2019/10/01更新0like4073view

著者:太田みお

上棟式の準備と当日の流れ【心地よい暮らしのレシピvol.28】

この記事を書いた人

太田みおさん

料理家/ライフスタイルデザイナー。おもてなし料理とテーブルコーディネートの教室lifestyle atelier MAGNOLIA主宰。企業へのレシピ提供やコラム執筆も行い、「暮らしを美しく、心をゆたかに」をモットーに、食卓から幸せを創り出す活動を行っている。

料理研究家・太田みおが10年住んだフルリノベ中古マンションから、注文住宅への住み替えを決意。建築家と作る、夢のマイホームの完成までの実録です。前回は上棟式とはなんぞやというお話でしたが、今回はいよいよ上棟式当日の流れをお話します。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

わが家の上棟式の流れ

わが家の上棟予定の日は真夏の盛りで、その日は暑すぎて危険なレベルでした。職人さんたちの体調が心配でした。朝から、家の骨組みが組み上がっていく様子を見守りたかったので、私は朝から現場に立ち会いました。この日の流れを簡単に書き出すと…

・朝から現場に立ち会う

・休憩ごとに飲み物の差し入れをする

・お昼のお弁当は、辞退されたため準備なし

・日が暮れる頃、一日の作業が終わったあとに上棟式を行う。
(お食事、飲み物、引き出物、ご祝儀を用意し、小宴会。
 簡単な上棟儀式のための、米、塩、酒も用意しておく)

という流れの1日になりました。

圧巻の組み上げと、華麗な職人技

やはり、上棟式の日は暑すぎて、職人さんたちの汗が滝のように噴き出していました。クーラーボックスを持って行き、休憩ごとにタイミングを見計らって近くのスーパーに買い出しにいき、冷えた飲み物を差し入れました。どうか熱中症にだけはなりませんように…とみなさんの体調を心配しながら、見守りました。

基礎しかなかったところから、多くの職人さんたちの手によって、どんどん家の骨組みが組み上がっていくさまは、圧巻でした。鳶のリーダーの職人さんの身のさばきは「なんて美しいんだろう…」と見とれてしまうほど、華麗な職人技でした。例えば、2階から1階に降りるときに、木材を伝ってするすると駿足でおりたり、ぴょんぴょんと、同じ人間とは思えないような脚さばきで木材の上を伝い飛んだり…キレのよいその動きは、ずっと見ていたいくらい美しく、プロってこういうことなんだな、と心から感心しました。

ご祝儀と引き出物について

ご祝儀を用意するか、しないか、するならいくら包むのか。これは完全に施主の判断に任されています。わが家は古家の解体をめぐって想定外のトラブルもあって出費が重なり、余裕はありませんでしたが、皆さんに感謝をきちんと伝えられるせっかくの機会なのでケチるところではない!と奮発しました。

当日参加してくださる職人さんたちの人数や、役職の確認を、あらかじめ工務店を通してしておきます。金額の相場についてインターネットで調べたところ、職人さんやスタッフへの相場は3千円〜1万円。棟梁、工務店の代表者、建築家などへの相場は1万円〜3万円とのことでした。

工務店からは、当日の職人さんたちの名簿を事前にいただきましたが、役職名などは書かれておらず、氏名と所属会社名のみ。様々な会社から職人さんを集めているため、誰がどういった立場なのか、まったくよく分かりませんでした。工務店の代表者、現場責任者、建築家はもちろんわかりましたので、相応の金額を包んでおき、あとの職人さんたちには一律の金額を包みました。もしもの緊急事態を想定して、余分に新札と新しいのし袋を用意しておき、筆ペンも当日現場に持参していきました。この事前準備が功を奏しました。

いざ現場にいくと、職人さん達のなかに、やはりチームのリーダー的存在の人がいらっしゃり、棟梁もいらしたのです。ですから、現場で臨機応変に、ご祝儀の内容をふさわしいものに変更することができました。初めてお会いする人もたくさんいますので、想定外のことが起こり得ます。念には念を入れ、用意しておくと、慌てず済むのでいいと思いました。

ご祝儀を皆様に包みましたので、引き出物は感謝の気持ちさえ伝わればいいかな、と、ビールのロング缶を2本セットと熨斗メッセージ付きのお菓子の盛り合わせを包みました。甘い物が苦手な方もいらっしゃるかもしれないと思い、お菓子は、酒のつまみにもなるような、甘くないものを選びました。ワインがお好きな建築家の先生には、ビールではなくワイン紅白2本セットにして、少し工夫しました。

上棟式に準備する料理と飲み物について

私の仕事は料理家なので、上棟式のお料理は自分で作るかとても迷いましたが、こちらも建築家に相談したところ、「職人さん達は一日の作業でとてもお疲れだし、若くてたくさん食べる人もいるだろうから、寿司の出前などは過去にとても喜ばれていました。」と助言をいただきました。そして、「食べきれなかった分は持ち帰ってもらえるように、プラパックも準備しておくと良いですよ。」というアドバイスをいただきました。なるほど!です。たくさんの現場を見てきた建築家にしかできないアドバイスをいただけて、とても参考になりました。

アドバイスのとおり、人数より少し多めの寿司と唐揚げ(がっつり系)を出前で頼み、お菓子も買ってきて、色々と盛り合わせました。
飲み物は、ビール、ワイン、お茶、ジュース以外に、仕事で車を使う人が多くアルコールは飲めない人が多いため、ノンアルコールビールなどもたくさん用意しておきました。余った寿司やお菓子は用意しておいたプラパックに詰めて、ビニール袋に入れて引き出物と一緒にお渡ししました。

みなさんお疲れなので、宴はだらだらとせず1時間以内に締めるのも、必要な気遣いです。上棟式の最後には職人さんによる「木遣りの唄(江戸時代から続くとび職人たちの唄)」で、締めてくださいました。夕暮れのあかね色に染まる空に響く歌声には、身震いするような感動を覚えました。一日中、職人さんたちの作業を見ていましたが、本当に大変な作業を汗をかきながらしてくださっていて、感謝の気持ちがあふれました。

昔から続く伝統や、節目のケジメをつけること、そして感謝の気持ちをきちんと形で伝えることは、関わる皆にとってとても気持ちが良いものだと、改めて思いました。今は上棟式をやらない人が増えているそうだけど、人への感謝を伝えられる機会は大切にしたらいいのではないかな、と個人的には思います。
上棟したら、棟梁が、家の一番高いところに東に向けて棟札を立ててくださいました。上棟まで無事に終わったことに感謝し、これから完成まで、皆が安全に、無事に工事が終わることを祈願する日となりました。

次回は、着々と家が完成に近づくなかで、施主が注意するべきポイントなどについてお話ししようと思います。
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料理家/ライフスタイルデザイナー。おもてなし料理とテーブルコーディネートの教室lifestyle atelier MAGNOLIA主宰。企業へのレシピ提供やコラム執筆も行い、「暮らしを美しく、心をゆたかに」をモットーに、食卓から幸せを創り出す活動を行っている。

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