2017/05/11更新2like5730view

著者:tennto1010

今年の夏はいつもと違う!パッシブデザインで夏を涼しく

冬にはあれほど恋しかった太陽の暖かみが、一転、少しうっとうしく感じるようになってきた今日この頃…。
とはいえ、窓を開放すれば初夏のさらりとした風が気持ちよく家を吹き抜けていく、日本の気候のなかではそんな貴重な時期でもありますね。夏本番になっても、なんとかこのままの快適な家であってくれたら…、そう感じたことは誰にでもあるはず。
気持ちの良い季節、誰もが感じる自然を取り込むことで生まれる心地よさ。この心地よさを一年中実現する家づくりの方法として注目されているのが、パッシブデザインという設計手法です。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

パッシブデザインとは

エアコンなどの器具に出来るだけ頼らずに、太陽の光や熱、風といった“自然の力”を適切に取り入れて住環境を向上させる設計手法。つまり、外部環境から心地良さにプラスとなる要素を上手に取り入れ、逆にマイナスの要素の影響を出来るだけ排除することで、四季を通じて快適な住環境をつくるための設計上の工夫です。

キーワードは、①断熱 ②日射遮蔽 ③通風

冬暖かく夏涼しい家にするために欠かせないのが、家の断熱性能を上げることです。冬には家の暖かい空気を外に逃さないため、夏は外気の熱気を家に入れないための家の基本性能ですね。

そして、夏一番の強敵が強い日射。その多くが窓から入ってきます。夏の部屋の温度を上げないためには、この日射を如何に遮蔽するかが大きなポイントです。

最後に通風です。室温よりも涼しい空気を取り入れられるか、さらに屋内の熱気を抜くことができるかが大切になってきます。

それでは、具体的な対策の事例を見ていきましょう。

まずは屋根・天井を断熱せよ!

夏の日射は屋根に多く当たるため、真夏の屋根の表面温度は、なんと70℃ほどにもなるそう!したがって、断熱が不十分だと、この熱がそのまま部屋へと伝わってしまうことになります。
屋根の断熱の手法の一つに、屋上緑化があります。土壌は熱を伝えにくいので、天然の断熱材となって屋根を覆います。さらに、植物の蒸散作用によって周囲の熱が奪われ(気化熱)温度を下げる効果も期待できます。断熱された屋根により、冷房効率が上がり省エネになるだけでなく、ヒートアイランド現象の緩和、紫外線による建物の劣化防止、など様々なメリットがあります。

もちろんメリットばかりではありません。施工には荷重や防水対策などクリアすべき点も多いですし、また水やりなど維持・メンテナンスも必要です。

ハードルは高くても、この気持ちよさ!一度味わってみたい…。
米田横堀建築研究所「草屋根の家」

日射といえば、これ!深い軒で家を包む

日本の家では、古くから深い軒で風雨や日射から家を守ってきました。まさに、日射遮蔽の王道と言えますよね。
軒下という半外部空間が、空間的にも心理的にも、おおらかで豊かな広がりを与えてくれます。

今年の夏から即実行!壁面緑化で日射遮蔽

私を含め⁉︎今年の夏までに何らかの対策を講じたい!と考えている場合に、まず始められるのが、緑のカーテンによる日射遮蔽対策です。

屋上緑化とともに取り上げられることが多い壁面緑化。植物の力を利用したパッシブデザインの手軽な手法の一つです。
実は、室内側につけるレースカーテンやブラインドは、これだけでは日よけとしては十分とは言えないそう…。日差しを室内に取り込んでから遮るために、日射熱の多くが室内に放出されてしまうからです。
その点、屋外で日射をシャットアウトする壁面緑化は、効果を期待できます。見た目の涼しさももちろん、通風を妨げず、また植物は前述の蒸散作用によりそれ自身に熱を持たない点などが、簾などよりも優れたものとして注目されています。

デザインにも妥協しない!スマートに日射遮蔽

日射遮蔽の仕掛けには、その他どのようなものがあるでしょうか。夏限定で取り付けができる日除けシェードも手軽に使えるものの一つです。
一級建築士事務所 感共ラボの森「町田のナチュラルハウス」
家の意匠のポイントともなっているこちらのルーバー格子。目隠しでもあり、日除けでもあり、と様々な役割を見事に果たしています。
屋内には、ハニカムサーモスクリーン(断熱レール仕様)が採用されています。ハニカム構造により部屋と外部との間に空気層をつくることが出来る、つまり断熱材の役割を果たす優れもの。障子のような柔らかい雰囲気がどのような空間にもマッチします。

西日対策を怠るな!

西日が差し込む夏の部屋は、対策をしていないと蒸し風呂状態になることも!プラン上、無理がないようであれば、西側の窓を小さくとるなど、日射の影響を受けにくいよう対策したいもの。
窓を小さくできない場合でも、日射遮蔽効果の高いガラスを使用する、西側に袖壁をつくるなど、西日対策は是非怠りなく。
一級建築士事務所 感共ラボの森「町田のナチュラルハウス」

風の通り道をつくって涼風を取り込め!

深い軒の出と同様に、北の庭の冷気を取り込んで涼感を得るということは、日本の住宅で古くから取り入れられている知恵です。
こちらは写真の右が北側、左が南側。北側の植栽がつくる涼しい木陰からの冷気を取り入れて、暖かい空気が上昇する性質を利用した”温度差換気”で、南側の高窓から排熱します。
風の通り道をつくったマンションリフォームの事例です。個室をまっすぐに並べ、それぞれに室内窓やスリットを設けることによって、南北に風の入口と出口が繋がりました。
山本嘉寛建築設計事務所 yyaa「吹き流しの家」
その他にも通風対策としては、ウィンドキャッチという考え方があります。物にぶつかると向きを変える風の特性を活かし、窓の開き勝手の工夫で風を受け止めて、またその風を別の窓から逃すことで空気を循環させる方法です。
今年の夏からパッシブな家づくりを目指してみませんか?私は早速、緑のカーテンを設置する予定です。暑い夏が来るのが、なんだか楽しみになってきました!
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