色と人間の心理は密接に関わっています。
部屋を構成する中で、もっとも多くの割合を占めている壁の色は、特に心理の影響を及ぼしやすいといえます。
そこで今回は、住宅で使われる壁紙の色と心理的要素についてまとめました。
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視覚効果としての壁色
部屋に適した配色
壁紙として使う際に注意するべき色
視覚効果としての壁色
心理的要素の前に、視覚効果の色について簡単にお話をしたいと思います。
日本では白の壁色を好む傾向にあり、オフィスや住宅、病院などで多く用いられています。
病院を例にしてみましょう。
白色は汚れが目立つことから常に清掃を行う必要があり、清潔感を保つことができます。
病院に必要な「衛生」という観点からも、視覚効果により来院される方へアピールすることができます。また、膨張色であり光を反射することができるため、空間を広く感じさせる特徴を持っていることから閉鎖的なイメージを払拭させる効果もあります。
しかし、手術室はどうでしょうか?
年配の方であれば白色だった記憶もあるかと思います。現在は青色や緑色、手術衣もこうした色を採用しています。ご存知の方もいるでしょうが、赤い色を見続けた後に白色に視点を移すと補色である緑系統の色が残像として残ります。
もちろん手術を行う医師も例外でなく影響を受け、ミスの誘引や緊急を要する場合の妨げにもなることから壁色や手術衣を補色に関係する色にすることにより、残像効果を防ぐことができるようになりました。
部屋に適した配色
ここでは本題である色の心理と壁紙の色についてお話していきます。
最初に前述の青、緑系統の色が持つ心理的影響を考えてみましょう。
「青」であれば、視覚的に水や空。「緑」は、木々や草原など開放的な自然をイメージできるのではないでしょうか。爽やかさや静けさを感じさせ、リラックスできる雰囲気を演出し、実際に心を落ち着かせ、調和やバランスといった面で有効です。
創造性を必要とする、他者とのコミュニケーションを行う場としての部屋に適しています。
開放的な要素を持つピンクの影響についてです。
ドイツの哲学者シュタイナー「色彩の本質」という色彩論において、ピンクは生命を象徴する色と表現しています。女性感のあるイメージで、男性の中には若干抵抗のある方もいるでしょう。ですが、怒りを沈めたり愛情を感じさせる優しさは他の色では成し得ることはできません。
実際、スイスやスウェーデンなど刑務所内にある監房の壁をピンクに塗り替え、アメリカの刑務所でも実験が行われましたが、トラブルや再犯率が低下したとの調査結果があります。
お子さんがいる家庭では、赤ちゃんを寝かせる部屋や子供部屋などに使用することで、お子さんが安らぎや優しさを常に感じることができます。
壁紙として使う際に注意するべき色
前述では白色についての特徴を挙げましたが、実は無彩色や一部の色は禁忌となりえる場合があるので壁紙として選択する場合には注意する必要があります。
白色はメリットも多いですが、デメリットとしてゲレンデではゴーグルが必要であるように反射による眩しさで目を疲れさせ、緊張感を持たせることからも、日当たりの良い部屋に使われる際にはその割合にも注意が必要です。
また、灰色や黒色は気分を停滞させ、やる気を削ぎやすいのでコンクリートの打ちっぱなしといった壁を使われる際には、他の色を組み合わせるとよいでしょう。
赤色は交感神経を刺激し血圧を上げることから、パフォーマンスに優れますが血圧の高い方には身体的に負担が掛かるため使用に適していません。
黄色は集中力を高める要素を持っていますが、心理的影響を受けやすい方は心理面で不安定になりやすい側面を持っているので、壁紙色としては使用を避けるべきでしょう。しかし、こうした色もアクセントカラーとして用いる場合には、他の色との相乗効果が期待できます。ぜひ、壁紙を選ばれる際にはこうした色が持つ心理的側面にも目を向けてみましょう。