制約があるからできる空間の使い方とライフスタイル事例

古いマンションによく見られる間取りの問題や長屋風の連棟、狭小住宅など、様々な制約を抱える物件。建築基準法で建て替えができない狭小住宅、シャッター街の商業物件・・・など、相続による物件を抱え、悩んでいるオーナーさんもいらっしゃるのではないでしょうか。そんなさまざまな制約をポジティブに捉え、上手に空間利用を実現した物件があります。“制約があるからこそできる空間の使い方”や、実際に居住しているオーナーさんのライフスタイル事例をご紹介します。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

昔ながらの長屋をアパートに〜名古屋・四軒長屋の一軒（東端）をリノベーション

狭小住宅の可能性〜大阪府・階段と共存するスキップフロアのある家

中古マンション54平米のリノベーション〜東京都渋谷区・憧れの街で自分らしさを追求

昔ながらの長屋をアパートに〜名古屋・四軒長屋の一軒（東端）をリノベーション

名古屋駅近くにある、築80年の歴史が積み重ねられた長屋の素形を活かした住まい。オーナーが幼少期から青年期まで過ごした楽しい思い出のつまった家でしたが、しばらくの間は倉庫として貸し出されていた物件です。再び、オーナーの手に戻り、取り壊すのではなく新しく再生するリノベーションを選択しました。

向井一規

> この住宅のすべての情報を見る

板の間からフリースペースへとつながる空間は、引戸で仕切ることもできるので、多目的な用途が可能になっています。この物件は、オーナーの希望で住職一体型の用途を想定して設計された貸家物件。長屋ならではの雰囲気と面影を残し、アトリエやスタジオ、ギャラリーやショップなど、借主の要望により様々な使い方ができるリノベーションが実現しました。
実際に募集と同時に見学者が殺到し、最初の借主はヨガ教室兼住居を希望したご夫婦でした。

向井一規

『再生則武長屋』～ミニマリズムの和モダン～（古民家再生）-天窓からの陽光・小屋組み

『再生則武長屋』～ミニマリズムの和モダン～（古民家再生）-長屋の外観・横つながりの様子

『再生則武長屋』～ミニマリズムの和モダン～（古民家再生）-前室（土間コンクリート）から奥の光庭へ

> この住宅のすべての情報を見る

狭小住宅の可能性〜大阪府・階段と共存するスキップフロアのある家

大阪府にある「スキップフロアのある家」は、下町の狭い間口の土地に立つ事例です。法規制により地上３階建てができないため、スキップフロアの良さを最大限に活かした設計になっています。計６つの床レベルを持つ住宅は、ルーフバルコニーからの採光により家全体が明るく開放的な空間になっているため、スキップフロアの狭さを感じさせない家づくりが実現しました。

山本嘉寛建築設計事務所 yyaa

『』の家｜鉄骨造の狭小スキップフロアガレージハウス｜大阪市｜新築一戸建て住宅-『』の家｜鉄骨狭小スキップフロアのガレージハウス

> この住宅のすべての情報を見る

1つめのフロアは、玄関土間のエントランス。駐車スペースや子供たちの遊び場として、さまざまな可能性が広がります。

こちらは土間仕様になっているご主人の趣味のスペース。87㎡の延べ床面積の中には、「」型の平面プランでLDK、キッチン、子供部屋、家事スペースなど、6つのフロアが見事に共存し、それぞれのライフスタイルを充実させています。

山本嘉寛建築設計事務所 yyaa

> この住宅のすべての情報を見る

中古マンション54平米のリノベーション〜東京都渋谷区・憧れの街で自分らしさを追求

新築マンションを購入しながらも「なんだかしっくりこない」というオーナーが、自分たちらしさを求め都心の中古マンションをリノベーションした事例です。ご夫婦の希望は「渋谷区」に住むということ。他にも広さ、階数、方角など、求める物件への希望はあったものの、前向きな妥協をして最終的に選んだのは、当初デメリットだと考えていた1階の部屋。

リフォーム・リノベーション会社：Ecodeco「自分達らしい暮らしを求めて郊外から渋谷区へペットと暮らすワンルーム」（（リノベりす掲載）

もともとは和室を含む2LDKだった間取りを広々としたワンルームにリノベーションしました。寝室スペースは透明のポリカーボネードで仕切り部屋全体に光が届くように設計。ワンルームとなった部屋の床はヘリンボーンを使用。夫婦で集めたアンティーク家具との相性も抜群です。
他にも、ファッション好きな二人ならではのショップのようなディスプレイ収納、愛猫のために設えたキャットタワーの絨毯をドイツから取り寄せるなど、こだわりが随所につまった住居になっています。新築では叶わなかった理想の空間が生まれました。

リフォーム・リノベーション会社：Ecodeco「自分達らしい暮らしを求めて郊外から渋谷区へペットと暮らすワンルーム」（（リノベりす掲載）

近年、建築法の規制が厳しくなり、さまざまな問題を抱える住宅事情。
狭小住宅、地上３階建て不可、連棟物件などデメリットをメリットと捉え、ポジティブな発想でリノベーションする。
新築では叶わない理想の暮らしを現実化したり、自分たちのライフスタイルに合わせて物件を変えていくなど、さまざまな制約をプラスに捉えて可能性を広げてみてはいかがでしょうか。