中古マンションのリノベーションといっても、いくつかのタイプが存在します。元々ある住戸を買ってリノベーションするのか、スケルトン住戸をリノベーションするのか、はたまたリノベ済みマンションを購入するのか。それぞれにどんな違いやメリット・デメリットがあるのか、実際の物件見学の様子とともに解説します。
▽ 目次 (クリックでスクロールします)
3タイプのマンションリノベーションをまとめて見学
(1)既存のままの物件をリノベーションするタイプ
(2)スケルトン住戸をリノベーションするタイプ
(3)リノベーション済みの中古マンションを買うタイプ
住戸のほかに共用部分も要チェック
3タイプのマンションリノベーションをまとめて見学
「中古マンションのリノベーション」と一口に言っても、
(1)既存のままの物件をリノベーションする
(2)スケルトン住戸を買ってリノベーションする
(3)リノベーション済みのマンションを買う
など、実はいくつかの選択肢が考えられ、それぞれにメリット・デメリットやチェックすべきポイントが存在します。
そこで今回SUVACOでは、実際に販売されている中古マンションを会場に、3タイプそれぞれの違いを体験していただくイベントを開催しました。
京王線「上北沢」駅から徒歩4分にある
『フォレスティア上北沢』(住友林業)というマンションにて、上記3タイプの住戸を見学しましたので、その様子をレポートします。
案内役はSUVACOでユーザーの相談を受けているアドバイザーの竹村。実際に3つの住戸を内覧しながら、それぞれのどこをどう見ればいいのかを具体的に解説していきました。
【竹村洋亮プロフィール】
SUVACO株式会社にて事業推進を担当。専任アドバイザーを務める。
大手リフォーム会社、リノベーション会社を経て、SUVACOに参画。
リノベーション業界の知見と現場での経験を生かし、新築・リノベーションを検討するユーザーのご相談に日々応えています。
(1)既存のままの物件をリノベーションするタイプ
今回の物件は築28年。内装はきれいにリフォームされていますが、間取りや水回りは今見るとやはり古い印象が否めません。
特徴的なのは、リビングの隣にある和室。和室には押入れも存在します。
こうした既存住戸を見学する場合、壁が壊せるかどうか、天井を上げられるかどうか(二重天井かどうか)などをチェックすることが大切です。このマンションの場合、「壁式構造」といって壁によって重さを支える構造のため、壊すことのできない壁が存在します。壁を叩く音によって、壊せる壁かそうでないかはある程度判別できるので、内覧の際に確認してみるとよいでしょう。
壊せない壁がある場合、間取り変更に影響が出てきますから、それを踏まえてどんなリノベーションができるかを検討していくことになります。
こうした既存住戸のメリットの1つは、残すものと変えるものとを選択できること。予算に合わせて、たとえばトイレは元々ある物をそのまま使うなど、既存をどこまで活かすかを検討することで費用を抑えることができます。
一方で、フルリノベーションを考えた場合には、解体・処分費がかかってしまうことに注意しましょう。
(2)スケルトン住戸をリノベーションするタイプ
イベントでは、次にスケルトン状態の住戸を見学しました。
スケルトン住戸とは、設備や壁、床材などの内装を取り払ったむき出しの状態の住戸のこと。コンクリートむき出しで、普段目に見えない配管や配線も見えるので、どんな間取りプランができるか、あるいはできないかがよりわかりやすくなっています。
一方で、本当に何もない状態なので、どういう部屋になるのか、想像するのが少し難しいかもしれませんね。
この物件の場合、先述した通り壁で支える構造なので、梁や柱がなくすっきりした空間なのが特徴です。これはスケルトン状態の住戸を見ることでより実感することができました。
スケルトンの場合、壊せない壁の存在や、水回りが移動できるかどうかをチェックしやすいのもメリット。たとえばこの住戸の場合、浴室・洗面のまわりにある壁は壊すことができないことが見てわかります。パイプスペース(PS)と呼ばれる配管スペースがここに設置されているのもわかります。
ほかにも天井がどこまでの高さまであるのかが見てわかります。躯体現しと言われる、コンクリートむき出しの天井にした場合どういう見え方になるかも確認できます。
このように、変えられる部分、変えられない部分がより目に見える形でわかるのが、スケルトン住戸のメリットの1つです。
ほかのメリットとしては、
・解体費がかからない。
・壁や天井の取り合いを考えなくていいので、自由なプランが可能。
・床や建具との関係を考えずに、容易にバリアフリー化ができる。
・配管・配線など、本来隠れている部分の状態把握ができるので、施工の算出が正確に行えると共に、配管、配線の工事が容易。
といったことがメリットとして挙げられます。
(3)リノベーション済みの中古マンションを買うタイプ
3つ目の選択肢は、すでにリノベーションされた物件を買うことです。これは「リノベ済み物件」あるいは「再販物件」などとも呼ばれます。
『フォレスティア上北沢』でも、リノベーション済みの住戸を見ることができました。既存住戸とスケルトン住戸を見た後なので、そのギャップにより驚きます。
設備、内装含め、新築マンションとまるで変わらないクオリティであることが見て取れます。
リノベーション済み住戸のメリットの1つは、新築マンションと同レベル、あるいはそれ以上のクオリティを、たいていの場合は周辺相場よりも安く購入することができることにあります。
ほかにメリットとしては、完成形を目にすることができるのでイメージ通りの住まいが手に入れられることや、すぐに引っ越し・入居が可能なことなどが挙げられます。
自分で物件を買ってからリノベーションすることと比べると、当然ながら自分好みに作り上げることができないことと、価格が決まっているので予算に合わせた調整ができないことがデメリットでしょうか。
住戸のほかに共用部分も要チェック
以上、3種類のタイプについて特徴や注意点を見てきました。最後に、すべてに共通するチェックポイントについてお話しします。
中古マンションを内見するときには、住戸だけでなく、周辺環境や共用部分をチェックすることも重要です。駅からの街並みや施設、近隣の雰囲気といった周辺環境を確認しましょう。
また、マンションの共用部分にも重要な情報が詰まっています。外観やエントランスの状態、郵便ポストやゴミ置場、駐輪場や掲示板を見ることで、このマンションがしっかりと維持・管理されているか、ほかの住民の家族構成やマナーなどが見えてきます。見学の際は、こういった共用部分もチェックするようにしましょう。
ちなみに、今回見学したフォレスティア上北沢の場合、一棟丸ごとリノベーションといって、住戸だけでなく、マンション全体もリノベーションされています。そのため外観、エントランスや外構、共用施設などの共用部分もリニューアルされており、より快適さが増していました。こういった要素にも注目すると良いでしょう。
今回は、マンションリノベーションの3つのタイプについて実際の物件を見学しながら解説しました。
とはいえ、自分たちに合った中古物件を探したり、その物件が本当にいいのか、どうリノベーションできるのかを判断するのはなかなか難しいと思います
そこで、客観的なプロのアドバイスをもらうのも1つの方法です。SUVACOでは、リノベーションにも詳しく、その観点から中古マンションを探してくれる不動産会社と提携して、物件を紹介するサービスも行っています。利用は無料で、強引に営業されることもありませんので、よろしければぜひ活用ください。
リノベーション向き中古物件をお探しの方
また、自分でリノベーションしたい場合、適切な依頼先をご紹介するサービスも行っています。今回イベントの案内役を務めた竹村などのアドバイザーが、どの会社にも寄らない第三者的な視点から、ご要望に合ったリノベーション会社や建築家を紹介しますので、ぜひご活用ください。
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