築家の遠藤泰人さんは語ります。実例をもとにその理由について探っていきましょう。
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ウッドデッキには腰掛ける所が必要
ウッドデッキにはベンチがあると良い
ウッドデッキにはテーブルと椅子を常備して片付けない
ウッドデッキの向こうに壁があると部屋の感じがする
ウッドデッキは車椅子に最適だ
ウッドデッキには腰掛ける所が必要
はじめまして。一級建築士事務所(株)空間スタジオの遠藤泰人と申します。今回は、実際に使われ続けるウッドデッキの作り方と、バリアフリー面でのメリットなどについて、私の実例を元にご説明いたします。
対応業務 注文住宅、リノベーション (戸建、マンション)
所在地 東京都渋谷区代々木
主な対応エリア 東京都
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さて、もしあなたが、ふと、デッキに出たとします。さあそれから次にする行動は何でしょう。景色が良ければ手すりにもたれて景色を眺めることでしょう。そう、2階にあるバルコニーではそういうシーンが思い浮かびますね。
そのあとは何をしますか?そうです、腰掛ける場所がない限りそのまま部屋に戻るしかないのです。人は腰掛けるか、床に座るかするものです。そういう場所が無ければ、普通の部屋でも困りますね。
椅子の無い部屋を思い浮かべればすぐ分かっていただけると思います。
「アウトドアリビング」と命名されたウッドデッキは、実際は、ほとんどそのようにして日常的には使われなくなってしまうようです。
ところが今まで私の設計した住宅で、非常によくデッキが使われている例が2つあります。
1つは造り付けのベンチがついているもの。
もう1つは出しっ放しのアウトドア用のテーブルとチェアが置かれているものです。
ウッドデッキにはベンチがあると良い
最初にベンチを造り付けた例をお話ししましょう。その前に海外の例について。
デッキの腰掛ける場所と言えば、まず思い浮かべるのがアメリカの住宅等にあるフロントポーチにある椅子です。大きな庇の下にある、安楽椅子だったりベンチだったりしますね。
あの場合は建物側は窓がありますが、基本的には壁なので椅子がしっくり来ますね。壁に向かって背もたれがあるという椅子の置き方です。
ところが日本の場合は、デッキは床の延長として見せたいので、腰窓ではなく床までのサッシが多いですね。そうするとこういう風に椅子は置けないのです。
私が設計して成功した1つの例は、居間に向かって造り付けのベンチをしつらえたものです。朝、新聞とコーヒーをもってデッキに出ても、ベンチに腰掛け、朝のひとときを過ごすことができます。
ベンチがなく手すりだけの時をイメージしてください。
手すりにもたれかかって、お向かいの緑を眺め、居間に戻るということしか考えられません。デッキの滞在時間はせいぜい数十秒ではないでしょうか。
もう1つ見ていただきたいのは、腰壁があるということです。これはなかなか珍しい例です。スケスケの手すりとせず腰壁を付けるだけで、デッキが1つの部屋のような空間に生まれ変わります。
下の写真は山の中の住宅兼レストランのエントランスデッキです。この場合はベンチはありますが腰壁は設けていません。周囲の風景の中に空間がとけ込むことを意識しています。ベンチの幅は60センチにして、横になれるようにもしています。
ウッドデッキにはテーブルと椅子を常備して片付けない
もう1つの例では、デッキには常にテーブルと椅子を置いてあるようにしています。雨の時でも片付けるなどということはしません。そうすることで毎日使うようになるのです。
こういう風に空間がデザインされていると、デッキは1つの部屋になっていきます。
この家のデッキは、戸外の部屋として設計はしましたが、こんなに見事に使われているのは嬉しい限りです。ここにお住まいの方は、ちょっと寒くても、コートを羽織ってここでお茶を飲んだり読書をしたりなさっています。
あまり気取らずに、普通に使われているのが、とてもいい感じです。
ウッドデッキの向こうに壁があると部屋の感じがする
デッキの向こうにアイストップ(目が留まる場所)となる壁を設けると、デッキに室内的雰囲気が出てきます。前の例のように腰壁だけでもある程度部屋のイメージが出てきますが、視線より高い壁があるとまるで室内のように感じられます。
次の家も、視線より高い壁をデッキの突き当たりに設けています。そのことでデッキに室内のような雰囲気を与えるのに成功しています。
隣の建物の存在感を消すことに成功したと思っていますが、いかがでしょうか。
ウッドデッキは車椅子に最適だ
木造の家の玄関は、複雑な機能がいっぱいですし、いくつものレベルが錯綜しています。車椅子対応とするには、玄関外のポーチと玄関内部の土間、そして室内の床の高さをほとんど同じにする必要があります。ところがそうしますと、玄関内部に水が入りやすくなりますし、土台を腐らせたり、基礎内部に水が入ったりする原因になります。
これは私の設計例ですが、同じようにスロープをデッキに取り付けました。
デッキの場合は室内の床と同じ高さにしても雨水の浸入等の問題は起きませんし、全く同じ高さにするためのバリアフリーサッシという製品もあります。私はこれをバリアフリーデッキと呼んでいますが、これからは車椅子の動線はデッキ経由とすべきだと思っています。
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