「売買金額≧住宅ローンの残債」であれば売却金額のみでローンを完済できますが、住宅は一度住んだら一気に価値が落ちるもので、購入した時よりも高く売却することは難しいのが現実です。
では、「売買金額<住宅ローンの残債」の場合、住宅ローンを完済するためにはどのような手段があるのでしょうか?
【1.現金を用意する】
まず、ご自身の預貯金やご両親からの贈与資金などで不足分を負担するという手段があります。ただし、ご両親から贈与を受ける場合、金額によっては贈与税が発生する可能性があります。ローンの返済に充てる場合は、「住宅取得資金贈与の非課税制度」を利用できませんのでご注意くださいね。
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【2.買い替え(住み替え)ローンを利用する】
売却後、新たに住宅を購入する場合には、買い替え(住み替え)ローンを利用することで、前の住宅ローンの不足分と新たな住宅ローンを一本化して借り入れることができます。
通常は、住宅金額+諸費用までをローンで組むことになりますが、売却した住宅の残債分も新たなローンに含まれるため、銀行としては担保価値よりも大きなローンを貸すことになります。つまり、何の担保もなしにローンの残債分だけお金を貸すことになるため、銀行にとってはリスクが大きくなるということですね。そのため、収入に対する審査が厳しく、通常の住宅ローンであれば年収の40%程度までを借入上限とするところですが、買い替えローンの場合は収入の20%までとなります。
※審査の基準は金融機関・諸条件により異なります。
【3.任意売却】
ご自身の預貯金や親からの贈与だけでは完済ができず、新しく住宅購入するわけでもない場合、任意売却という手段があります。どういうものかというと、住宅ローンの残債を自己資金で補えない場合に、債務者(銀行)の同意を得て、抵当権の解除を設定してもらい売却することを意味します。そして売却後に、金融機関と交渉のうえ期間や返済金額を再設定して、住宅ローンの残債を分割で支払うことになります。
任意売却を選択する場合、金融機関との交渉や買主とのやり取りなど、決められた期間内にさまざまな手続きを行う必要があります。そのため、任意売却の手続きに慣れている不動産業者や弁護士へ相談することをおすすめします。
ここで、よくある誤認として、任意売却をすると信用情報に傷がついて新たにローンを組めないのでは?と思われる方がいらっしゃいますが、信用情報に傷がつくのはあくまでローンの返済が滞った場合なので、任意売却をしたからといって信用情報に傷がつくということはありません。
いかがでしたでしょうか?住宅ローンと新たな家賃を並行して支払っていくことができれば、将来的に自宅へ戻ることも検討できますが、お勤め先からの補助が手厚くなければなかなか難しいでしょう。住宅は人生で一番高い買い物ですので、購入前に今後のライフプランをしっかりと考えることもそうですが、購入後にライフプランに変更があった場合には、どのように対処したらベストなのかもあらかじめ考えておくようにしましょうね。