2017/06/05更新3like11332view

著者:水沼 均

つい見落としがちな洗面台のお役立ちヒント集

この記事を書いた人

水沼 均さん

建築設計の学校で長年教師を務め、大勢の生徒さんと接してまいりました。年齢、経歴、そして住まいへの思いも大変多様で、他では得られない貴重な経験ができました。その経験を生かして、豊かな住まいづくりに役立つような記事をたくさん書いていきたいと思います。

洗面台は、キッチンや浴室と並んで、住まいの水廻りでもっとも重要な場所の1つです。利用頻度がとても高いため、洗面台にはとりわけ便利さと快適さが求められます。洗面台についてはすでに数多くのコメントが寄せられていますが、ここではつい見落としがちな洗面台づくりのお役立ちヒントを、いくつかご紹介したいと思います。

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洗面スペースを魅力ある場所にするポイントとは?

洗面台には便利さだけでなく、快適さやすてきさが必要です。特に、朝のすてきさはとりわけ重要だと言えます。ほとんどの場合、朝目覚めて最初に行く場所は洗面台なのではないでしょうか。

また、入浴直後の洗面台も重要です。お風呂から出てさっぱりとした気分で鏡を覗き込んだり、洗面台を前にちょっと一息入れたりすることはとても多いのではないかと思います。

このように、どんなときにどのように洗面台が快適であってほしいかを考えてみると、実は身の回りにヒントがたくさんあることがわかります。

姿を美しく照らし出す鏡と窓の関係

洗面台には必ずと言ってよいほど鏡がセットで設けられます。顔を洗ったり手を洗ったりするときに、鏡に映った自分の姿を1日に何度も見るわけですね。

ならば、せっかくですからできるだけ自分が美しく見えてほしいと思いますよね。そうなると大切なのが、光の当たり方です。人工照明でももちろんかまわないのですが、昼間、特に朝は窓から入ってくる外の明るさの中で自分の姿を見たいものです。

そこで大切になるのが窓の位置です。窓をどこに設けるかで、鏡に映った自分の姿は大きく変わってきます。

もっとも理想的なのは、自分の斜め前に窓があることです。こうすると自分の姿は斜め正面から照らされることになり、もっとも立体的で柔らかい光に照らされた自分を鏡の中に見ることができるのです。

下の写真の洗面台では、左斜め前に窓があります。いかにもすてきな光で自分の姿を映し出してくれそうですよね。また左側に窓があることで、右利きの人には手暗がりができにくくなり、さらに使い勝手が良さそうです。
また下の写真では、窓は正面の高い位置にあります。この位置に窓を持ってくることで、部屋の幅いっぱいに鏡を細長く取り付けることに成功しています。高窓は天井と揃えて設けてあるので天井面が明るく照らされ、その光が柔らかく拡散して部屋中を明るく照らし出しています。これもまた、いかにも朝に快適そうな洗面台ですね。
古川泰司「S.H._House」
また下の写真では、思い切って鏡を洗面台の側面に設けています。結果、洗面台の正面に大きな窓をとることができ、とても明るい室内になっています。そして鏡に映った自分の姿も、まるでフェルメールの絵画のように美しく輝いてくれそうですね。

大きな鏡で小さな部屋を広々と見せる

洗面台の鏡は、自分の姿と共に部屋の様子をも映し出してくれます。そこで、鏡を工夫して設けることで、小さな部屋を広々と見せることができるのではないでしょうか。

下の写真では、鏡を壁と天井いっぱいに大きく大きく貼っています。その結果、窓の面積が倍増し、部屋の奥行きも実質2倍に広がって見えてくれます。
下の写真の鏡も側壁と天井にピタリと接して設けているので、壁と天井が奥に続いているように見え、鏡ではなくてまるで奥に隣室があるような面白い広がり感を見せてくれています。

椅子を置いてちょっと腰掛けたい

洗面台の前に椅子が置いてあると、お風呂上がりなどにちょっと腰掛けて一息つくことができ、とても便利で快適です。ドライヤーを使ったり歯を磨いたりするときにも、ちょっと座れると楽ですよね。

しかし、この場合注意しなければならないのは洗面台の高さです。洗面器の高さは現代の平均身長を考えますとだいたい80センチくらいですが、これだと腰掛けている人にとっては洗面台が高くなりすぎてしまうんですね。

そこで便利なのが、下の写真で用いられているようなベッセル式の洗面器です。洗面器の高さが洗面台よりも約10センチほど高くなるため、洗面台は床から70センチの高さに抑えることができます。

洗面台は小さなパーツですが、ひんぱんに使う場所なので、ちょっとした寸法関係も使い勝手に大きな影響をもたらすんですね!
富谷洋介「宮の沢の家」

物を置くスペースを洗面器の脇に設けよう

洗面台と洗面器は、上述のような高さ関係だけでなく、横方向の位置関係も大切です。

洗面器は洗面台の中央に置かれることがもっとも一般的なようですが、実際には利き手との関係があるので、左右のどちらかに少し寄せた方が便利です。

例えば、右利きの人ですとドライヤーは右手で持つことが多いかと思います(ブラシなどを併用するときは別)。そうしますと洗面台の右側には、ドライヤーをちょっと置ける程度のスペースがあった方が良いですよね。さらにはコンセントの位置も右側にあった方が良いでしょう。他にもシェーバーや電動歯ブラシなどにも同じことが言えると思います。

下の2枚の写真ではいずれも、洗面器を左か右に大きく寄せて取り付けています。そしてコンセントの位置やタオル掛けなどにも、独自の工夫がなされていることがわかります。
住まいには便利さと快適さの両方が必要ですが、洗面台のように小さくて高密度な、そして利用頻度の高いところでは、この2つはさらに重要となります。

おそらく一番のポイントは、どんなときに洗面台を用いるかの場面をイメージしてみて、そのときに洗面台がどんな存在であってほしいかを考えてみることだと思います。

ぜひ、世界一すてきで使いやすい洗面台を我が家に設けてみてください!
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建築設計の学校で長年教師を務め、大勢の生徒さんと接してまいりました。年齢、経歴、そして住まいへの思いも大変多様で、他では得られない貴重な経験ができました。その経験を生かして、豊かな住まいづくりに役立つような記事をたくさん書いていきたいと思います。

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