2017/02/25更新0like4994view

著者:水沼 均

あこがれのホワイトインテリア。実例から学ぶ白の効果とコーディネートのコツ

この記事を書いた人

水沼 均さん

建築設計の学校で長年教師を務め、大勢の生徒さんと接してまいりました。年齢、経歴、そして住まいへの思いも大変多様で、他では得られない貴重な経験ができました。その経験を生かして、豊かな住まいづくりに役立つような記事をたくさん書いていきたいと思います。

誰もが一度はあこがれる一面真っ白な世界、ホワイトインテリア。何もかもが白一色に漂白されて、非日常の楽しさを存分に味わわせてくれます。コーディネーションやメンテナンスを考えるとなかなか手の出しにくいインテリアかもしれませんが、悩む前に、まずはそのすばらしさをじっくりとご覧になってみてください。

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ホワイトインテリアの特徴

ホワイトインテリアは文字通り、白を基調としたインテリアです。壁、天井はもとより家具、造作類まで白で統一しています。床までも真っ白で統一した住まいも数多くあります。

打ち放しコンクリートやウッディなインテリアなども単一の素材や色彩でできていますが、ホワイトインテリアは他とは異なる独特な軽快さや透明感などの魅力を持っています。

では、ホワイトインテリアの魅力とはどんなものなのでしょう。さっそく実例を見てまいりましょう。

重力を消して浮遊感を感じさせる

前後左右に加えて上下まで真っ白な部屋にいると、重力から解き放たれて、無重力空間に浮遊しているような感じがしてきます。

下の写真は床まで真っ白にした玄関ホールです。すりガラスで光も拡散されて、体が浮かび上がりそうですね。そしてその中に上階へと導く回り階段だけが存在しています。
下の写真も真っ白なリビングダイニングです。上部が吹き抜けていて天井が高いので、ますます強い浮遊感や上昇感を感じます。
また下の写真は真っ白な階段室です。上階がより明るいため、ますます浮遊感と上昇感が高まっています。
こうして見ていると、階段や吹き抜けなどの縦方向の要素とホワイトインテリアは、とてもよくマッチしていますね。

狭さを消して豊かな奥行き感と広がり感をもたらす

白は背景色としてはもっともスタンダードな色です。それだけに、ホワイトインテリアの中ではすべての部分が背景になり、普通に部屋が持っているようなスケール感や遠近感が消え去ります。

したがって、特に小さな部屋ではホワイトインテリアは大変効果的です。狭さを感じさせず、むしろ非日常の楽しさだけを存分に感じさせてくれるのです。

下の写真は収納スペースを兼ねた長い長い廊下ですが、ホワイトインテリアと高窓からの美しい光のおかげで、狭さをぜんぜん感じさせません。
石躍健志「Terrace2567」
また下の写真はマンションをリノベーションしたLDKです。台形の変形平面で、決して広くはない部屋ですが、ホワイトインテリアにしたことで独特の楽しい奥行き感と広がり感が出てくれています。

複雑さを消して統一感を与える

下の写真は、斜め天井とスキップフロアのある豊かな形状のLDKですが、すべてを真っ白にすることで複雑な感じを消しています。多くの要素がワンルームの中にありながら、気品ある統一感を感じさせますよね。

物質感を消してすべてを均質にする

ホワイトインテリアはリフォーム・リノベーションのときにも大いに威力を発揮します。既存の柱形や梁形、耐力壁などを避けつつプランニングをしていかねばなりませんが、すべてを真っ白にすることで、こうした既存物の威圧感を消してしまうことができてしまいます。

こうして、既存のものも新たなものも、ホワイトインテリアの中の要素すべては均質化されて、すてきなインテリア要素としてよみがえるのです。

下の写真はマンションをリノベーションした例です。既存の梁形はたくさんありますが、こうして見るとキッチンカウンターや吊り戸棚とともに、むしろ積極的なホワイトインテリアの構成要素となっていることがわかります。
一級建築士事務所プラスデザイン株式会社「西長堀マンションリノベーション」

インテリアの背景となってモノを浮かび上がらせて見せる

またホワイトインテリアは物質感がないので、家具やインテリア要素などの背景となってこれらを浮き上がらせて見せることもできます。

下の写真ではラグマットが魔法の絨毯のように浮かび上がって見えます。またキッチンカウンターや椅子なども、置いてあるというよりは浮かんでいるように見えます。実際、浮かべて設けた吊り戸棚がいっそうそのイメージを強調しています。

ホワイトインテリアのコーディネーション

ところでホワイトインテリアは、単にすべてが真っ白なだけの状態なのでしょうか。白ではない何かとコーディネートすることで、お互いがますます引き立て合って、より豊かなインテリアを創り出すケースもきっとあるはずです。そんなコーディネーションをいくつか考えてみましょう。

ホワイトインテリアは打ち放しコンクリートと相性抜群

ホワイトインテリアも打ち放しコンクリートも、ともに無機質でピュアーな素材感を持っています。それだけに両者の相性は抜群にすてきです!

下の写真の住まいでは、壁や天井といった住まいの骨格部分を打ち放しコンクリートで仕上げ、キッチンや階段、間仕切り壁などのインテリア要素を白く仕上げています。打ち放し部分と白部分の役割分担がとても明快なので、見ていて気持ちがいいですよね!
高橋将章「House D」

他の要素を引き立たせる名脇役ホワイトインテリア

白木の明るいトーンもまた、ホワイトインテリアの中でとても引き立ちます。下の写真の住まいは、屋根の美しい骨組みをすべて白木で露出して見せています。頭上の世界が圧倒的な主役になっていますよね。

これを引き立てるために、目線の高さにある家具や間仕切り壁などはすべて真っ白に仕上げられています。

このように、ホワイトインテリアは他の要素を引き立てるための良き脇役としても大活躍なのです。
同様に、ホワイトインテリアは窓の外の美しい景色を引き立てる脇役としてもぴったりです。

下の写真は緑豊かな好敷地に立つ住まいですが、開口部に切り取られた緑の景色が実に映えています。これも、前景となる室内がホワイトインテリアで真っ白に仕上げられているからと言えるでしょう。
こちらも同じく、ホワイトインテリアが景色を引き立てている例です。それにしても見事な景色ですね。

部屋の中に自己主張している要素が何もなく、家具までもが白で統一されているため、雄大な景色が十分に引き立っています。ガラス面への反射に配慮した照明など、実に細かいところまで行き届いた設計がなされていますね!

ホワイトインテリアの注意点

ホワイトインテリアは白で統一されていることが最大のキャラクターです。それだけに他の色や素材とコーディネートするときには、マッチングにかなりの配慮を必要とします。もしマッチングの悪いものを置いてしまうと、例え小さなものであっても全体への影響はけっこうあるかもしれません。

そしてもう一つの注意点は、やはり汚れやすいという点ですが、解決策としては、メンテナンスのしやすい素材を用いることがいちばんと言えるでしょう。例えばビニルクロスを用いる場合、マット地のものよりも光沢地のものや耐水性のものの方が汚れにくく、掃除がしやすい利点があります。
ホワイトインテリアの魅力をたくさん見てまいりましたが、一見単純明快に見えるホワイトインテリアも、実は設計者が非常に緻密な計算をした上に成り立っています。ただ真っ白なだけではなく、ホワイトインテリアに似合う形態、素材、光などをうまく組み合わせて創り出しているのです。

それだけに、成功したときの完成度の高さは何にも替えがたい魅力です。今回お見せしたたくさんの実例が、みなさんの背中を押してくれる存在になるといいですね!
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建築設計の学校で長年教師を務め、大勢の生徒さんと接してまいりました。年齢、経歴、そして住まいへの思いも大変多様で、他では得られない貴重な経験ができました。その経験を生かして、豊かな住まいづくりに役立つような記事をたくさん書いていきたいと思います。

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