2017年01月26日更新

注文住宅(HOW TO)

心地良い住宅に欠かせない「断熱」と「気密」、何がどう違う?

心地よい住まいにもはや欠かせない断熱や気密性能。地球温暖化対策としても、住宅のエネルギーは重要な問題です。とはいえ、その意味や違いについて、いまいちよく分からない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、建築家に初めての方にも分かりやすく解説していただきます。


心地よい住まいに断熱・気密は欠かせない

初めまして。建築設計事務所コーデザインスタジオ代表の建築家・小嶋 直と申します。

建築家 小嶋 直

小嶋 直

建築家 / @埼玉県

co-というのは「一緒に〜をする」という意味ですが、本来はその後に単語を入れることで一つの言葉になります。これから出会う人やモノから生まれる想いを住宅を作る中で一緒に共有していきたいと思っています。



住宅業界では、低炭素住宅、長期優良住宅、ZEH…などの言葉が乱立していますが、一般の消費者には正直ピンと来ない用語が並んでいることかと思います。専門家の私たちでも次から次へと新しい用語が出てくるため、着いていくのがやっとという感じです。

要は、住宅におけるエネルギーの無駄遣いを規制するための決まり事で、地球温暖化や資源の枯渇から原発の問題までを考え合わせると、「住宅がどれくらいのエネルギーを消費するか」ということに対して無頓着ではいられません。

しかし、今さら昔の生活に戻ることはできないし、我慢を強いられる生活も現実的ではないでしょう。ここでは、心地良い住宅に欠かせない基礎知識をまとめたいと思います。

断熱や気密に配慮すれば、開放的な空間も快適な温熱環境に

断熱や気密に配慮すれば、開放的な空間も快適な温熱環境に

現代の住宅の基本、「断熱」と「気密」の違いとは

心地良い住宅にまず欠かせないのは、「断熱」と「気密」です。この2つの言葉を聞くと高断熱・高気密住宅という言葉を思い出す方も多いと思うのですが、お話を伺っているとあまり良いイメージばかりではないようです。その理由は置いておきますが、言葉ばかりでその中身についてあまり理解されていないようです。ここでは「断熱」と「気密」についてわかりやすくお話ししたいと思います。

断熱とは?断熱材は洋服の上着のような存在

まず、断熱材はその言葉の通り、熱を遮るための材料で、建物の中を外部の暑さや寒さから守ってくれます。

建物の表面は断熱材に包まれています。おそらく現代の住宅では少なからず断熱材が入っていますが、造りによってその厚さ、種類はバラバラです。

壁に断熱材を充填した様子

壁に断熱材を充填した様子

具体的には外壁、屋根、天井、床下もしくは基礎まわりに隙間なく充填されています。わかりやすく例えて言うと、洋服の上着の部分にあたります。(実は私たちが羽織る衣服にも断熱効果を表す値[clo値]があったりします。)夏はTシャツでも十分ですが、冬にかけて徐々にジャケットが必要となり、一枚あるかないかでは寒さの感じ方が全然違いますよね。

また、ジャケットでも一昔前は厚手のものがメインでしたが、最近では薄手でも暖かいものが主流となってきました。これは生地に使用されている材料の違いによります。

床下基礎断熱の例

床下基礎断熱の例

家の断熱材も同じで、断熱材の種類もたくさんあり、断熱性能が低いものから高いものまで様々です。断熱性能が高いものであれば薄くても性能が確保できますし、断熱性能が低いものであれば厚くしないと性能は確保できません。しかし、断熱性能が高い断熱材が必ずしも良いわけではなく、それぞれの長所・短所を理解した上で使用することが必要となります。

上着にもたくさんの種類があるように断熱材にも多くの種類があるのですが、それについては後述したいと思います。

また、ジャケットでの例えだったので、冬の寒さに対してにのみ有効かと思われてしまいますが、住宅の場合は夏の外部の暑さにも有効です。これについては魔法瓶を想像してみるとわかりやすいかもしれませんね。

このように断熱材で建物を包むことは、心地良い住宅への第一歩となります。

余談ですが、最近の家は断熱性能が良くて食料品がすぐに駄目になってしまうというお話を聞きます。昔は床下などの外気に触れる場所を食品庫としていたのですが、最近では床下でさえもしっかり断熱されています。その辺りに配慮した設計ができると料理をする方には喜ばれるかもしれませんね。

気密とは?服装でいえばボタンやファスナーのような役割

次に気密についてです。

断熱をすることで熱の出入りが少なくなることはおおよそ理解できたかと思います。しかし、その断熱にも隙間があったらどうでしょう?

それでは、先ほどと同様に気密を服装に例えてみましょう。

上着を断熱材に例えましたが、気密は上着のボタンやファスナーの部分になります。いくら暖かい上着を着ていてもボタンやファスナーを開けていればその部分は寒いですよね?もしくはダボダボのセーターとびっちりしたウインドブレーカーを想像してみてください。ダボダボのセーターでは隙間風が身体との間に入り込んできてしまい身体が冷えてしまいますが、ピッチリしたウインドブレーカーであれば冷気はシャットアウトできます。

家の気密性についてもこれと同じことが言えます。

微かな隙間からでも、風が入ってきて不快を生じるかもしれません。せっかく断熱していてもそこから外気が入ってくることで熱の出入りが発生してしまいます。

また、その外気が入ることで湿度を含んだ空気が断熱層に入り込んできてしまい、結露した水分が断熱材の中に留まることで断熱性能が落ちてしまいます。

家の気密とは、隙間から風の出入りを防ぎ、壁体内への結露を防ぐことになります。
気密というとどうしても息苦しいと思いがちですが、気密は心地良い住宅の要になります。

気密シート施工の例

気密シート施工の例

ただ「断熱」「気密」をすればいいわけではない。適材適所に施工しよう

断熱、気密についてお話してきましたが、どちらが欠けても心地良い住宅にはなりません。そして、それぞれが適切な施工がされていないと様々なトラブルが起こってしまいます。

まず断熱は少しでも欠けていてはそこから熱が伝わってきてしまいます。壁の断熱はしっかりしていても、玄関扉や窓の断熱がそこそこではしていないのと変わりません。その部分から内部に熱が侵入してきてしまい、不快さを生む原因となりますので、隙間なく断熱をすることは必須です。

リフォームなどで交換しない場合であれば、断熱効果のあるスクリーンを利用するなど、補強する必要があります。下記の事例では、ハニカム・サーモスクリーンという断熱ブラインドを付けることで、窓の断熱効果を高めています。

注文住宅事例「柳崎の住宅」

ハニカム・サーモスクリーンで窓の断熱を補完

ハニカム・サーモスクリーンで窓の断熱を補完

次に気密は少しでも隙間があるとそこから風が侵入してきます。せっかく室内を暖めても暖かい空気は軽く建物上部へ抜けていき、冷たい冷気は重く足元から侵入してきます。つまり、暖房するほどに生活領域は寒くなってしまいます。

最後に断熱、気密の2つをしっかりとするだけでは日本の夏は厳しいかもしれません。日本の夏の気候世界的に見ても高温多湿な地域に位置するため、「通風」と「換気」が必要となってきます。また、エアコンも我慢せずに使用することも大切です。


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