2021/01/20更新0like9678view

著者:佐藤ゆうか

スキップフロアのメリットとデメリット、失敗しないプランニングのコツ

この記事を書いた人

佐藤ゆうかさん

2級建築士。
工業高校卒業後、中小規模の建設会社に勤務。
木造住宅を中心に新築やリフォームの設計に携る。
現在は3児の育児を中心に在宅ワークに励み、いつか現役復帰を夢見ながら建設業界にしがみつく日々。

狭さや日当たりの悪さ、傾斜地など、扱いにくい土地での家づくりに悩む方は多いようです。
そんなデメリットの解消法として、「スキップフロア」はいかがでしょうか。

段差を活用したスキップフロアは開放感があり、空間をより明るく広く見せることが可能です。
スキップフロアのメリットや失敗しないためのコツを理解すれば、一見難しそうな土地も、理想の家づくりにぴったりな土地へと生まれ変わるかもしれません。

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▽ 目次 (クリックでスクロールします)

スキップフロアとは

松井哲哉 / 村田知子「燕居 swallow house」
1階と2階の間や、2階とロフトの間などに、床の高さを半階程度ずらして作られる中間階のことです。
できた空間は、「中2階」「中3階」などと呼ばれることもあります。

スキップフロアのメリット

まずはスキップフロアのメリットからご紹介していきましょう。

◆床面積を増やせる
狭小地や高低差のある土地では、必要な床面積を確保できないことがあります。
スキップフロアを取り入れることでデッドスペースを最小限にし、床面積を増やせます。

◆壁を作らず空間を区切れる
2階建てでも、3層、4層とフロアを重ねることで空間を区切ることができます。
階段下を収納スペースにしたりちょっとした隠れ家のようなスペースを作ったり、階数を増やさずとも、使い勝手に応じて必要な空間を作れるのはスキップフロアの大きなメリットです。

◆広く見える
スキップフロアは、視界を壁が妨げないので実際の床面積よりも広く感じやすいです。

◆通風や採光を確保できる
壁で空間を区切らないことで高低差を活かした換気も行えますし、高い部分に設置した窓からの光を、下のフロアに届けることも可能です。

◆家族の気配を感じられる
スキップフロアはゆるく空間が繋がっているため、お互いの気配を感じられる安心感があります。
壁で仕切られていなければ別フロアにいても会話は可能。家族のコミュニケーションもより円滑になりそうですね。

スキップフロアのデメリット

スキップフロアにもデメリットはあります。

◆個室に比べて空調が効きにくい
スキップフロアはそれぞれのフロアがゆるく繋がったような状態なので、壁で仕切られた個室よりも空調が効きにくくなります。
夏は上層部が熱く、冬は下層部が寒いといった事態にもなりやすいかもしれません。
空調は光熱費にも影響してくる部分ですので、プランニングの際によく検討してください。

◆音が通りやすい
会話がしやすいということは、音が通りやすいとも言えます。
子供部屋や寝室など、プライベートな空間として使うのであれば配慮が必要ですね。

◆掃除や段差など、日常的に感じるデメリットが多い
段差がある部分の掃除は、フラットな床を掃除するよりも大変。
また、段差の危険も伴うため、高齢の方や足が不自由な家族とお住まいになる場合は、あまりお勧めできません。

◆建築費用、固定資産税が多くかかる
階段や段差が多くなると、通常の建築よりも材料や手間がかかるため、建築費用は高くなりがち。
有効に使える床面積が多くなると、固定資産税もアップします。

スキップフロアで失敗しないためには?

スキップフロアのメリットとデメリットは紙一重。
何を優先して求めるかによって、取り入れるべきかどうかも決まります。
さらに、プランニングの際には以下についても気をつけましょう。

◆自治体の扱いを確認する
自治体によってはスキップフロアを認めず、「3層なので3階建て」とみなされてしまう場合もあります。
独自の床面積算出ルールを設けている自治体もあるため、スキップフロアを計画する際は、早い段階で建築予定地の自治体のスキップフロアの扱いを確認しておきましょう。
(プランニングの段階で設計者が自治体の建築条例を確認する場合も多いようです)

◆空間の使用用途に合わせた配慮を行う
寝室や子供部屋、書斎などのプライベートな空間をスキップフロアに作るなら、共同スペースから視線や声が届かないようにするなど、プライバシーを確保できる配慮が必要です。
居心地の良い家づくりには、家族間のコミュニケーションを大切にしたい空間と、プライバシーを大切にしたい空間をしっかり分けて考えることが大切です。

◆空調計画を綿密に行う
すべての空間を年中快適に使うためには空調計画が重要です。
各フロアに冷暖房を設ける、高断熱仕様にする、天井ファンをつける、高低差を活かした換気や冷暖房ができる位置に窓を配置するなど、プランに合わせて考えましょう。

◆経験豊富な設計者、施工者に依頼する
スキップフロアの計画はとても複雑なもの。
スキップフロアの住宅を依頼するなら、空間活用法やプライバシーを確保する方法、イメージ共有のノウハウがある、経験豊富な設計者に依頼すると安心です。
また、段差や階段は床鳴りが起きやすく、施工においても技術が必要な部分。
過去の設計・施工実績を確認した上で依頼できると良いですね。

スキップフロアの住宅プラン例

【プラン1】
傾斜地の住宅
玄関からスキップフロアで下がって行くタイプのプランです。
スキップフロアで空間が区切られた和室は、くつろぎのスペースや家事スペース、客間としても使えます。
【プラン2】
1階
2階
階段の広い踊り場が特徴的なプラン。
踊り場下は土間仕上げの玄関収納として活用できます。
寝室の書斎スペースも、小さなスキップフロアで仕切られています。
【プラン3】
2階建てですが、スキップフロアで4層になっている住まいです。

1層目は玄関と、玄関からつづくシューズインクローク。
玄関ホールから扉を挟んで、寝室になっています。

玄関ホールから階段を半階分登ると、2層目(中2階)の空間になっています。
2層目は子供室で、手前が遊びや勉強のための開けたスペース、奥は寝たり休んだりするためのプライベートなスペースです。
2階は、住まい全体で言うと3層目になります。
キッチン、浴室、トイレ、洗面室などの水廻りと、ダイニングの階になっています。
3層目から半階分登ると、リビングのフロアになります。
2階、3層目のダイニングと4層目のリビングイメージ写真(本ページのプランの物件とは異なります)
スキップフロアの特徴を理解すれば、土地のデメリットをカバーできることも。
土地を活かしたより良い家づくりができると良いですね。
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佐藤ゆうかさん

2級建築士。
工業高校卒業後、中小規模の建設会社に勤務。
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