2021/11/25更新0like8042view

著者:岩間光佐子

在宅ワークも一般化。夫婦の個室、大人の個室を改めて考える

この記事を書いた人

岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

コロナ禍、在宅ワークも一般化してきていますが、自宅に専用のスペースがない場合も多く、不便を感じているという声も聞かれます。最近の新築やリフォームの間取りには、在宅ワークが可能なスペースや個人のスペースを確保したプランも増えてきているようです。ここでは、大人の個室、夫婦のそれぞれの個室や個の空間づくりのヒント、参考になる実例をみていきましょう。

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いまどきの大人の個室とは

新しい住まいには、「自分だけの書斎が欲しい」と望んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。書斎を希望する声は、以前より男性(夫)を中心に多く聞かれました。しかし、実際のプランニングの中では、子供部屋は確保できても、書斎を含む大人の個室はなかなか設けられないのが現実でしょう。

しかし、共働きが増えたことや働き方の多様化が進んでいること、最近では在宅ワークの一般化などもあり、自宅内に仕事をするスペースの確保が必要なケースも増えてきています。また、ストレスフルな世の中、仕事だけでなく、趣味やプライベートな時間を過ごすことができる自分だけの空間やスペースへのニーズも高まっているようです。家で過ごす時間が長くなってきている昨今、夫婦ともに一人だけの時間を確保できるスペースは重要になっているかもしれません。

設ける目的を明確にすることが基本

個室や自分だけのスペースを計画するのであれば、まず、設ける目的を明確にすることが大切です。予算や広さにゆとりがあるのであれば、どのようなプランも可能かもしれませんが、多くの場合、限られた条件に中で間取りを検討することになります。目的に合わせた広さや空間のつくりとするためにも、具体的な使用方法を明らかにするようにしましょう。

たとえば、パソコンを使用しての作業が中心なのか、映像や音楽、読書やDIYといった趣味を楽しむために使用する空間なのか、また、寝室の用途を加えるのかなど、平日や休日での使い方をイメージしておくこと。加えて、その作業に必要な空間の広さ、設備機器、収納スペースなども明確にしておくと検討しやすくなります。

最近多くみられる在宅ワークのためにスペースが必要な場合、どのような使い方をするのか、パソコンに向かう時間が長いのか、オンラインでの会議が多いのかなど、一日の動き方を考えてみること。自分の動きだけでなく、家族の動きを確認することで、個室の方がいいのか、くつろぎの場の一角に設けるプランの方が適しているのかもみえてくるでしょう。

空間的には、パソコン作業が中心の場合、3畳ほどの空間を確保できれば、作業スペースとプリンターを置くことができますし、縦空間を生かして壁面に収納を設けることも可能です。

その他、将来的な変化もイメージしておくこと。家族構成にもよりますが、現状は子供と兼用のスペースとして確保し将来は分割する、また、子供が独立したら趣味を楽しむ部屋とする、など長期的な視点も必要でしょう。

個室とするか、スペースを確保するか

実際の家づくりの中では、個のスペースを設ける目的に合わせて、住まい全体のプランニングの中で、どのように組み込んでいくかを検討することになるでしょう。

たとえば、音楽や映画を楽しむのであれば、防音などの問題もあるので個室の方が適しています。家族の生活音が気になったり、集中して作業がしたい場合、オンライン会議などが多い仕事の場合も個室が向いているかもしれません。また、ソーイングやアトリエなど、機器や薬品などを利用する作業で、家族に幼いお子さんがいる場合や室内でペットを飼育している場合は、危険を避けるために扉を設けた空間の方がいいでしょう。

個室ではなく、他のスペースの一角にコーナーを設ける場合は、視覚的に仕事空間と生活空間を遮ることができるようにしておくと、落ち着いて作業することができます。リビングとL字型で続くようなスペースとしたり、可動間仕切りやスクリーンなどを設置して緩やかに仕切る工夫を。また、ロフトや廊下、階段下などのデッドスペースを利用することも考えられます。LDKの近くにプランニングするメリットは、家事作業と仕事を同時並行で進めることが可能なこと。仕事と家事、子育てに多忙な場合に向いています。

個室にしてもコーナーを設けるにしても、使い方に合わせた配線(LANなど)や照明計画、空調計画なども考慮したいものです。また、造作のカウンターや収納とするのか、家具を持ち込むのかなどによっても空間のつくりが変わるでしょう。

場所別のプラン例

大人の個室のつくり方は多様に考えられます。参考になるいくつかのプランをみていきましょう。

独立した空間を確保

独立した個室でも、間仕切り壁や扉のプランニングによって、気配が伝わり、孤立することなく過ごすことが可能です。壁部分にガラスを設けたり、室内窓を利用するのもいいでしょう。作業内容によっては、音が漏れないように配慮しておくことも大切です。

リビング・ダイニングの一角に

家族が過ごすリビングの一角を利用するケースも多くみられます。作業内容や家族構成によっては壁を設けずにオープンなつくりでもいいですし、個室のような空間をつなげることである程度の独立性を持たせることもできるでしょう。

小屋裏やロフトに

小屋裏やロフトにスペースを確保するのは考えやすいプランのひとつ。子供のスペースにも活用されることが多い空間ですが、大人のスペースとしても使い勝手のいいものです。換気や空調、照明などはあらかじめ使用方法に合わせて検討すること。特に夏場の暑さには配慮するようにしましょう。

玄関近くに

在宅ワークの場合、プライベートな空間や時間と、物理的にも精神的にも区別することが難しいものです。仕事を中心のスペースを確保したいのであれば、リビングなどと離れている玄関近くにプランニングすることも考えられます。土間スペースとすることで靴を履いての作業となり、気分的にも切り替えがしやすいでしょう。
深澤明/高橋麻紀「世田谷の住宅」

和の空間を利用して

内部空間のつくりとして、畳スペースとしておくことも考えられます。多様な使い方ができるので、ライフスタイルの変化にも対応しやすいでしょう。カウンターを設け、掘り炬燵(ごたつ)のように座ることができるつくりとしても。仕事の資料を広げたり、疲れたらごろっと横になれるのも魅力です。

デッドスペースを活用

条件が厳しいなか、スペースを確保するのは難しいものですが、デッドスペースを上手に活用することで、個の空間を実現することは可能です。たとえば、プランニングしやすい空間のひとつが階段下スペース。オープンなプランだけでなく、開閉できる扉やスクリーンなどを設けてもいいでしょう。

寝室の一角に

主寝室の一角にスペースを設けるプランは、従来よりなじみのあるものです。夫婦ともに在宅ワークが多いのであれば、たとえば、リビングと寝室で分かれて作業することで、個室を設けなくても集中することができるでしょう。
どのような大人の個室が必要かは、暮らし方や年齢を含む家族構成、現在や将来的な在宅ワークのスタイルによっても変わってくるでしょう。子供が幼いうちは子供のスペースと兼ねる場合やリビングの小さな一角に設けるという考え方もあるでしょうし、子供が巣立った後は夫婦それぞれの個室を持つ、というプランも。多様な考え方があるので、モデルハウスやSUVACOの実例などを参考に、わが家の場合ならどのように使うことができるか、多角的にイメージするといいでしょう。

家族でも、始終一緒にいるわけではありません。わが家でのそれぞれの時間をどう過ごすのかを含め、改めて個のスペースの必要性を検討してみてもいいのではないでしょうか。
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岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

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