2020/12/05更新1like7447view

著者:水沼 均

小さい家こそ、ロフトで大きな楽しさを!メリットを感じる実例と注意点

この記事を書いた人

水沼 均さん

建築設計の学校で長年教師を務め、大勢の生徒さんと接してまいりました。年齢、経歴、そして住まいへの思いも大変多様で、他では得られない貴重な経験ができました。その経験を生かして、豊かな住まいづくりに役立つような記事をたくさん書いていきたいと思います。

住宅のロフトはファッショナブルで便利なインテリア要素として、すっかり定着してきました。実際ロフトはどのようなケースの時にどのように設ければ、もっとも魅力を発揮することができるでしょうか。SUVACOの事例を見ると実にさまざまなロフトがありますが、ロフトがもっとも魅力を発揮するのは、意外にも小さな住まいに小さなロフトを設けたときなのではないでしょうか。

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ロフトは「苦肉の策」から誕生する

ロフトを作るアイデアが登場するのは、必ずしも遊び心ばかりからではありません。狭小で面積が稼げず、なにか良い工夫はないだろうかという模索から、苦肉の策として出てくることも多いのです。

天井が低くて梯子で上り下りする場所なのですから、利便上は決して手放しでお薦めと言えるものではありません。

でもロフトはとにかく楽しい!

ところがこのロフト、作ってみるととにかく楽しいんです!これがあるおかげで住まいが何倍も楽しくなるのです。利便性の不満も吹き飛んでしまうほどですよ。家の面積が増えてくれて、さらに楽しさが増すのなら、もはや作らない手はありませんよね。

写真はリビング上部にある明るいロフトです。特に子どもさんにとっては、ロフトはどこよりも楽しい遊び場になることでしょう。

用途はともかくロフトはどんどん作るべし

ロフトの用途は就寝、収納、書斎など、たくさんあります。設ける場所としては、木造の場合は斜めの屋根裏がいちばん適切でしょう。用途と設置場所がマッチしてくれたら最高のロフトができあがりますよね。

このようにロフトは用途を決めてから設けるのが、どちらかというと一般的です。でも必ずしも用途を決めていなくても、プラン上ロフトが作れそうだったらどんどん設けていって良いのではないでしょうか。

なぜかというと、ロフトには楽しさがあるからです。

住まいはすべての場所が用途だけで決まるわけではありません。むしろ、用途という言葉からちょっとはみ出したところに住まいの楽しさがにじみ出てくるものなのです。

そんなロフトの楽しさに期待して、予算を少し割いてみるのもすばらしいことなのではないでしょうか。

下の写真は2階リビングダイニング上部の、光を透かす床でできたロフトです。家の真ん中にシンボルスペースのような場ができあがりました。
また下の写真は、平屋住宅の天井のいちばん高いところにロフトを設けた例です。広々としたワンルーム空間の中で強いアクセントになってくれています。
また下の写真は寝室の一角にロフトを設けた例です。家の中にもう1軒家がある「入れ子」のような楽しさを感じますね。

小さい家に小さいロフトが理想の組み合わせ?

ロフトはまた、どちらかというと小さな家に設ける方が引き立って見えるような気がします。そしてロフト自体も小さなものの方が強い存在感を持ってくれるような気がしてなりません。これはなぜなのでしょうか。

一般に小さな住まいでは横方向の広がりはあまり期待できません。ところがロフトを設けると、縦方向の広がりを強く感じることができるようになります。頭上が高くて上にも部屋があるという、吹き抜けが持っているようなすてきさのミニバージョンが体感できるのです。

実際ロフトがあると、天井も実際よりももっと高く見えてくれます。

でもそのためにはロフト自体があまり大きいと、遠近感が縮まってかえって重く狭く感じられてしまうこともあります。だからロフト自体はむしろ面積小さめ、天井低めの方が効果は高まると言えるでしょう。

それに、ロフトは小さい場所だからこそ隠れ家のような「ひそみ」感が出ていっそう楽しくなるということもあるのではないでしょうか。

下の写真は子ども室にロフトを設けた例です。ドアの高さからもわかるように天井高は決して特別に高くはないですが、頭上が抜けてとても広々と感じられます。
また下の写真も子ども室のロフトですが、頭上高をぐっと抑えた勉強スペースとロフトによって、天井高がとても高く感じられます。
野口 淳「国府台の家」

ロフトのデメリット

そんな楽しいロフトですが、デメリットもないわけではありません。

まずコストの問題があります。新たに小さな部屋を設けるわけなので、その分コストが余分にかかります。

また天井が高くなるので、夏冬の冷暖房の利きが悪くなりがちでもあります。

そして法規上天井の高さは1.4メートルまでと決められているので、長時間過ごす部屋として作るのは難しいでしょう。

ロフトはこれらのデメリットを事前に知った上で設けるべきでしょう。上で述べたように楽しさと利便性は時として相反するものですが、ロフトに限らず住まいでは、楽しさの代償としてのデメリットは、常に事前知識として持っているべきものと言うことができます。
日本の密集市街地では、なかなか大きな住宅は思うように作れないものです。少しでももっと面積がほしいと感じますよね。

ならば、どんどんロフトを作りましょう。収納、ロフトベッド、書斎、隠れ家、ひそみ・・・あるいは用途が特になくても良いではありませんか。

ロフトがあるのとないのとでは、広がり感や楽しさがぜんぜん違ってくるのです。どうせなら少しでも広く、少しでも楽しく住まいを作りましょう。そのための心強い味方がロフトなのです!
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水沼 均さん

建築設計の学校で長年教師を務め、大勢の生徒さんと接してまいりました。年齢、経歴、そして住まいへの思いも大変多様で、他では得られない貴重な経験ができました。その経験を生かして、豊かな住まいづくりに役立つような記事をたくさん書いていきたいと思います。

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