2018年12月02日更新

インテリア(スタイル)

お酒飲みの住居学

いよいよ師走。年末年始は忘年会や新年会、親戚の集まりなど、何かとお酒を飲む機会も増えてきます。外で飲むのも楽しいですが、おうちでお酒を楽しむのも乙(おつ)なもの。お酒好きも、そうじゃない方も、しっぽりできる家を探ってみませんか。今回は、お酒を愛する編集部M(男性)がお届けいたします。


お酒を楽しめるスペースは、案外いろんなところにある

たまにはわが家でのんびりとお酒を嗜むのはいかがでしょう。ひとりでもいいし、ふたりでも、みんなとでも。日常のあわただしさをちょっと忘れて、ゆっくりとおうちでお酒を楽しむ時間をつくってみませんか。できればテレビも消して。

ちょっとお酒を楽しめるスペースは、家の至るところに見いだすことができます。大きなダイニングテーブルの一角でもいいですし、キッチンのカウンターでもいい。あるいは縁側やバルコニーで外を眺めながらちびちびやるのもいいものです。リビング階段でも楽しそう。

こちらの写真は、星設計室による注文住宅「やはぎの家」。
「家の内外にお施主さまのお気に入りになりそうな様々な場をつくり、季節や時間帯によって、その時の気分でいろいろな場所が寛ぎの場になるように考えました」

借景を眺めながら、あるいは畳のロフトで、あるいはルーフテラスで…と、まさに様々な場所でお酒が飲みたくなる家です。

建築家 鷲巣 渉さんによる「3-BOX 1800万円の家」では、「八ヶ岳のような緑を見ながらのBEER&ランチ」という施主の要望に応え、開放感あふれる空間を実現しています。

「暖かい日の昼間の小さなテラスでのBEERと、カーテンを開け放ってダイニングの椅子に座れば『庭の緑が正面に見える』ように計画しました。ただ『開放的な家』は『耐震性に劣る』のが一般的ですが、この住宅はサッシの内側に筋違(すじかい)を入れて耐震性能も確保しました」

そうです、お酒を楽しむスペースは至るところにつくれるのです。

BAR「わが家」へようこそ

いつもお酒を楽しんでいたい方、バーの雰囲気がお好きな方は、家をつくり変えるときに、思い切ってバーのようなキッチンにしてみるという手もあります。これなら毎晩テンションが上がること間違いなし。もう外ではめったに飲めなくなってしまうかも。

「代々木上原に好きなバーがあるのですが、お酒の並ぶ棚が間接照明で光ってるんですよ。オシャレだなーと思って取り入れました」とご主人が話すのが、nu(エヌ・ユー)リノベーションが手がけた「一番居心地の良いバー」というマンションリノベーション。

お酒が好きな仲良し夫妻が、乃木坂にあるヴィンテージマンションを、ふたりにとって一番くつろげる空間にリノベーション。キッチンバックカウンターにつくり付けた棚には、リキュール瓶が並んでいます。

お酒を飲んで、眠くなったらすぐに寝室に直行できるこの環境は「一番好きな飲み屋さんが出来上がったという感じですね(笑)」とご夫妻。

そして、こちらはリノデュースによるマンションリノベーション「キッチン越しに、広がる世界」。

カウンター形式のホーム・バーでは、グラスの収納スペースもグラスホルダーで確保。ボトルや小物を置ける『見せる収納』も十分に確保し、まさにお店のような雰囲気のホーム・バーをスムーズに実現しています。

お酒を愉しむためのカウンターをつくるという手もあります。こちらは建築家 森吉直剛さんによる「D-FLAT / オーナー住戸付き集合住宅」のバーカウンター。

「リビングに併設しているテラス脇にカウンターとお酒の収納棚を設置して、夜景を眺めたり、テラス側に座った人とも会話しながらお酒を楽しめるようにしています」

For Party People!!

みんなでわいわいやるのが好きな方は、人を招きやすい空間にするとよいでしょう。大切なのは柔軟性。人数が急に増えても対応できる、懐の深い、柔軟なつくりにしておくと何かと便利です。

たとえば大きなダイニングテーブルがどーんとあると、皆が思い思いの場所に座って楽しみやすくなります。床やベンチなど、自由に座れる場所がたくさんあるのもよいですね。

こちらはAIRHOUSEによる戸建てリノベーション「Renovation in Nekogahora」のダイニングキッチンです。毎週のようにホームパーティーを催すお施主様のために、ダイニングキッチンをメインとした空間とし、大きなダイニングテーブルを設けました。

好きなものを眺めつつ、飲む

お酒の楽しさの一つは瓶やラベルの美しさ、おもしろさではないでしょうか。好きなお酒を家に並べるだけでテンションが上がってきます。今夜は何を飲もうかと選ぶのもまた楽しいものです。

せっかく家をつくるなら、あらかじめお酒を並べられる棚を造作するのも一興です。こちらはROKUSAが手がけたマンションリノベーション「メゾネットソーホー」。

ご夫妻が集めているたくさんのお酒を飾る棚を作りたいとのご要望を受け、ディスプレイ棚を造作しました。こだわりのディスプレイ棚には、趣味で集めているお酒やグラスなどを飾るそうです。

こちらは、UGU ARCHITECTSが手がけた二世帯住宅「それぞれの想いの家(都市型分離2世帯住宅)」。

40代後半のご夫婦と高校生のお子さんがいる子世帯で、お酒好きのご夫婦が家でゆっくり好きな酒を嗜みたいとご要望。料理や食事より気持ち良く「酒」を飲むことを優先し、キッチンの背面収納にお酒が綺麗に見えるような棚や、キッチンの前にダイニングテーブルと一体になるカウンターを設けるなどしています。

こちらは湘南リフォームが手がけたマンションリノベーション。その名も「ワインを愉しむ住まい」。

もともとあったキッチンが比較的きれいな状態だったためこれを生かし、その分、ワイングラスホルダーを兼ねた対面カウンターを造作することで使い勝手を高めました。

「今日はどのグラスを使ってワインを飲むもうか」と、グラスを選ぶところから楽しめる住まいです。

こちらはスタジオロクが手がけた戸建リノベーション「花園のイエ renov.」。間仕切りの壁にお酒を飾るスペースを設けています。ラベルを眺めるのも楽しそう!

「もともとは二間続きの和室をリノベーションしました。来客用ではなく、自分たちがゆっくりとくつろぐための第二のリビングをご要望でした。 お酒好きなご主人に照明を仕込んだ酒棚を、お庭の花々を眺めつつ読書を楽しみたい奥様に木製ルーバーとテーブルを設え、全体的に木質系の材料でコーディネートしました」

そしてこちらは建築家の高橋正嘉さん(ハイランドデザイン)による「桜町の住宅」。

このキッチンの扉を開けると、お気に入りのお猪口たちがお目見えします。

「キッチンのなかに猪口を入れる収納を組み込み、ダイニングテーブルからお気に入りの猪口をすぐに取り出せるように工夫しました」

そして、なんと愛車フェラーリを眺めながらお酒を愉しめる家も。杉浦事務所による注文住宅「house Kf」です。

特別感のある空間を作り出す

おうちでお酒を楽しむとき、大切なのは空間の雰囲気。お酒を存分に愉しむために、思い切った空間づくりをしてみるというのもアリかもしれません。

こちらはアトリエ・キューブ建築設計による「酒盃の家」という注文住宅です。日本酒ライターでもあるお施主様による、家中どこででもお酒を楽しめる夫婦ふたりの家です。日本酒や徳利を型どった造作扉や古建具を利用しているのも、いいアクセントになっています。

そして、これぞ究極の酒飲み空間かもしれません。その名も「酒部屋」。お酒が好きなご主人の唯一のリクエストがこの酒部屋だったそうです。一級建築士事務所アトリエmが手がけたこの家、外観も内装もパリのアパルトマンを思わせるつくり。その中に浮かび上がる酒部屋が見事です。

「ご主人の希望はほぼ酒部屋だけ。もちろんお酒が大好きです。酒部屋とパリのアパルトマンという全く相容れないものが融合していて違和感がないように、というご要望でした」

「高さ80cmのにじり口から頭を下げて入る本格的な酒部屋の中には小縁があり、その上には半畳の畳が2枚。壁は消し炭色、天井はよしずを海老茶に塗り仕上げました。お気に入りの酒蔵を回るのを楽しみにしているお施主様が、静かにお酒をたしなむ部屋です」

お酒好きが家をつくるなら

もしあなたがお酒が好きで、これからおうちをつくろうとお考えなら、どんなシチュエーションでお酒を愉しみたいか、イメージを集めていくと良いかもしれません。バーでも居酒屋でもレストランでも、楽しくお酒を味わえる空間を訪れたら、この空間のどんなところが自分は好きなのか、少し立ち止まって考えてみるといいでしょう。

または、いいなあと感じるおうちの写真を集めてみるのもよいでしょう。SUVACO(スバコ)であれば、いいなと思った住宅事例の写真をワンクリックで「お気に入り」することができ、マイページから見ることができます。
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ただし、それほど凝りすぎなくてもお酒を愉しむ空間づくりは可能です。
「あまりデザイン上で作り込まずに照明や窓の取り方などで気持ちが上がる配慮をしてあげるのが『我が家』で楽しむためにはいいかも知れません」(UGU ARCHITECTS 雨宮靖さん

また、いくらお酒好きの方でも専門家との打ち合わせの初期段階からお酒の話を切り出すのは、ちょっとはばかられるかもしれません。でも、打ち合わせを重ね、互いに打ち解けていくうちに徐々にみえてくることもあります。

「『お酒好きなお施主さま』、なかなか要望には出て来にくいワードでもあります。特に初期の要望事項の中には表現されないことのほうが多いと想像します。打ち合わせを重ね、コミュニケーションを重ねていく中で、『お酒好きなお施主さま』だと気がつくケースもあるわけです。あるいは、竣工後のお付き合いの中で飲み仲間になることだってあります」(Den設計室 新田 浩司さん

新田さんが手がけた注文住宅「さくら 〜薪ストーブのある木の家〜」では、お米づくりから得られる稲わらを使ってお正月飾りをつくり、忘年会の会場としても使わせていただいたそう。施主と設計者との良好が関係づくりがあればこそ、笑顔あふれる乾杯の風景が生まれるのですね。

家をつくる、あるいはつくり変えるときが来たら、「自分はこの家のどこで、どんなふうにお酒を飲むのだろうか」と想像してみてください。そのイメージから自分が求めている空間、心地よいと感じる雰囲気が導き出されてくるのだと思います。

よいお酒を!


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この記事を書いた人

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