2017/03/20更新1like7461view

著者:水沼 均

テラスとは?屋外を楽しんで内と外を近づける、楽しいテラスの作り方

この記事を書いた人

水沼 均さん

建築設計の学校で長年教師を務め、大勢の生徒さんと接してまいりました。年齢、経歴、そして住まいへの思いも大変多様で、他では得られない貴重な経験ができました。その経験を生かして、豊かな住まいづくりに役立つような記事をたくさん書いていきたいと思います。

アウトドアリビングを彩るしつらえとして、テラスは住まいに欠かせない存在です。テラスには実にさまざまな設け方があり、その違いによって効果もまた大きく異なってきます。どんな家、どんなときにどんなテラスを作ると似合うでしょうか。

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▽ 目次 (クリックでスクロールします)

テラスってどんなもの?

テラスとはどんなものを指すのでしょうか。もともとは地面が盛り上がったものという意味ですが、地面よりも少し高くて舗装された屋外部分というような意味が一般的です。また、屋上に作った庭も「ルーフテラス」と呼ばれています。

テラス戸に面して屋外に向かって張り出すように設けるのが普通ですが、既存の住まいに後から追加して自作することも簡単にできるため、DIYの代表格として身近に普及しています。テラス屋根の既製品も多数市販されています。

さて、下の写真は庭のテラスで家族がくつろいでいる風景です。地面よりも20センチくらい高くなっていてタイルで舗装された、スタンダードなテラスのデザインです。横にはちょうどウッドデッキがあり、タイル敷きテラスとの外観の違いがよくわかります。

覆われた半屋外のテラス

テラスの上部に覆いがつくと、どんな感じになるでしょうか。下の写真は戸建て住宅の2階にあるテラスですが、まるで街の中のすてきなカフェのようだと思いませんか?
古谷俊一「運ぶ家」
このように頭上を覆うだけで、テラスはたちまち屋内的な雰囲気を持ち始めます。下の写真は平屋の別荘ですが、屋根の下に広々としたテラスが設けられています。床高は屋内とほぼ同じで、天井高もリビングと揃えてあります。こうなるともはや、物理的に外部であることを忘れてしまいそうですね。
ところで上の2階テラスはカフェのような都市的な雰囲気で、下足が似合いそうです。そして別荘のテラスは、屋内から裸足のまま出たくなります。実際、前者の床はハードな仕上げで、後者の床はウッドデッキです。ともに、雰囲気にとてもマッチした床素材が選ばれていることがわかります。

屋内に入り込むテラス

下の写真では上の例と逆に、屋外のテラスが土間となって屋内まで入り込んでいます。建具を開け放つと、もはやどこからどこまでが屋内なのかわかりません。このように内に外の床を取り込んだり頭上を覆ったりすることで、住まいの内と外は限りなく一体になっていくことができます。テラスと一口に言っても、こんなにさまざまな作り方があるんですね。

屋内になったテラス(インナーテラス)

そして次の例は、テラスがついに屋内になったインナーテラスの例です。下の写真ではテラスは外部ですが、建具を閉めるとテラスはもはや、完全に屋内の部屋になります。寒い時期には建具を閉めていても日差しがさんさんと入ってきて、とても明るくて暖かいサンルームになります。
ガーデナー建築家/勝田無一「雨が降っても家の中でバーベキュー!  アウトドアライフを楽しむ明るい土間の家」

囲われてパッと出やすいテラス

テラスは建物の外に張り出して設けられるイメージがありますが、実際には中庭として設けても魅力的です。下の写真は部屋に囲まれた小さな中庭テラスで、気軽にパッと外に出られる楽しい作りになっています。周囲からの視線を気にせずにすむので窓を大きく取ることもでき、いっそう外に出やすくなっています。

すてきな外がそこにあれば、きっと出てみたくなるものです。戸建ての住まいならばほぼ必ず屋外スペースが存在しますが、どのように作れば「出てみたい!」と思えるのかがとても大切です。下の例はシンプルなスペースですが、これほど出てみたくなる作りのテラスはなかなかないと思います!
シャルドネ「リビング吹き抜けの家」

見下ろして楽しい空中テラス

テラスは1階ばかりでなく、階上にも設けることができます。高いところで暮らしていれば、ぜひ見晴らしは楽しみたいもの。そんなときにテラスはぴったりの存在です。

下の写真のルーフテラスでは遠景が眺められて、さらに眼下の庭もベストアングルで見下ろせます。遠くが眺められるだけでなく、階下にすてきな庭があるのなら、この住まいのようにぜひ上から見下ろせるように作りたいですよね。

屋上テラスがどうしてもほしい

眺めの良さで言ったら屋根の上はおそらくベストでしょう。屋上にテラスがあったら最高ですよね。ところがこのルーフテラス、防水工事で意外にコストがかかるんです。

下の例は、どうしてもルーフテラスがほしいという住み手のこだわりが感じられる住まいです。景色を眺めて楽しめるなら、小さなテラスでもかまわないのです。大切なのは、屋根に上れば見られるはずの豊かな景色を、意地でも手に入れようという気持ちだと思うんです。

リフォーム・リノベでもテラスは作れる!

さて最後に考えてみたいのですが、マンションのリフォームやリノベーションではテラスを新設するのは難しいのでしょうか?外に出られることの楽しさを考えると、やはり意地でもほしくなりますよね。

SUVACOで例を探したら、やっぱりありました!下の写真のリノベーションではテラスを手に入れるために、なんと既存の窓の内側にもう一つ建具を設けて、半屋外の小さなスペースを作りだしています。

マンションでもがんばればここまでできるんですね!このリノベーションのおかげで住み手の一家がどれだけ楽しく暮らしているか、十分想像できますよね。
テラスという言葉はなんだかベランダとかバルコニーとまぎらわしいですが、私にはこれらの言葉は、良きあいまいな可能性を示したものとして感じられます。形態上の定義ができづらいくらいに、内と外の関係はさまざまで豊かだということだと思うのです。

密集した都会の住まい、小さな住まい。外を楽しむのはやっぱり無理かな・・・。いいえ、絶対に無理ではありません。必ず方法があります。豊かな屋外は必ず作れます。どんな土地にも家にも、テラスの種は必ず植わっているのです。
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建築設計の学校で長年教師を務め、大勢の生徒さんと接してまいりました。年齢、経歴、そして住まいへの思いも大変多様で、他では得られない貴重な経験ができました。その経験を生かして、豊かな住まいづくりに役立つような記事をたくさん書いていきたいと思います。

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