2016/12/22更新1like3911view

著者:水沼 均

建築家とはどんな人?一級建築士とは違うの?

この記事を書いた人

水沼 均さん

建築設計の学校で長年教師を務め、大勢の生徒さんと接してまいりました。年齢、経歴、そして住まいへの思いも大変多様で、他では得られない貴重な経験ができました。その経験を生かして、豊かな住まいづくりに役立つような記事をたくさん書いていきたいと思います。

新居を計画している方にとって、建築家とはどんな人たちなのか、きっと興味津々のことと思います。そこでここでは建築家の職能や一級建築士、他業種との違い、そして熱意など、さまざまな特徴を簡単にお話ししてみたいと思います。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

建築家とは設計だけを生業にする専門家

建築家とは建築の設計を生業とする人たちのことです。建物の設計をして、さらに工事が設計図のとおりに進んでいるかどうかをチェックするのが仕事です。工務店や建設会社と違って、工事そのものをすることはありません。

実際工務店や住宅メーカーなどでも設計は行いますが、建築家は専門家であるだけに、より詳細で徹底した設計を行います。そして大量生産やマニュアル化に左右されない、施主一家だけのための手作り一品生産をします。

施主の要望を第一に考え、これに自らの経験とセンスを合わせることで、世界に1軒しかないドリームホームを創り出す人。それが建築家と呼ばれる人たちなのです。

下の写真は手作り感が豊かに漂う住宅の例です。一品生産ならではの喜びに満ちあふれた住まいですね。

建築家になるには?建築士事務所登録をして初めて建築家に

建築家は全員「建築士」という資格を持っていますが、建築士資格を持っているだけでは建築家としての業務はできません。試験に合格して資格を取ってからさらに数年間実際に設計実務を経験し、建築士事務所の登録を行って初めて建築家として業務が開始できるのです。

つまり建築家として独立して業務を始めた時点で、すでに相当の経験を積んでいる人たちと言うことができます。

ちなみに一級建築士資格を持っている人は日本に約34万人強ほどいますが、このうち設計事務所(一級建築士事務所)を開いている人は約8万人ちょっとだけです。つまりだいたい4人に1人の割合です。残りの人たちは資格を持ってはいますが、大半が建築関係の企業や官庁などに勤務している人たちで、自分の名前で設計業務をすることはありません。

※ 人数は国土交通省住宅局建築指導課作成の「平成23年度上半期建築士・建築士事務所登録状況」を参考にしました。

いちばんの違いは「間取り」の扱いに

では建築家と他業種の設計の違いをもう少し詳しく見てみましょう。そのいちばんの違いは、一言で言うと住まいの「間取り」の扱いにあります。

設計というと一見間取りを考えることというイメージがありますが、実際には間取りを考えるのは建築家の仕事のごく一部分です。建築家は間取りを考えるのと同時に、外観や部屋の姿、家具の並び、そして細かい作りや素材に至るまでを、すべてセットでイメージしながら考えています。さらには技術的なこと、予算や法律的なこともすべて同時に考えます。

このように建築家は、よくこんなにたくさんのことをいっぺんに考えられるなというくらい、本当にたくさん同時に考える人たちです。これこそがまさに建築家と他業種の違いをもっとも端的に表している部分でしょうね。

下の写真は、家中が一体となるようなすばらしいつながり感を持った住宅です。部屋の並びだけを考えていては決して到達できない深みを持っています。

本格的な設計はマニュアル化を超えたところにあり

ところで日本の木造住宅の作り方は「在来構法」といって、世界にも類がないほど大変高度にマニュアル化されています。したがって間取りが決まってしまえば、慣れた大工さんなら他に図面がなくても家を建ててしまうことができてしまうくらいです。

ところが建築家は違います。間取りがだいたいできあがったところからいよいよ本格的な設計が始まる、と言っても過言ではありません。

家というものは同じ間取りでも、開口部(窓や出入り口)の設け方、家具造作類の設け方、屋根等の外観の造形などが異なると、もはや別物と言えるくらいに変わります。もし10人の建築家がまったく同じ間取りで家を設計をしたら、ぜんぜん異なった10軒の家ができあがることでしょう。つまり同じ間取りでも、施主の好みや要望によってまったく異なった家ができあがるわけです。

どうすれば施主一家にもっと満足してもらえるか。建築家はそこにいちばんスポットを当てて考えます。施主要望はまさに百人百通り。マニュアル化や「ふつうならこうする」という一般的手段では家は作れない、多くの建築家はそう考えます。建築家はあくまでも一施主のための一品生産にこだわるのです。

下の写真は細部までじっくりと設計された例です。部屋の並びはもちろん、開口部や造作類の細部に至るまで徹底的に作り込まれている様子がわかります。

施主の喜ぶ顔が何よりのやりがい

建築家に設計を依頼すると、こちらが驚いてしまうくらいに念入りに何度も細かい打ち合わせに来てくれます。そして、どんなに細かい要望にも真剣に耳を傾けてくれます。
家具や衛生器具、照明器具などを選ぶ際にはショールームに同行して実物を前に相談に乗ってくれるほどの熱の入れ方です。

間取りだけでも何パターンも考え、模型をいくつも作って修正を加えながら検討します。そして、より豊かで暮らしやすい住まいを作ろうと全力で検討するのです。

そうやって施主の喜ぶ顔を見るのが好きで好きでたまらないのが建築家。すごい人たちですよね。建築家とは、いったん設計を依頼したら全力で施主一家のためによい住まいを考え出してくれること間違いなしの人たちなのです。

下の写真は個性的な照明器具や特注家具・機器類で魅力的に住まいを演出した例です。
井上一則「Kさんの家」
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