2019/01/10更新1like2797view

著者:Writernista

不動産のプロが教える物件サイトのからくり

不動産を購入するためにウェブサイトを検索しても、満足ゆくものがないと感じたことはないでしょうか。「いいものがない」「いつも同じものが掲載されている」「どうやったら安くていい物件がみつかるのか」と悩む人は少なくないようです。

不動産の流通の仕組みを知ることは、掘り出し物の物件に出会うために大変役立ちます。仕組みを知ると、どんなサイトを使ったらよいか、どのような不動産会社に問い合わせしたらよいかが分かります。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

不動産売買の仕組み

不動産会社には、2つの役割があります。土地や建物を売りたい人のために情報を発信し、購入希望者を募ること。もう1つは土地や建物を買いたい人のために、物件情報を提供することです。
■不動産を販売するための媒介契約には3種類ある

売るための物件を不動産会社が見つけたとき、売り主と不動産会社は、物件を売るための販売活動に関して契約を結びます。これが「媒介契約」です。

媒介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介」の3種類があります。
「専任」と名の付く契約は、1物件に対し、1つの不動産会社しか販売できず、一般媒介契約は、複数の不動産会社が販売することができる契約です。

媒介契約を結んだ不動産会社は、その物件の販売活動を行うことができます。ポータルサイトへの掲載やチラシ配布により広告活動ができるのです。不動産会社のみが閲覧できる共通のデータベースである「レインズ」への登録も可能です。レインズは、ほかの不動産会社が媒介契約を結んだ物件を閲覧できるので、自社に不動産を購入したいお客さんが来店したときに、他社の物件を紹介することができます。

レインズは、情報開示することで、不動産を市場に広く流通させ、価格相場を形成させる目的があります。情報を自社だけで囲い込むことをさせないように、媒介契約を結ぶと、一定期間内にレインズへの登録を行う義務が発生します。

ただし、登録義務があるのは、「専任」とついている2種類の媒介契約で売る約束をした物件に限られます。一般媒介契約は、必ずしもレインズに登録する必要はありません。

よい物件が市場に出回らない理由

■不動産会社は仲介手数料を「両手」でもらいたい

不動産業界自体は、物件情報を、不動産会社や一般の人たちに広く開示し、共有することを勧めていますが、不動産会社にとって、それは、あまりありがたいことではありません。売れ筋物件に関して、情報を出したくないのが本音です。情報開示をしたがらない理由は、仲介手数料のもらい方の仕組みにあります。

不動産会社は、仲介手数料を売り主と買い主、両方からもらうことができます。A社が売り主と媒介契約を結び販売活動を始めたとします。販売開始した物件を見つけるのは、A社だけではなく、レインズや広告を見たB社の場合もありますし、一般の人の場合もあります。

物件を見つけたのがA社か一般の人の場合、買い主からの仲介手数料はA社がもらいます。しかしB社が買い手を見つけると、買い主からの仲介手数料はB社に支払われてしまうのです。つまり、ほかの不動産業者が買い手を見つけてしまうと、本来ならば売り主、買い主、両方からもらえるはずの仲介手数料が片方からもらえず、利益が半分になってしまうのです。

業界用語で仲介手数料を1社が売り主、買い主、両方からもらうことを「両手」、売り主、買い主、どちらかからもらうことを「片手」と言います。
■不動産会社は「レインズ」に情報を載せたがらない

他社に物件情報を知られないために、情報公開せず、自社の既存客だけに情報を知らせて成約できれば、仲介手数料が「両手」で獲得できます。レインズやポータルサイトに物件情報を掲載すると「片手」になってしまう可能性が高くなってしまいます。そのため、不動産会社は、売れ筋物件の情報をレインズに掲載したくないと思うのです。

媒介契約では、一般媒介を除いて、レインズに情報を登録する義務があります。専任媒介では契約日から7日以内、専属専任媒介では5日以内に掲載しなくてはなりません。その掲載期限よりも前に申し込みを受ければ成約となるため、掲載する義務がなくなり、ほかの不動産会社に知られることなく仲介手数料を「両手」で獲得することができます。つまり、レインズに掲載されている物件は、掘り出し物でない可能性が高いのです。
■優良エンドユーザーとしての再販業者の存在

不動産を買い取ってリフォームし、エンドユーザーに販売する企業を「再販業者」と呼びます。再販業者は、リフォーム代を加算して市場価格になるくらいの安い価格でないと購入してくれません。しかし、資金力があり現金で購入できるため、融資を受ける必要がありませんので、スピーディーに物件を買い取ってくれます。

また、一般消費者と違って、再販業者は何度も取引してくれます。再販業者は、不動産会社にとって、とてもありがたい買い主なのです。そのために、不動産会社は媒介契約を結ぶと、物件販売情報を再販業者に流します。再販業者の多くは不動産業登録をしていませんが、不動産に関してプロの知識を持っていますので好立地の物件を狙います。つまり好立地の物件は、再販業者に流れる可能性が高く、一般ユーザーの目に触れない可能性が高いのです。

掘り出し物を見つけるには

以上のことから、掘り出し物の物件を手に入れるためには、売り主から媒介契約をもらった不動産会社が直接伝えてくれる物件情報は、自分の希望に近い「掘り出し物」ものである可能性が高いのです。そのためには、不動産会社の顧客リストに掲載される必要があります。

まずは、不動産会社のなじみの顔になることを心がけましょう。希望するエリアの不動産会社を定期的に訪れて、希望条件に近い物件を探してもらいます。初期段階では、物件を選定するのではなく、不動産会社のスタッフとコミュニケーションを深めるのが目的です。仲良くなれば、親切にしてあげたいと思うのが人間の心理。物件情報だけでなく、市場動向などもヒアリングしましょう。

ほとんどの不動産会社が、顧客情報を集めているはずです。来店カード、お客様カードなどの顧客情報に自分の情報を記入しておきましょう。掘り出し物を販売開始したら、この顧客リストから声をかけ、情報提供する可能性が高いからです。

購入しようとしている不動産が遠方で、不動産会社に訪問できない場合は、メール会員登録をしましょう。登録するだけではなく、こちらの希望を伝える、質問をするなど、頻繁にメールのやり取りをすることが大切です。「このお客さんは真剣に物件を探している」という熱意を伝えましょう。

登録の際は、ポータルサイトでなく会社サイトの会員登録が有効です。顧客数や検索エリアが絞られてくるので、ヒットする可能性が高まり、希望物件を早く見つけることができます。
ネットサーフィンを行っても希望物件がない、という人は、不動産の流れを理解したうえで、これらの方法を試してみて下さい。以前よりも希望物件を見つける確率が高くなります。
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