2020/07/09更新0like5630view

著者:原 ふりあ

住宅設計のプロの視点から。働き方に合わせた書斎やワークスペースのつくり方

この記事を書いた人

原 ふりあさん

アトリエ系設計事務所に所属して住宅や大規模建築の設計を行うかたわら、自ら設計や執筆活動も行っています。一級建築士。

コロナ禍を経験して、働くスタイルを見直している方も多いのではないでしょうか。今後もテレワークの割合を増やしていきたいという声も聞こえ、若い世代では地方へ移住する機運が高まっているようです。自宅で仕事をするためには、どのような環境が必要なのか?住宅設計に携わる建築家の視点から解説します。

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▽ 目次 (クリックでスクロールします)

働き方によって変わる、ワークスペースのつくり方

「自宅で仕事をする」と一言でいっても、実際には様々な状況があると思います。どの程度の割合を自宅での作業に充てるかは、企業や個人の働き方次第ですね。今まで以上に多様な働き方のバリエーションが生まれていくでしょう。

この記事では、自宅での仕事を3つのパターンに分けて、それぞれの状況に合った書斎/ワークスペースを事例と共に考えていきます。

(1)家事の合間に少し仕事をするための、手軽なワークスペース

こちらの事例では、ダイニングの一角に小さなワークスペースをつくっています。コーナー出窓の窓台をそのまま延長してテーブルに。板一枚が渡されているだけのシンプルな構成です。
少しひいた写真で見ると、ダイニングテーブルとの距離がとても近いことがわかります。フルタイムの仕事ではないけれど、家事の合間にさっと書類やノートパソコン、タブレットなどを広げて作業したい──といった状況にはちょうどいい距離感。

「これだけ近いなら、ダイニングテーブルで作業をしてもよいのでは?」と思われるかもしれませんが、スペースが専用か兼用かは大きな違いです。例えば、午前中の空いた時間に始めた作業がすぐには終わらず、昼食の用意をする時間になってしまった、という場合でも、専用のデスクならば片付けずに料理を始められます。
大切なのは、小さなスペースだからこそ、仕事場感を出しすぎずに他の内装と調和させること。同じ空間の中にあるため、そこだけ浮いてしまわないように注意が必要です。また、事務的なものを部屋に溢れ出させないためにも、収納を必ずセットで計画してください。

楽しく仕事するという意味では、この事例のように窓のそばなど環境のよい場所につくれるとなお良いですね。

(2)家でも時々仕事をする場合のために、少しつながりがある書斎

「基本的には出社するけれど時々テレワークをするようになった」とか「持ち帰って夜や休日に仕事をすることがある」というように、「本格的にこもって仕事をすることは少ないが、簡易な書斎が欲しい」という方も多いと思います。

簡易であっても長時間の作業をする場合には、専用スペースがあるのはもちろんのこと、パソコンを出しっぱなしにできるサイズの机、大きめの収納、座りやすい椅子は備えたいところ。
こちらの事例は、マンションリノベーションでリビングの一角に書斎をつくっています。決して広くはありませんが、ゆったりとしたチェアが置かれて居心地が良さそう。寸法に気をつけて設計すれば支障なく使える広さです。
上の写真でわかるように、リビングから見てテレビのかかった壁の向こう側が書斎。白い壁の周りには黒いスチールフレームにFIXガラスがはめ込まれており、視覚的なつながりを保ちつつ空間自体は仕切っています。

ある程度こもって作業をする場合、空間がつながりすぎていると落ち着きません。でも、壁を立てて一つの部屋として閉じてしまうと、書斎もリビングも狭く感じられてしまいます。

この事例ではガラス越しに互いの空間が見えるようになっているため、奥行きが生まれ、実際よりも部屋が広く感じられます。他の方法としては、壁自体は閉じて室内窓を設けるというのもいいですね。相互に気配を感じるほうが寂しくないというメリットもあります(ここは人それぞれ、好みですが)。
なおこの事例では、空間を完全に仕切る建具(扉)はついていませんが、集中したい時には閉められるように建具をつけても良いと思います。

(3)本格的に家で仕事をするための書斎

より本格的に、完全に家で仕事をしたい場合は、独立した部屋としての書斎が必要になります。
こちらの事例は、大量の造作書棚がつくられており、突き当りに書斎スペースがあります。こうして壁一面に書棚をつくるのが夢……という方も多いのでは。

机の前に広がるのは庭の緑。長時間を過ごす場所になるので、環境には特にこだわりたいところです。採光と通風のために、窓は必ずつくるようにしましょう。また、暑さや寒さで集中できないという状況を避けるため、エアコンや床暖房などの空調設備を整えることも大切です。
この事例では玄関から入ってすぐが書斎となっており、リビングとは完全に分離されています。壁や建具で仕切るだけでなく、物理的な距離をとるとより集中できる部屋になるでしょう。

本格的な書斎にする場合は、通過動線に設けず「行き止まり」にするのもポイント。そこを通り抜けないと他の部屋に行けないような状況だと、本人も家族も気を遣ってしまいますので、独立させるための工夫を忘れずに。
このように、自宅で仕事をするための空間づくりにはさまざまなバリエーションがありえます。生活スタイルに合わせてゼロから間取りを考えられるのが、家づくりの良いところ。ぜひ快適な書斎やワークスペースを組み込んでみてください。
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アトリエ系設計事務所に所属して住宅や大規模建築の設計を行うかたわら、自ら設計や執筆活動も行っています。一級建築士。

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