窓にはさまざまな役割があります。一般的な機能でいえば光を取り込んだり、風を通したりとありますが、その他にもさまざまな効果があり、それらの役割を最大限に引き出す工夫がプランの中に込められています。そこで今回は窓のもつ役割や窓を効果的に用いたプランニング、参考事例を紹介していきたいと思います。
▽ 目次 (クリックでスクロールします)
光を取り込む窓
空気を入れ換える窓
景観を取り込む窓
空間を演出する窓
事例紹介-採光特化のトップライトハウス
事例紹介-風が通り向ける気持ちのいい住宅
事例紹介-地窓設けたエントランスを持つ住宅
光を取り込む窓
窓の代表的な役割の一つは、「自然採光の導入」です。
自然採光は、採光窓の設置方角により特性が異なります。
●東側の窓
朝日が差し込む気持ちのよい窓となります。
太陽高度が低めなため、部屋の奥まで光りが差し込むことが期待できますが、それと同時に隣地などに建物などの障害物があると光が差し込みにくいです。
●南側の窓
もっとも採光条件がよい窓です。
太陽高度が高いため、採光が得やすく、精力的に活動するお昼頃にもっとも太陽高度が高くなることから、主要室にぜひとも設置したい方角の窓です。
●西側の窓
西日が差し込み、採光窓としては好ましくない窓です。
西日自体は建物の受熱量が多いわけではないのですが、気温が高くなる昼から午後2時頃の採光窓となるため、室温上昇を助長してしまいます。
●北側の窓
北側といえば日が差し込まないイメージがありますが、あくまでも直射日光が入ってこないだけで、空気中の塵や水蒸気などに反射して届く天空光と呼ばれる光が差し込み、ほんのり明るい採光を得ることができます。
空気を入れ換える窓
採光窓と同じく重要な役割の一つに「換気」があります。
自然換気には2種類あり、風の力による風力換気と、空気の温度差(暖かい空気は軽く、冷たい空気は重たい)を利用した重力による重力換気があります。
風力換気については風の通り道を計画し、その入口と出口に換気窓を設けることが効果的で、重力換気については吹き抜けなどの上部と下部に換気窓を設けることが一般的です。
景観を取り込む窓
基本的には採光窓や換気窓の付加価値として、景観を取り込む窓があります。
周辺環境の良好な景観を取り込むことはもちろん、テラスや中庭などつくり出された景観も取り込み、豊かな住宅空間としてくれます。
空間を演出する窓
空間を明るくする自然採光を、演出のキーとして利用する窓があります。
伝統的な技法として「地窓」と呼ばれる低い位置に設けた窓があり、主に和室に用いられます。
自然採光を床に反射させ室内に導入し、間接照明を用いたかのような柔らかな雰囲気をつくり出します。また、低い位置の開口により空間の重心(視覚などにより空間を認識する感覚的な点)が下がり、安定的な空間構成となります。
もちろん地窓は和室以外にも用いることができ、視覚的な空間演出のキーとなります。
事例紹介-採光特化のトップライトハウス
採光をもっとも取ることができるのが、トップライトと呼ばれる天井に設けた窓です。
外部環境の影響を受けず、ダイレクトに自然採光が取り入れることができるため、屋外と変わらない採光量と開放感あふれる空間となります。
トップライトは日射熱の影響を受けやすいため、設置する際は窓ガラスに複層ガラス(空気が挟んだ2~3重のガラス)やLOW-Eガラス(特殊コーティングにより断熱性などを向上させたガラス)を採用するなどの考慮が必要です。
事例紹介-風が通り向ける気持ちのいい住宅
開閉式のトップライトを設け、吹き抜けを経由し縦方向にも抜ける風の通り道をつくり、住宅全体を換気できる快適な住宅。
トップライトは前述のように採光条件がいいため、採光、換気に優れた住宅となっています。
事例紹介-地窓設けたエントランスを持つ住宅
安定的で柔らかな光を取り込むとともに、隣地の緑あふれる景観が楽しめる空間です。
床続きな内部と外部の視覚的連続性を持たせることにより、内外の境界が曖昧となり住宅内に開放感を与えています。
窓にはさまざまな役割、特性があり、住宅の性能や空間演出に大きな影響を与えます。住宅検討の際は窓の位置、大きさ、目的などもしっかり検討してみましょう。