2020/04/13更新7like5163view

著者:SUVACO編集部

専門家フィーチャー

空間に「好き」と「心地よさ」だけを取り入れる<スタイル工房インタビュー>| 建具・間仕切り2

SUVACO編集部が造作(ぞうさく)を得意とする専門家を訪問し、家づくりを考えているみなさんに知ってほしい造作の魅力と知識について、各社のこだわりと共にお届けしているこのシリーズ。

今回は、あらゆる構造のリノベーションに対応し、一人ひとりの希望や暮らし方、住まいの悩みに寄り添い、最良のプランをご提案しているスタイル工房を取材。効果的に空間を分け、住まい手の好みや個性を活かせる「建具・間仕切り」についてお話を伺いました。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

スタイル工房ってどんな会社?

スタイル工房は、リフォーム・リノベーション・新築を設計から施工まで一貫して請け負い、また、建物の種類に関わらず、あらゆる構造のリノベーションに対応している家づくりの会社です。

デザイン性や地球環境にやさしい素材選び、耐震性や断熱性など安全性への配慮や、自社社員が施工管理を行うことできめ細かな現場進行を行っている点も魅力です。

経験豊富なプランナーの皆さんが住まい手の希望に寄り添い、丁寧にヒアリングを重ねる「お客様との共同作業」で “こんな暮らしをしたい” をかたちにしていくスタイル工房。プランナーは10人以上在籍しています。

今回お話を聞いたコーディネートプランナーであり設計も手掛ける植田 純子さんは、「お客様それぞれが思い描く住まいのかたちや暮らしは異なり、そのお客様にとって最良の住まい方を提案できるところがスタイル工房の強み」だと言います。

豊富な実績と経験に裏打ちされた、知識豊富なプランナーの皆さん。その発想力が生み出すスタイル工房の「建具・間仕切り」は、暮らしに彩りを与え、空間をより快適にしてくれる工夫に満ちています。

空間を可変にし、取り入れたいモノ「だけ」を取り入れる心地よさ

―― スタイル工房が考える、建具・間仕切りの魅力について教えてください。

植田さん:
間仕切り建具は、「見せたくない・見たくないモノ」を隠し、「見たいモノや感じたいモノ」だけをその空間に取り入れる効果があります。「感じたいモノ」というのは、光や風、空調などもありますし、一緒に住む人の気配も含まれます。皆さん、広いスペースに憧れますし、開放感がある空間は気持ちがいいですよね。でも、ただ広いだけだと、使い勝手が悪かったり実は居心地があまりよくなかったりするんです。

スタイル工房はメインで手掛けるエリアが東京・神奈川と都心周辺であることもあり、「限られたスペースをいかに暮らしやすい空間にするか」ということにも心を砕いています。開放的な心地よさを感じてもらいつつ、その中にある各空間が使いやすく、心地よいものになるよう工夫する時に、間仕切り建具や間仕切り家具での空間分けはとても有効です。

たとえば下の写真は、最近手掛けた事例。ご夫婦で住まわれる建坪約10坪ほどの新築です。天井まである壁や間仕切りで「玄関を開けるとタタキと玄関ホールがあり、壁の向こう側がLDK」とパッキリ区切ってしまうと、それぞれがかなり狭い空間になってしまいます。そこで上部に空間を持たせた間仕切り家具を斜めに設置し、やんわりとそれぞれの空間の役割を分けました。斜めにすることで、玄関側は間口部分が広く、LDK側はソファを置くスペースが広くなり、それぞれ実際の面積よりも拡がりを感じさせることができました。

間仕切り家具の上部が空いていることで閉塞感もなく、窓がない玄関側まで光が届きます。また、LDK側がテレビボード、裏側は玄関収納、上部がキャットウォーク……と実用性も持たせました。1つの間仕切りに、このように多くの目的と機能を持たせることができるんです。
―― 光や風を取り入れるための方法には、どのようなものがあるでしょうか。

室内窓はおすすめです。マンションの場合は窓の数が限られるので、窓がない部屋ができてしまうことがあります。そういう時は、室内窓で光や風を取り入れると気持ちの良い空間になるうえに、インテリアとしても効果的なので、ご提案する機会が多いですね。
また、以前手掛けた例では、お客様から「光や風がよく通る部屋にしたいけれど、小さい子どもがお昼寝する時は光を遮りたい」と、シーンによって使い分けができる建具のご要望をいただきました。その時は考えに考えて、昔の建具から知恵を借りました。

日本は建具文化だった歴史があるので、古来の建具にはとても考え抜かれたものが多くあるんです。その時参考にしたのは、格子が2重になっていて格子の目を合わせれば光や風が通り、ずらすことで開いた部分を塞ぎ、光を遮断できる工夫。その機能性を参考に、見た目は今風にアレンジしてご提案をしました。

さらに、「部屋をつくるほどではないけれど、シーンや季節に応じて空間を分けたい」という場合にも、間仕切り建具は有効です。例えば「お友達が来るときは、プライベートな部分を隠したい」「年に数回くる両親のためのスペースが欲しい」など、必要なタイミングで間取りを可変にすることができます。壁の中に隠しておける隠し扉や建具なら、使わないときはすっきりと広い空間で過ごせますよ。

家づくりの過程も、住まわれてからの生活も楽しんでほしい

―― 建具や間仕切りをご提案するときに、こだわっていることはありますか?

植田さん:
住まいづくりがお客様の思い出になるように、お客様のご要望や好みを反映するようにしています。間仕切り家具や、ドア、室内窓などの造作建具は、お客様の個性を反映しやすいアイテムでもあります。住まわれる方が「好き!」と思うものを取り入れたり、場合によっては色を自分で塗ったり…という過程やエピソードは、長く愛せる家をつくるうえでとても大切な思い出になり、ずっと愛着を持っていただけると思うんです。お客様と“一緒につくっていく”イメージですね。

だからお客様のライフスタイルや好きなデザイン、こだわりについて丁寧にヒアリングし、こちらからも選択肢になるようなキーワードをたくさん投げかけて、「お客様が何を大切にしているのか」を引き出すようにしています。スタイル工房は施工事例がたくさんあるので、今までの事例をお見せする中で、趣味に合ったものが見つかるケースも多いですね。

ドアなど建具は、施主支給で思い入れのあるものを持ち込まれる方も多いです。アンティークのものを探していらっしゃる方も。古いものだと、現代の方の身長と比べて高さが低い場合も多いですが、こちらで高さを足すこともできます。事前に共有していただければ、特徴的なアイテムでも、周囲も合わせたデザインにして活かすことができます。
また、建具は本当にいろいろなつくり方があるので、こだわるととても面白いんですよ。光の入れ方の工夫や、かまち(戸・障子などの周囲の枠)の太さなど細部によって、がらりと雰囲気が変わります。ドアにしても、選ぶノブや金具の色、蝶番(開き戸が開閉できるようにとりつける金具)を見せないようにする……など、パーツでも雰囲気が全然変わります。色やガラスで個性を出すこともできるので、「こういうのがいいな」と思うイメージがあれば、ぜひ教えてほしいですね。
使う場所や目的に応じて、「インテリアとして目立たせる建具」と「周囲になじませて壁に溶け込む建具」の区別も大切にしていることの1つです。あえて全部を目立たせるのもすてきですが、一般的にはメインになる建具を選んでデザインをつくりこみ、他はシンプルなものにする方法が、コストも抑えられますし、すっきりとした空間がつくれるのでおすすめです。

心が動く事例写真を探してみよう

―― 快適な空間を実現し、愛着が持てる建具・間仕切りを提案していただくために、施主から伝えるとよいことや、考え方のアドバイスはありますか?

植田さん:
建具や間仕切りで空間分けをするうえでは、住まい方を教えていただけるといいですね。例えば、おうちにお仕事を持って帰って作業をすることが多いとか、家のどの空間に長くいるか……などです。デザインについては、「すてき!」「かわいい!!」と感じる建具や間仕切りの写真をいくつか探して見せてもらえると、お好きなイメージが共有できるのでとても有難いですね。

また、将来的な家族の変化を想定した部屋の間仕切りなど、今の生活でまだ使わない建具については、必要になった時に考えた方が実情とブレがないものがつくれます。たとえば「子ども部屋が必要になるときの備え」を考えるなら、あとで壁を差し込めるよう下地を入れておくなどの準備にとどめておく方が良いかもしれません。

あとはご自分でドアなどの建具を購入される場合、最近はネットで買われる方も多いのですが、特に年代物だと状態が悪い場合があるので、なるべく現物を見て購入することをおすすめしたいですね。
「旅館やカフェなど、プライベートでも心地よい空間があると、“なんで気持ちがいいんだろう?” と考えて、提案に取り入れるように心がけています」という植田さん。

見るたびにうれしくなる心地のよい建具・間仕切りがある空間をつくるために、自分のライフスタイルや好きなデザインをしっかりと伝え、家づくりの専門家と相談してみましょう。

対応業務 リノベーション (戸建、マンション、部分)
所在地 東京都杉並区 (ほか全3拠点)
主な対応エリア 東京都 / 神奈川県
目安の金額

60平米 フルリノベ900〜1,500万円

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