2019/12/26更新0like20335view

著者:水沼 均

階段踊り場拡大のススメ〜ちょっと広くすればたちまち楽しい場所に

この記事を書いた人

水沼 均さん

建築設計の学校で長年教師を務め、大勢の生徒さんと接してまいりました。年齢、経歴、そして住まいへの思いも大変多様で、他では得られない貴重な経験ができました。その経験を生かして、豊かな住まいづくりに役立つような記事をたくさん書いていきたいと思います。

踊り場は階段の途中にあって、ホッと一息できる小さなスペースです。住宅の踊り場はふつう1畳分程度の小ささですが、ここをほんのちょっと広げるだけで、たちまち階段は楽しい場所へと変化します。踊り場に少しだけ面積を割いて、住まいの楽しさをもう一つ増やしてみませんか?

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▽ 目次 (クリックでスクロールします)

踊り場ってなに?名前の由来は?

踊り場は階段で上階に行く途中のちょうど真ん中にある、段のない平らなスペースです。階段の途中で転んだときに、下階まで止まらずに転げ落ちてしまうのを防ぐ安全策として、一般に踊り場は設けられています。

ところで「踊り場」という名前は一風変わっていますが、由来・語源はいろいろな説があるようです。よく言われるのは、明治時代ころの舞踏会で美しく着飾った人々が階段で向きを変える姿が、まるで踊りを踊っているように見えることから来ているという説です。いずれにしても、とてもロマンチックな名前のスペースだと思いませんか?

踊り場を小さな居場所にしてみる

もしほんのわずかの面積を踊り場のために割くことができたら、階段はたちまちとても楽しいスペースに生まれ変わってくれます。木造住宅の踊り場はふつう幅75〜90センチ程度ですが、ここを少しだけ広げてあげると、ベンチなどの家具を置いてちょっと腰掛けて楽しんだりすることができるようになります。

下の図は一般的な戸建て住宅の階段踊り場に、出窓のように60センチの出っ張りを設けてみたものです。ベンチを造りつけて、家族が楽しく会話しています。踊り場は1階から約1.4メートルほどの高さで、ここから1階を見下ろす楽しみは格別です。わずか60センチの出窓を1つ設けるだけで、楽しみ効果は倍増するのです!
下の写真は実際に踊り場にベンチを造りつけた例です。ちょっとした居場所ですが、階段が驚くほど広々して楽しい場所になっていることがわかります。

踊り場をライブラリー化する

また下の写真は踊り場に本棚を置いて、ちょっとしたライブラリーにしたものです。これもすばらしい工夫です。家族みんなの本が通りみちに置いてあって、いつでも気軽に本を眺めることができます。1階と2階の間にこんなスペースがあってくれたら、階上と階下の距離もグッと縮まってくれそうですね。

踊り場をワークスペースにしてしまう

さらに踊り場に机と椅子を設けて、書斎や勉強スペースとして用いている例もSUVACOで数多く見ることができます。

下の写真では家族みんなの分のワークスペースが踊り場に用意されています。1階から見上げたところに家族がいて、その気配がこちらにも伝わってくる感じはとても賑わいがあって楽しそうですね。
下の写真では踊り場をうんと広くとって、家族みんなが景色を楽しみながらゆったりと過ごせる踊り場が作られています。
村瀬充「縦格子の家」

踊り場の下も楽しく活用しよう

階段や踊り場の下をどう活用するか?これにもいろいろな方法があります。もっとも一般的なのは収納に充てることですが、他にもさまざまな使い道があります。特に踊り場は1階床から1.4メートルくらい高いので、下のスペースが持つ可能性も広いと言えます。

下の写真は住まいの一部をスキップフロアにして、踊り場の下にも部屋を設けた例です。踊り場はとても広々として、半独立した一つの部屋になっています。
また下の写真では、踊り場の下をお子さんのためのキッズスペースにしています。これはグッドアイデアですね!お子さんが小さいうちはこの高さでも十分出入りできます。そして、やがてお子さんが大きくなったら収納スペースに転用することも簡単にできます。

踊り場を外とつなげる

踊り場にバルコニーを設けて屋外とつなげたという、とても魅力的な例が下の写真です。1階よりは高いので見晴らしが良く、2階ほど高くないので道路や近所とのつながりも適度に保てる、とても良い高さです。昼間はふんだんな光が入ってきて足元を照らしてくれますし、こうしたデザインはどんどん取り入れたいですよね。
富谷洋介「段差を繋ぐ家」
また、下の写真は踊り場をとても積極的にデザインした例です。大きな窓に面して踊り場を廊下のように長く設けて、外の景色を楽しみながら歩けるようにしてあります。
戸井建一郎「I邸・リビング階段に囲まれた吹抜けのプライベート空間」

スキップフロアは究極の踊り場住宅

さて最後に紹介するのはスキップフロアです。スキップフロアは部屋の高さを半階分づつずらしながら、階段で移動していく方式です。こうしますと廊下や階段室の面積が最小限で済み、さらに踊り場を設ける必要がなくなります。

言い換えればスキップフロアの住宅とは、部屋がみんな踊り場になっている、究極の踊り場住宅という見方もできます。部屋と部屋とが1階分の高低差でなく、その半分の高さ約1.4メートルでつながっています。これは住宅というサイズの建築を考えた場合、とてもヒューマンで家族のつながり感が得やすいスケールなのではないでしょうか。
Kazuya  Ikezoi「shift BOX」
踊り場は単に安全性のためにあるだけでなく、階下と階上を柔らかくつないで家族の気配を上下に伝える存在であることがわかりました。2階建ての住まいでは吹き抜けを設けないと上下のつながりが切れてしまいがちですが、階段の踊り場に工夫を凝らせば、吹き抜けに近いつながり効果が期待できます。そしてそのために割くスペースは、60センチ程度の出窓があれば十分なのです。

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