2017/04/07更新0like13012view

著者:水沼 均

坪庭とは?魅力とおしゃれな坪庭のある家

この記事を書いた人

水沼 均さん

建築設計の学校で長年教師を務め、大勢の生徒さんと接してまいりました。年齢、経歴、そして住まいへの思いも大変多様で、他では得られない貴重な経験ができました。その経験を生かして、豊かな住まいづくりに役立つような記事をたくさん書いていきたいと思います。

住まいの一部に坪庭を採り入れてみましょう。そこは小さく飾り付けられたささやかな外ですが、住まいの中から眺めると、驚くような広がり感と明るさを持った、すてきな小宇宙であることがわかります。坪庭のある家を見てみましょう。

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▽ 目次 (クリックでスクロールします)

坪庭ってなに?その魅力は?

坪庭とはその名のとおり、光や風を得るためにちょっと設けられた一坪(1.8メートル×1.8メートル)くらいの小さな中庭のことです。昔から京都の町屋などでよく用いられてきた伝統的な和風の小庭ですが、現代でもモダンな装いでよく設けられる、ポピュラーな存在です。

では坪庭は現代住宅ではどのように設けられているでしょうか。そしてどんなときにその魅力を発揮するでしょうか。

坪庭を眺めて楽しむ

下の写真は、リビングに設けられた観賞用の坪庭です。小さな庭ですが日差しはしっかりと入ってくれています。

真っ白い玉砂利は光をよく反射してくれます。玉砂利に落ちた光が室内の天井に反射して、光を部屋の奥まで届けてくれています。また木の葉も光をよく反射してくれるので、こうした小さな庭にはベストマッチングですね。
戸井建一郎「『TO-house』ジャケットを羽織った家」

坪庭に出てアクティブに楽しむ

一般に坪庭は観賞用のものが多いですが、坪庭に出てお茶を楽しんだりバーベキューをしたりなど、アクティブな場として活用するのもとても良いと思います。

下の写真は坪庭をバーベキュー・テラスとして活用している例です。地面はタイルが敷き詰められて、さまざまなアクティビティに向いた現代的なしつらえになっています。
LITTLE NEST WORKS「季節の花を愛で薪ストーブを楽しむ家」

地窓で坪庭を切り取って見せる

坪庭を設けて光や風を採り入れたくても、隣家や道路などが見えてしまうという場合もあります。そんなときには地窓で坪庭とつなぐのが一番です!

下の写真では玄関に地窓を設けて、思い切って足元の坪庭部分だけを切り取って見せています。良い感じで光も入ってくれて、大変景色の美しい部屋になっています。

地窓というと一見暗そうですが、実際はこの写真でもおわかりのように、地窓から入った光が床を照らし、その反射光が壁や天井に反射して、部屋全体を柔らかく照らし出してくれます。また地窓のすぐそばは特に明るいため、全体に薄明るい中にもさらにコントラストがついてくれます。

いろいろな場所に坪庭をたくさん設けてみよう

坪庭は小さくてもとても明るく、光や雨、風、雪などの自然要素を優しく室内へと伝えてくれます。サイズが手頃なので、いろいろな部屋に気軽に設けて楽しむことができるのです。

ではどんな部屋にどんなふうに坪庭を設けるとすてきでしょうか。

大人気の坪庭付き浴室

SUVACOの実例で坪庭を見ていると、浴室に付属した坪庭が実にたくさん見つかります。現代人にとってお風呂は心底くつろげる場所。庭を眺めながらお風呂に入ることができるなら、ぜひぜひ専用の坪庭を作りたくなりますよね。これぞまさに戸建て住宅ならではの楽しみですね!

下の写真では坪庭に張り出すように浴槽を設け、2面全開放式の引き込み式木製建具でお風呂と庭をつないでいる、とてもゴージャスな例です。坪庭自体は決して広くありませんが、角度を斜めにして庭に張り出すように浴室を設けているので、とても広々と見えます。
網田一久「暖炉のある家」

朝がとっても気持ちよさそうな洗面室の坪庭

下の写真は洗面室の坪庭です。小さな庭ですが、洗面室に十分な明るさの光をもたらしています。毎日ここで朝の光を浴びることができたら、今日一日との出会いも変わってくるかもしれませんね。

またこの坪庭では、坪庭の左右の端がほとんど見えません。実際には限られた面積なのですが、左右の端を見せないことで、実際よりも広いイメージをもたらしてくれています。このように、ほんの少しデザインを加えるだけで、たちまち坪庭は広々とした小宇宙へと変身するのです!
山本智一「八幡の家」

廊下から坪庭を見せて広がり感を倍増させよう

廊下のように小さなスペースから坪庭が眺められるようにすると、廊下の小ささは消えて、気持ちが外の方までスーッと延びていってくれます。坪庭はとても明るいので、どこに設けても、その場所の主役になることができるのです。

暗くなりがちな廊下も、こんなにすてきなら思わず椅子に腰掛けて、しばらく時を過ごしたくなりますよね。
細川範規「『松前町の家』おおらかな葺き下ろし屋根の家」

景色とともに気配も伝えてくれる玄関の坪庭

せっかく坪庭を設けたなら、少しでも多くの場所から眺めて楽しみたいですよね。下の写真は玄関土間に坪庭を設けた例ですが、坪庭は3方向から眺めることができます。また奥の居間にいても、坪庭を介して玄関の人の気配を感じ取ることができます。
和泉屋勘兵衛「彩 庵」

階上にだって坪庭は設けられるのです

坪庭は地上ばかりでなく、2階などの階上にも設けることができます。下の写真は2階ホールに坪庭を設けた例です。

ふつうに作ればルーフテラスという感じの場所になっていたことでしょう。ところが正面の腰壁をうんと高めにして、空だけを切り取って見せています。こうすると光だけが坪庭に降ってきて、景色となるのは坪庭それ自体、というイメージになってくれます。周囲が密集した環境のときに、このような作り方はとてもマッチしそうですね。

さらに、ウッドデッキの一部を切り取って植物を植えています。階下から上ってきたときに真っ先にこの植物が目に入ってくれます。地上から3メートルくらい高いところにまた地面がある楽しさ。これなら2階に上るのが楽しみの一つになりそうです。

坪庭の注意点

最後に坪庭を設ける上での注意点を考えてみましょう。

まずもっとも大切なのは、メンテナンスのためにどこかから坪庭に入れることです。坪庭に面した建具が開閉可能なら問題ないのですが、はめ殺し窓を用いるケースも少なくありません。こんな場合は外から坪庭にアプローチできるようにしておきましょう。

また坪庭も外部ですので、当然雨は落ちます。台風などで降水量が多いときに、水はけが良いような地面にしておく必要もあるでしょう。
いろいろな坪庭を見てまいりましたが、いかがでしょうか、お気に入りの坪庭は見つかりましたか?

坪庭は比較的安価に、住まいの魅力を倍増してくれるたのしいしつらえです。住まいの建物の周囲の地面をいま一度見直してみてください。一部に小さな庭をこしらえて、室内から見せたらどうなるでしょうか。きっとそこはすてきさが倍増した場所になってくれるはずです。
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水沼 均さん

建築設計の学校で長年教師を務め、大勢の生徒さんと接してまいりました。年齢、経歴、そして住まいへの思いも大変多様で、他では得られない貴重な経験ができました。その経験を生かして、豊かな住まいづくりに役立つような記事をたくさん書いていきたいと思います。

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