2018/04/29更新1like14048view

著者:tennto1010

杉の魅力、徹底解剖。知らないともったいない万能の住宅建材

花粉症のイメージが先行して、時にやっかいもののように思われてしまう杉。しかし、建材としての杉はいわば万能選手。古くから日本の家づくりを支えてきた杉の魅力を改めて考えていきたいと思います。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

日本の家づくりに欠かすことができない杉

名前の由来でもある「すぐ(直)」な杉は、柔らかで軽く加工がしやすい木材として、構造材としてはもちろん、内装材や家具類にまで幅広く使われてきました。一部をのぞいた日本中で自生・植林されている杉は、日本の気候に適しており、日本人にとって最も身近な木材と言えるでしょう。
吉野杉や秋田杉といったブランド杉が良く知られていますが、前述のとおり、杉は日本各地に生息する、まさに日本ブランドの木。産地ごとの微妙に異なる特徴に応じて、適材適所で使うことで個性が生かされます。また近年では、国産材利用や地産地消の観点からも、地元産の杉を積極的に活用する動きも増えています。
古川泰司「0676_House-01」

杉を選ぶ理由は?

建材としての杉の特徴は、主に以下の点が挙げられます。
・木材の中で比較しても比重が低い材=空気を多く含むため、軽く、断熱性が高い
・調湿性が高い
・まっすぐで扱いやすく、加工性がよい
・独特の清々しい芳香がある(成分に抗菌・防腐作用も)
・木目がまっすぐはっきりしている 
・全国どこでも入手しやすく、安価

強度や耐久性について突出したアドバンテージはないものの、杉は全体的にバランスがとれた建材として、長い間評価されてきました。杉普請の家には、高級なイメージの桧とは一味違ったおおらかさが感じられるところも、愛される理由の一つです。

目をひく外観も杉が演出!

和モダンな外観に相性抜群の焼杉の外壁です。杉の表面を炭化させることで耐久性を高め、防虫及び防腐効果も期待できます。現代的な表情をつくりだす黒〜グレーの色味が、建物に品格を添えていますね。
丁寧に貼られた杉板がつくりだす、自然素材ならではの豊かな表情は工業製品にはまねできない魅力です。風合いを生かした塗装仕上げも大切なポイントですよ。
ムラカミマサヒコ一級建築士事務所「ホソナガハウス」

杉を生かした加工を知ろう

日本の家づくりの歴史に欠かせない杉は、様々な加工方法によって特性が生かされてきました。
こちらは、杉皮が張られた塀の事例です。杉皮葺や檜皮葺の屋根が長く使われてきたことから分かるように、杉皮の耐久性は抜群。日本の風景にいつまでも残していきたい意匠の一つですね。
“浮づくり”の杉フローリングです。浮づくりとは、木の表面を丁寧にこすることで、木の硬い部分のみを残し年輪を浮かび上がらせる加工のこと。木目が美しく立体的に浮かび上がるだけでなく、表面が傷つきにくくなるというメリットも。年輪が詰まった杉ならではの加工法です。

異素材の引き立て役にも

杉というと和風のイメージを持つ方も多いかもしれませんが、様々な異素材と組み合わせることによって、新鮮味のある現代的なテイストを引き出すことができます。
グレーのフロアタイルと杉の木調、白い壁というカラーバランスへのこだわりが、統一感のある空間を完成させています。
大谷石と杉のコンビネーション。二つの自然素材の共演がなんとも言えない柔らかさをつくっています。赤身と白太(すぎの芯に近い赤みのある部分を赤身、その外側の白い部分を白太と言います)の混ざり合った床板にすることで、ひときわラフで温かみのある雰囲気が感じられます。
一転して、クールな杉。ステンレスと組み合わせた玄関収納の事例です。無節の杉を選別することで、俄然高級感が増します。
QUALIA「ヨーロピアンとオリエンタル、モダンが融合した、高級感あるラウンジのような空間」

素足で過ごしたい、杉の真骨頂といえば床!

何と言っても杉材の長所は、柔らかさと温かさ。温かさは断熱性の良さを表します。柔らかいがゆえに傷つきやすさもありますが、そこも味わいと受け入れ楽しみたくなる素足の踏み心地です。この柔らかさを子供部屋に、とご両親の愛情が詰まったお部屋です。
竹中アシュ「瀬戸八王子の家」
ダークな塗装を施すことで、白い家具とのコントラストが映えるシックな部屋に。和風やナチュラルといった一般的な杉のイメージをくつがえすような使用例です。
てまひま不動産「風や光の通り道を創り、心地良い時間を楽しむ暮らし」
もちろん、張り方で変化をつけることもできます。こちらは杉無垢材のヘリンボーン張りで、男前で重厚感たっぷりの仕上がりです。
リヨ・デ・ホーム「SUGISMILE モデルハウス」

内装材でも続々活用中

壁に杉板を張ったアクセントウォールの明るい木調が部屋の印象を決定づけています。安価な杉板はコスト調整にも利用価値大です。
天井に端正な無節の杉板を使用した事例です。すっきりとおった木目のラインが、玄関をいっそう広々と演出します。

家具にも、たっぷり贅沢に使ってみる

杉板の厚みが圧巻のオリジナルテーブル。家族との時間を刻んで味わいが増していくことでしょうね。
長井義紀「鹿屋の家」
Jパネル(杉材の構造用合板)を組み合わせた子供の秘密基地は、将来の撤去可能な“大きな家具”と言えるかもしれません。
葛川かおる「『ハイサイはうす』素材感、質感を生かすマンションリノベ」

インテリアの決め手になる建具にも

重厚感ある杉の建具は、木目や色調まで徹底的に考え抜かれた特注品。選び方ひとつで部屋の印象を格段にグレードアップさせる、建具の存在感を改めて感じさせられる事例です。

利用法は多種多様!挙げるとキリがありません

コンクリートなのに、木目?なハイブリッドな仕上がりは、杉板型枠を使ってコンクリートを流し込んでいるから。冷たくなりすぎないコンクリートの表情が素敵です。杉が裏方で頑張っている事例の代表です。
こちらも同様の型枠利用。浮づくりの杉板型枠でつくったモルタル床は、杉の凹凸をよりはっきりを再現した独特の風合いが斬新です。
SUVACOの記事でも度々とりあげられる足場板の活用。ご存知のように、足場板とは建築現場で使われてきた杉の古材板です。
こちらの事例にあるコンクリートの壁に使い古した杉足場板という組み合わせは、空間の光の映り方にこだわった光の教会(設計:安藤忠雄)と同じ仕上げというこだわり。
スギの学名『クリプトメリア・ジャポニア 』は、『日本の秘宝 』と訳されることもあるそうです。そんな日本の宝の木である杉。知れば知るほど使わなくてはもったいない魅力的な木材に感じられます。
育てる→伐採する→使う、の理想的な循環ができれば、花粉症が消える日が来るかも⁉︎しれませんしね。

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