2016/11/06更新1like2557viewSUVACO編集部

フィリピンで、古き良き昭和の匂いがする「スラム再定住地」を歩いた

東京大学で建築を学んでいるクニエと申します。先月1週間ほど、大学の調査でフィリピンのスラム再定住地の住宅の調査をしてきました。住宅内部の写真を撮らせていただき住民の方にインタビューをするといった具合でなかなか面白い体験でした。今回はそんなフィリピン調査のレポートと途上国の住宅供給についてのお話をさせていただきます。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

フィリピンのスラム再定住地とは?

著者撮影

著者撮影

まず「スラム再定住地」というなかなか聞き慣れないワードについて説明したいと思います。

「再定住地」には大きく分けて2種類あります。ひとつが災害で住居を失った人のための新しい住宅地、もうひとつがスクワッター(不法居住者)を立ち退きさせる際に彼らのために新しく作る住宅地です。

僕が調査をしたのは後者にあたります。


スラムに暮らす人々は基本的に社会的に居住を認められておらず、スクワッター、つまり不法居住者としてスラムに暮らしています。話を聞くと、二畳程度の広さの部屋を借りて家族で住んでいたなんてことがざらにあります。


僕が調査をした再定住地は、2013年の台風被害をきっかけに災害危険地区に指定されたスラムに住んでいた人向けに造成されたもので、行政とデベロッパーが協力して長屋形式の住宅を低価格で供給しています。

実態としては、インタビューをしたほぼ全ての住人が未だ住宅ローンを払っていませんでしたが、彼らのほとんどは一生ここに住み続けたいと語ってくれました。
筆者撮影

筆者撮影

住宅の多くは住民らによって増改築が進んでいます。増改築のデザインは住民自らが行い、施工は彼ら自身であったり友達の大工さんに頼んだりするのが一般的です。以前住んでいたスラムの地区ごとに住棟が割り振られているので、近所の住民同士で通りにイスを出して会話している光景がよく見られました。

以前強盗の被害にあったなど物騒な話もちらほらと聞きましたが、実感としては古き良き昭和といった雰囲気のある温かな感じのする町でした(平成生まれなので昭和は体験していませんが)。
著者撮影

著者撮影

家の中は...

僕がインタビューをした住居を一つ紹介します。

家の前でニョッキ?のような乾麺を売っているこの家は家族8人で暮らしており、部屋の広さはおおよそ40平米ほど。もともとは24平米の住戸で、前面と背面を増築しています。
著者撮影

著者撮影

中はだいぶ暗いです。というのも、フィリピンは熱帯雨林気候に属しており年中暑い日が続くので住人たちは室内に日光を取り込むことに後ろ向きです。エアコンはなく扇風機のみなので、増改築をした家のほとんどが出来るだけ熱気を室内に取り込まないよう閉じきった建物にしています。

家の中では靴を脱いで、床に座ってご飯を食べていました。ちゃぶ台のようなものはなく床に皿を置くといった具合です。ただこれに関しては家によってまちまちでイス座の家も普通に見られたので家庭差といったところでしょうか。
著者撮影

著者撮影

構造体はコンクリートブロック造。やはり台風が頻繁に来る国だけあって自重の重い材料を使うのが建物の基本です。ただ鉄筋の本数は日本では考えられないほど少なく、地震には不安がのこります。

問題点としては風通しの悪さ。防犯のために背面の増築部は閉じきっていることが多く、部屋の中を風が抜けません。実際家の中はかなり蒸し暑かったです。
著者撮影

著者撮影

アレハンドロ・アラヴェナ

現在はこの調査を論文にまとめつつ、どうしたらこの住環境がよくなるかを模索している途中です。

そんな中、途上国の住宅つながりで海外の有名建築家の作品を一つ紹介します。
アレハンドロ・アラヴェナによるチリの公共住宅「キンタ・モンロイの集合住宅」です。2016年のプリツカー賞(建築界におけるノーベル賞のようなもの)を受賞したこの作品は、住宅の半分を供給し、もう半分は住民自ら増築してもらうというものでした。
この作品で僕がなによりも好きなのは、やはり見た目の美しさです。限られた予算でよりよい住環境を整えるために住民に増改築のメソッドをレクチャーしたという建築のプロセスも確かに多分に評価されていますが、問題解決を大前提として建築の見た目の美しさの次元までこの住宅を持って行ったことに心を打たれます。

もちろんフィリピンとチリでは状況が全く異なりますが、住環境改善という問題解決だけでなくアートとしての美しさも建築のもつ力の一つであることを認識した上で、解決策を模索していけたらと考えています。
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