ワンストップリノベーションとは？メリットと注意点

リノベーション前提で中古物件を購入することがメジャーになりつつある今、リノベーション会社を調べてみると「ワンストップリノベーション」という言葉をよく目にします。各社が打ち出すこのワンストップとは何？メリットは？デメリットはないの？そんな疑問について、できるだけ中立的な立場からお答えします。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

ワンストップリノベーションとは

ワンストップリノベーションのメリット

メリット1：窓口が1つなので手続きがスムーズ

メリット2：物件費用とリノベーション費用との配分がしっかりと出来る

メリット3：金利を抑えたローンを組むことができる

メリット4：物件購入前に、理想のリノベーションを実現できるのかを判断できる

ワンストップリノベーションの注意点（デメリット）は？

ワンストップサービスは何でもあるレストラン？

実は会社によってワンストップの仕組みが異なる

自社ですべて「オールワンストップ」のメリット

他社と連携「パーシャルワンストップ」のメリット

ワンストップという言葉の裏にある「違い」を見る目を

ワンストップリノベーションとは

中古住宅を購入して、それをリノベーションする場合、通常は、

・物件を探す＝不動産会社へ出向く
・設計＝リノベーションが可能な会社や建築家を探す
・工事＝工務店や施工会社とすり合わせる
・住宅ローン＝銀行などの金融機関と相談する

といったように、ユーザー（施主）がそれぞれの依頼先とやり取りをしたり、契約を交わしたりする必要があります。

通常のリノベーションではユーザーが各社とやりとりする

一方、これらの手続きを1つの窓口が一括して行うことで、各ステップをスムーズな流れにするのが、ワンストップサービスと呼ばれるものです。

物件を探す→住宅ローン→設計→施工（工事）

という一連の流れを1社で対応してくれるため、通常のやり方と比べてスムーズに短期間、かつわかりやすく進めることができます。

ワンストップリノベーションでは、リノベ会社が窓口となり、各プロセスを一括して対応してくれる

ワンストップリノベーションのメリット

ワンストップリノベーションには、いくつかの利点があります。詳しくみていきましょう。

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メリット1：窓口が1つなので手続きがスムーズ

通常の場合、物件の話は不動産会社、ローンの話は金融機関といったように、それぞれの会社とやり取りをしなくてはならず、手続きが煩雑になりがちです。

その点、ワンストップリノベーションであれば、窓口が1つなのでやり取りが楽になりますし、担当者が各専門家と調整をしてくれるので進行がスムーズになるのがメリットです。

メリット2：物件費用とリノベーション費用との配分がしっかりと出来る

ワンストップなら、予算のバランスをとりやすいこともメリット。

実は、物件を先に購入した結果、リノベーションをする段階で予算不足になってしまうケースが多々あります。物件購入にすでに多くの予算をつぎ込んでしまい、リノベーションで妥協する……なんてことにもなりかねません。

そもそも限られた予算のなかで、どのくらいを物件購入にかけ、どのくらいをリノベーション費用にかけるかのバランスを考えながら進めることがとても大事なのです。

同じ4000万円の予算でも、物件にどのくらいかけるかでリノベーションでできることが変わってくる。それぞれのバランスを考えることが大事

ワンストップサービスなら、物件でこだわるか？リノベーション重視にするか？などの選択肢から予算を割り当てることが可能となり、最もこだわるべきポイントを明確にできるのがメリットです。

メリット3：金利を抑えたローンを組むことができる

ワンストップリノベーションの場合、物件購入費とリノベーション費用を合算して、住宅ローンを組むことが可能になります。

一般的に、物件費用に関する住宅ローン金利は0.5～1％、リフォーム・リノベーションのローン金利はおおよそ2～4％と言われています。
（※金利は、ローン期間や種類、時期によって異なる場合がありますので、各金融機関などにご確認ください）

つまり、「物件＋リノベーション」のトータル金額を、物件購入と同じ金利で住宅ローンが組めるのです。大きな金額だけに、金利を抑えたローンが組めることは大きなポイントとなりますね。

メリット4：物件購入前に、理想のリノベーションを実現できるのかを判断できる

すでに購入した物件でリノベーションをしようと試みたけど、建物自体に構造上の問題があり、泣く泣く断念……、あるいは、管理規約の問題で思い通りのリノベーションができなかった、なんてケースもしばしば。

しかしワンストップならば、リノベーションを行う専門家と物件の現場を確認できるから、自身の希望や理想のリノベーションが可能かどうかを、事前に判断できるところが魅力。

例えば、

・既存の壁を壊して広いリビングをつくりたい
・キッチンやバスの位置を変えたい！水回りはどこまで動かせるの？
・やりたいことは、マンションの管理規約に則っているか？

など、希望するリノベーションが可能か否かを、物件購入前にチェックできるというわけです。

通常の不動産会社と確認するケースと違って、ワンストップサービスは次へのステップ（リノベーション）を見越した内見ができることがメリット。

なかなか一般的にはわかりづらい建物の構造や配管、排水の経路などを、プロの目線で見きわめることができるのです。

ワンストップリノベーションの注意点（デメリット）は？

ここまで聞いて、ワンストップリノベーションはいいことずくめじゃないか、と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、注意すべき点もあります。

リノベーションを進める際の

・物件を探す＝不動産会社へ出向く
・設計＝リノベーションが可能な会社や建築家を探す
・工事＝工務店や施工会社とすり合わせる
・住宅ローン＝銀行などの金融機関と相談する

という過程はいずれも高い専門性が求められます。それゆえ、これらを1社ですべてまかなうのは容易なことではありません。

それぞれに特化した会社と比べて専門性は高いのか、あるいはどういった体制で運営しているかまで意識できると良いと思います。

ワンストップサービスは何でもあるレストラン？

あえてわかりやすく例えるならば、ワンストップリノベーションは、和風も洋風も中華もイタリアンもお寿司もデザートもあるレストランのようなものです。

1つの店舗でいろんな種類を食べられるのは大きなメリットですが、それぞれに特化した専門店と比べて味のクオリティはどうなのか、どういった料理人がつくっているのかといったことも考えていただきたいと思います。

こう聞くと、和食専門、中華専門店のほうがおいしそうな感じがしてきますが、専門店だからといっておいしいとは限らないことも、みなさんは経験で知っていると思います。

なんでもあるようなレストランだとしても、中華のメニューは、中華の有名店で修行をしたシェフがつくっているかもしれません。

つまり、ワンストップだから良い、専門会社だから良いとは一概に言えないのですが、特にワンストップの場合は、各プロセスの専門性や体制がどうなっているかに注意する必要があるのです。

実は会社によってワンストップの仕組みが異なる

さらにややこしいのですが、ワンストップリノベーションといっても、会社によって、どこまでを自社でやっているかが異なるのです。

物件探しから設計、施工（工事）、インテリアコーディネートまで自社ですべて対応するリノベーション会社もあれば、物件探しは提携の不動産会社と、施工は提携の工務店に依頼という会社も多くあります。

これもさきほどのレストランの例と同様で、すべてを自社でやるから良いとは限らず、それぞれに特化した専門会社と提携したほうがより高い専門性を実現できるケースもあります。

自社ですべて対応する場合を「オールワンストップ」、他社と連携する場合を「パーシャルワンストップ」と呼ぶこともありますが、呼び名はさほど重要ではありません。

大事なことはそれぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、自分にとって納得のできる選択をすることです。

自社ですべて「オールワンストップ」のメリット

すべて社内で行うので共有や連携が取りやすく、コミュニケーションのロスを防げたり、スピーディーな対応が取りやすいことがメリットです。

また、他社と連携している場合には、当然その会社への利益が乗ってくるので、すべてを自社で行っているほうがコストメリットが出やすいと言えるでしょう。

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他社と連携「パーシャルワンストップ」のメリット

餅は餅屋ということで、それぞれの分野に特化している専門会社と提携したほうが、専門性を高めやすいとは言えるでしょう。

自社でスタッフを抱えずに提携しているので、クオリティが満たなければ別の会社へと乗り換えることもできますし、業務の拡大に合わせて提携会社を増やすなどフレキシブルな対応がしやすいのがメリットです。

ワンストップという言葉の裏にある「違い」を見る目を

このように、ひと言で「ワンストップリノベーション」といっても、中身は多種多様で、それぞれにメリットやデメリット・注意点があります。

大事なことは、ワンストップだからとひとくくりにせず、相談先となるリノベ会社がどういう考えを持ち、どういう体制でリノベーションを進めてくれるのかを、依頼（契約）する前にしっかりと確認することです。