2018/07/25更新0like2561view

著者:佐藤ゆうか

建築基準法から見る本当に良い土地探しのヒント【基本編】

この記事を書いた人

佐藤ゆうかさん

2級建築士。
工業高校卒業後、中小規模の建設会社に勤務。
木造住宅を中心に新築やリフォームの設計に携る。
現在は3児の育児を中心に在宅ワークに励み、いつか現役復帰を夢見ながら建設業界にしがみつく日々。

家づくりの最初の一歩とも言えるのが、土地探しですね。理想の家をつくり、その後の暮らしを満足度の高いものにするためには、土地探しがとても大切になります。
ほとんどの土地には、建築基準法や条例によって様々な制限が定められています。その制限は、土地に建てられる住宅の規模や形状に大きく影響してくるので、購入前に必ず確認し、理解しておく必要があります。今回は、建築基準法から見る本当に良い土地探しのヒントをお伝えします。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

住まいの広さを制限する2つのポイントとは?

まずは、住まいの広さを制限する2つのポイントについて確認してみましょう。

■建ぺい率
その土地の建築面積の制限のことをいいます。建築面積とは、建築物の水平投影面積のことです。(真上から見るイメージです)

例えば、建ぺい率50%という表記がされている場合は、その土地の面積に対して建築物が50%以内の建築面積であればOKということになります。

■容積率
その土地の延べ床面積の制限のことをいいます。延べ床面積とは、建築物の全ての階の床面積を合計した数になります。

例えば、容積率50%という表記がされている場合は、その土地の面積に対して建築物が50%以内の延べ床面積であればOKということになります。

この建ぺい率と容積率の値があまりにも小さいと、希望の大きさの家が建てられないということになるかもしれません。

極端な話ですが、同じ150平米の土地でも、容積率が80%の場合は120平米(約36坪)の家を建てることができますが、容積率が30%の場合は45平米(約13坪)の家しか建てることができません。

この建ぺい率と容積率については、どの土地にも表記されていますので、土地探しの際には土地の面積と照合して、具体的にどの程度の面積の建物が建てられるのか確認することが大切です。

土地の条件によっては、法令による緩和を受けられる場合や、表れている数値よりもさらに厳しくなる場合がありますので、不動産会社に確認するか、住宅会社が決まっている場合は調べてもらうと安心です。

住まいの環境や構造を制限する2つのポイントとは?

どんな場所でも、希望通りの家が建てられれば難しくなくて良いのですが、それでは秩序のない都市が出来上がってしまいますよね。都市の秩序や安全を守るために、地域によって建てられる建築物の用途や、構造は制限されています。

それらを制限する2つのポイントについて確認しましょう。

■用途地域
日本にあるほとんどの土地は、建築基準法によって、土地の利用用途が分けられています。その利用用途のことを用途地域といい、大きく分類すると、「住居・商業・工業」の3つに分けられています。

家づくりの場合は、『工業専用地域』という用地地域以外であれば建設することができるので、あまり神経質になる必要はありませんが、購入しようとしている土地の用途地域の種類ついては内容を理解しておく必要があります。

特に住居地域以外に家づくりをする場合は、家のお隣に娯楽施設やカラオケボックスなどの騒音や治安が気になる施設ができてしまう可能性があります。

長く住む場所ですから、将来的に近隣がどのような町になっていくかということを予想して、理解した上で土地選びをいたいですね。

■防火地域
用途地域と同様に、日本あるほとんどの土地は、建築基準法によって4つの防火地域に分類されています。

建築物は、火事になった場合、近隣の建物にその火災が燃え移り、火事が広がらないようにするための耐火性能が求められています。
防火地域とは、その耐火性能の厳しさを分類しているもので、厳しい順に防火地域・準防火地域・法22条区域・無指定とされています。
駅の周辺や、繁華街などの建物と建物の間隔が近い地域ほど、厳しい性能が求められることになります。
建築物が火災に強くなることは、一見良いことにも思えますよね。
しかし、耐火性能を高くすると、建築費用が高くなってしまうことが一番の問題として挙げられます。
その他にも、大きな窓がつけられない場合もあります。
予算が充分にある方や、大きな窓は特に必要ないという方は問題ありませんが、なるべくコストを抑えたい方や、開放的で大きな窓がほしいという方は特に防火地域の指定には注意が必要です。

住まいの高さを制限するものとは?

住宅が密集する地域でも、等しく日照が得られるように建物の高さを制限する法律があります。
最後に、この高さを制限する斜線制限について確認しましょう。

斜線制限で代表的なのが、北側斜線と道路斜線です。
当然この制限を越えるような高さの建築物は建てることができません。
この北側斜線制限と道路斜線制限では、建築基準法や、条例によって具体的な数値が定められており、その土地に応じた角度を用いて制限を検討します。
この制限が厳しい場合、希望の高さや階数の家が建てられない場合もあります。

天井が一部低くなってしまう場合もありますので、プランニングの際には部屋の使い勝手を考慮しながら、斜線制限とうまく付き合えるといいですね。

斜線制限の検討については、専門的な知識が無いと難しい部分ではありますので、住宅会社や不動産会社の専門知識を持った人に、あらかじめ検討してもらうと安心です。
建築基準法から、本当に良い土地探しのヒントをお伝えしました。
建築基準法における土地についての条件は、多くの土地の情報に明確に記されています。
万が一記されていない場合は、最低限、今回紹介した項目については確認しておくことが大切です。
土地の購入は、多くの人にとって一生に一度の大きな買い物となりますので、その土地が持つ条件をよく理解した上で購入に踏み切りたいですね。
お気に入りに追加

この記事を書いた人

佐藤ゆうかさん

2級建築士。
工業高校卒業後、中小規模の建設会社に勤務。
木造住宅を中心に新築やリフォームの設計に携る。
現在は3児の育児を中心に在宅ワークに励み、いつか現役復帰を夢見ながら建設業界にしがみつく日々。

SUVACOは、自分らしい家づくり・リノベーションをしたいユーザーとそれを叶えるプロ(専門家)とが出会うプラットフォームです。

家づくりについて学ぶ

「自分らしい家づくり」に大切な、正しい家づくりの知識が身につくHowTo コンテンツ集です。

専門家を無料でご提案

家づくり・リノベーションはどこに頼むのがいい?SUVACOの専任アドバイザーが全国1,000社以上からご希望に合うプロをご提案します。

住宅事例をみる

リノベーション・注文住宅の事例を見たい方はこちら

家づくりの依頼先を探す

リノベーション会社や建築家、工務店など家づくりの専門家を探したい方はこちら

会員登録を行うと、家づくりに役立つメールマガジンが届いたり、アイデア集めや依頼先の検討にお気に入り・フォロー機能が使えるようになります。

会員登録へ

同じテーマの記事

住まいの記事 カテゴリー一覧

専門家探しも、家づくりのお悩みも
SUVACOのアドバイザーに相談してみよう

専門家紹介サービスを見る