建築の骨組みでは、柱はなくてはならない存在です。しかし柱はプランニングの際の制約ともなります。そこで柱を骨組みとしてだけでなく、住まいのインテリア要素としても積極的に採り入れていく良い方法を考えてみましょう。制約であったはずの柱は一転して、家族の一員のように住まいを身近に感じさせてくれる存在になることでしょう。ここでは木造の骨組みを中心に、柱の魅力を考えてみましょう。
▽ 目次 (クリックでスクロールします)
柱はどれくらい必要なの?
わざわざ立てたくなるほど満載な柱の魅力
住まいのシンボルとなる柱
場所の性格を強調する柱
住まいの領域を柔らかく守ってくれる柱
林立する柱
骨組みの可視化としての柱
リフォーム・リノベーションの既存柱を活用するには
柱はどれくらい必要なの?
一般に木造住宅では柱はどれくらい必要でしょうか。だいたい1.8メートルの間隔で柱を並べられれば、もっとも合理的に建てられます。
しかしこれでは家中が柱だらけになってしまいます。そこで、主な部屋の柱は間隔を広く取って、室内に柱が出ないように作るのがふつうです。そしてその際、柱の間隔を広げたぶん頭上の梁を太く作ります。
しかし柱の間隔は広くてもせいぜい3.6メートルが限界で、それ以上取ると建設コストに影響してしまいます。
したがって、一般に幅がだいたい4メートルを超える部屋なら、室内に柱が立つと考えて良いでしょう。
下の写真は、柱の間隔を目一杯とって大きなリビング・ダイニングを作った例です。柱間隔が広いぶん、頭上の梁が太くなっていることがわかります。
わざわざ立てたくなるほど満載な柱の魅力
ところでSUVACOの実例を見てみると、必ずしも必要のない場所にあえて柱を立てている例も数多く見られます。これらは明らかに、柱の持つ魅力を意識的に住まいに採り入れた例と言えるでしょう。
では住まいの柱にはどのような魅力があるでしょうか。例を見ながら考えてみましょう。
住まいのシンボルとなる柱
住まいの真ん中に太い「大黒柱」があると、いかにもこの柱が一家を支えてくれているという感じがしますよね。このように柱は独立して立っていると、他にはない強い存在感を持つことができます。
下の写真は、そんな大黒柱の例です。圧倒的な太さと存在感を持って住まいの中央に立っている感じがしますよね。
また下の写真のように、大黒柱ほどの太さはなくても、柱が住まいの真ん中に立つことでシンボルになっているような例もあります。柱があることで周りの場所がキリッと引き締まって、住まいがますます生き生きと感じられています。
そして次の例は丸い柱です。こうして見ますと、四角と丸とでは印象が大きく異なることがわかりますよね。四角柱は明瞭な輪郭と方向性を感じさせてくれますが、丸柱は柔らかな輪郭と回遊性を感じさせてくれます。
場所の性格を強調する柱
柱の立ち方を工夫することで、周囲の場所の性格をよりはっきりと可視化して感じさせることができます。このように場所の性格を強調する柱の例をいくつか見てみましょう。
下の写真は2本の柱が立つ洋室です。物理的にはワンルームですが、柱が2本立っていることで、場所が「こちら」と「むこう」の2つに柔らかく分かれています。
1つの部屋をできるだけ柔らかく2つの場所に分けたいときには、壁や家具でなくても、柱だけでここまで表現できるんですね。
また下の写真では、広々としたリビング・ダイニングに柱が1本立っています。よく見ると、この柱のおかげでリビングとダイニングの場所がそれぞれ独立した存在として、柔らかく分かれて並んでいることがわかります。
広いワンルームの部屋でこのように真ん中に柱を立てると、部屋全体を引き締めて複数の場所を輪郭づけてくれるのです。
一方こちらもまた広いリビング・ダイニングですが、4本の丸柱がダイニングを囲んでいます。こうすることでダイニングは、広い部屋の中の小さな奥まった場所として、ますます魅力的な存在になっています。
住まいの領域を柔らかく守ってくれる柱
柱は屋外でも大活躍をします。
柱を立てることで、住まいの領域を外界と柔らかく仕切ることができます。塀やフェンスで仕切らなくても、視覚的にはつながりを持たせた状態で、柱がしっかりと住まいの領域を守ってくれます。
下の写真では4本の柱が、玄関と前庭を道路から柔らかく仕切ってくれています。
林立する柱
柱を林立するようにたくさん立てて、非日常的な楽しさを演出することもできます。
下の写真では、丸柱を積極的に林立して見せることで、住まいの中に楽しい非日常の風景を創り出しています。
また、下の写真は木造アパートの一室をリノベーションした例ですが、既存の林立する柱をそのまま残して、真っ白なインテリアの中で浮かび上がって見えるように演出しています。
柱をじゃまなものとして扱ってしまうのではなく、このように新たなインテリア要素として積極的に採り入れるという発想も、またすばらしいものです。
骨組みの可視化としての柱
木造住宅は数多くの骨組みから成り立っています。これらが並んでいる様子は、建設現場で見ていてもとても美しいものです。
そこで骨組みをすべて隠してしまわずに、できるだけ露出して建てることで、住まいの構造を模様のように楽しく眺めながら暮らすことができます。
下の写真では、独立柱だけでなく壁の中の柱まで強調して見せています。結果、いかにも木の住まいで暮らしているというピュアーな魅力が出てくれました。
この柱の露出はまた、本格的な和風住宅では室町時代以来の伝統的な造り方にもなっています。
下の写真のように、柱は壁から露出して造られています。これを「真壁(しんかべ)造り」といいます。改めて見ているととても美しいものですよね。
リフォーム・リノベーションの既存柱を活用するには
柱の魅力は、新築はもとよりリフォーム・リノベーションのときに、より真価を発揮することがあります。
木造住宅のリフォーム・リノベーションでは、既存の柱は撤去が困難なものもありますが、補強をすれば撤去可能な柱もあります。
しかし撤去してしまう前に一度、既存柱を新居に取り込んだ状態をイメージしてみましょう。すると、それがきっかけで、柱が家族の一員として新たな魅力を持てるかもしれません。
下の写真は戸建て住宅のリノベーションですが、住まい方を既存の柱にうまく合わせることで、リビングとダイニングのコーナーがとても良い感じで柔らかい独立性を得ていますね。
住まいを新築なさる際には、ぜひ独立柱を積極的に住まいに採り入れてみてください。また、既存の戸建てや木造建築をリフォーム・リノベーションなさる際には、既存柱をいかに新たな生活に採り入れるかをぜひ前向きにご検討ください。
それまでにはなかった新しい魅力を備えた住まいが、きっとできあがりますよ!
SUVACOとは?
SUVACOは、自分の価値観と合うリノベーション・注文住宅の依頼先に出会えるサービスです。
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