2018/10/01更新0like2310view

著者:佐藤ゆうか

建築基準法から見る本当に良い土地探しのヒント【クセのある土地編】

この記事を書いた人

佐藤ゆうかさん

2級建築士。
工業高校卒業後、中小規模の建設会社に勤務。
木造住宅を中心に新築やリフォームの設計に携る。
現在は3児の育児を中心に在宅ワークに励み、いつか現役復帰を夢見ながら建設業界にしがみつく日々。

家づくりの最初の一歩とも言えるのが、土地探しですね。理想の家をつくり、その後の暮らしを満足度の高いものにするためには、土地探しがとても大切です。ほとんどの土地には、建築基準法や条例によって様々な制限が定められていますが、中にはその制限によって、家を建てることができない土地や、家を建てるために面倒な手続きや多額の費用が必要になる土地が存在します。今回は、特に注意が必要な、クセのある土地についてお伝えします。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

そもそも家が建つ土地なのか?ここをチェック!

世の中には、家が建たない土地であっても売りに出されている場合があります。

不動産会社はそのような土地を売る場合には、重要事項として、家が建てられない旨を伝える義務がありますが、中には法の穴をかいくぐり、不正を働いて土地を売ろうとする悪質な企業もあります。

万が一のトラブルを防ぐために、家を建てるための土地の買い手として、最低限覚えておきたい3つのポイントについて確認しましょう。

接道の義務

土地に家を建てる場合、接道義務という義務がかせられます。これは、道幅4m以上の道に、その土地が2m以上接していなければならないというものです。義務なので、果たしていない土地は住宅を建てることができません。

土地探しの際には、土地がしっかりと接道しているかとどうかを確認しましょう。万が一接道していない場合でも、セットバックして道幅を広げたり、必要な分の土地を購入することなどの措置を行うことで家が建てられるようになります。

セットバックとは、前面道路に十分な幅が確保できるように、道路と敷地の境界線を移動させることを言います。例えば、前面道路が3mの土地の場合、必要な道路の幅である4m確保するためには1m不足していることになります。そこで、1m分境界線をセットバックして道路の幅に充てることで、必要な道路の幅が確保できるのです。

接道の義務を果たしていない土地は、格安で販売されていることが多いですが、家が建てられるようにするために必要な費用と合算した上で、購入に踏み切る必要があります。

これはとても稀なケースですが、以前私が担当したお客様の土地で、前面の道路の幅員が測量図面では4m以上あったのに、実際に計測すると4m未満だったことがありました。この案件では、セットバックをして対応し、無事に家を建てることができました。

測量の数値は信頼すべきものですが、人間が行うことなので万が一の間違いも考えられます。道路の幅などの簡単な数値であれば、数分で計測できますので、土地見学の際などにはスケールを持参して実測してみることがおすすめです。計測の際には、車両や通行人には十分お気をつけください。

がけの下や上の土地

武保 学「桜作の家」
がけの下や、上にある土地は、がけの安全性が証明されない場合、一定の条件を満たした上で建築を行うことになります。がけ下の場合、がけから一定の距離を離して建築するか、距離が確保できない場合は、防護壁と言って、指定された構造でがけに接する面等を補強する必要があります。

がけ上の場合は、やはりがけから一定の距離を離して建築するか、支持層に達する杭を打つなどの安全対策を計画する必要があります。支持層とは、建築物を支えることができるしっかりとした地盤のことを言います。

私の家は標高20mほどの山の頂上にあるのですが、確認申請の際にはこの山の安全性について証明をする必要がありました。安全に家を建てるための、傾斜部分からの距離を離すことはもちろんでしたが、山の地質や勾配がわかる資料を集め、少々苦労して安全性を証明しました。安全性が証明できなければ、今頃ここには住んでいないことになります。

不動産会社は山の安全性が問われる旨なんて説明してくれませんでしたし、私も建築士の資格を持ってしても、恥ずかしながら気づくことができませんでしたので、土地の側にがけや山の斜面がある場合は、一度疑いの目を向けることが大切だと思います。そして、住宅会社や不動産会社の意見を聞いた上で購入しましょう。

市街化調整区域内の土地

都市計画法という法律の中では、市街化調整区域という区域を指定しています。この区域には原則住宅を新築することができません。

しかし、自治体によっては一定の基準を設け、市街化調整区域でも建築の許可が取れる場合があります。万が一市街化調整区域内の土地で、どうしても購入したい土地がある場合は自治体や不動産会社に確認しましょう。
この他にも、指定された高架線の下にある土地や、古屋付住宅で更地にすることが認められない土地などのクセのある土地も存在します。

今回紹介した土地は、思わず飛びつきたくなるような手ごろな価格で販売されていることが多いので、一度冷静になり、疑いの目を向けて、専門家の意見を聞き、本当にかかる費用を割り出した上で購入に踏み切ることがおすすめです。

土地の購入は、多くの人にとって一生に一度の大きな買い物となりますので、その土地が持つ条件をよく理解した上で購入に踏み切りたいですね。

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2級建築士。
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