キッチンは住まいの中でも「生活感」が集約する場所です。だからこそ、収納は少しでも多い方がよいのかもしれません。縦の空間を活用できる吊戸棚は、そうしたキッチン収納に欠かせない存在。しかし、あえてそれを取り払うことで、インテリアとしてのキッチンの可能性が広がることもあります。
今回は、吊戸棚がなくても心地よく整頓され、同時にインテリアに自然と溶け込んでいるキッチン事例を集めました。
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吊戸棚に収納されていた物の行き場について考える
統一感で整然さを際立たせて魅せる
背面にプラスする、お気に入りを愛でる楽しみ
カウンターパネルを活かして、よりすっきりと
潔くハンサムなとことんオープンスタイル
壁面全体がギャラリーに、ボーダレスに仕上がるLDK
見せる収納で得られる自由と可能性
吊戸棚に収納されていた物の行き場について考える
吊戸棚をなくすことで問題となるのは、「吊戸棚に収納されるはずだった物の行き場」。
それは、使用頻度の低い鍋や食器、季節ものの調理器具など、いわゆる生活感が現れやすいものかもしれません。そういったものは、視点を変えると「その家庭らしさ」が一番現れやすい存在だったりもします。
これからご紹介していく事例は、吊戸棚がない分をオープン収納やちょっとした工夫を採用することで、家庭の個性をまるでギャラリーに飾るように見せているキッチンです。
統一感で整然さを際立たせて魅せる
エッジの効いたキッチンツールの質感に、ナチュラルなリネンや木製アイテムでニュアンスをつけた統一感のある見せる収納は、ショップディスプレイのよう。
壁面のタイルづかいやさりげない雑貨ディスプレイを活かせるのも、吊戸棚分の空間が空いているからこそ。バーにハンギングすることで、使用頻度の高いツールやリネンが、手に取りやすく収納されているのもスマートですね。
背面にプラスする、お気に入りを愛でる楽しみ
食器や酒瓶、キッチンツール…並べてみると意外と様になります。
こうした生活感のあるアイテムを吊戸棚に隠すのではなく、キッチン背面を使ってオープンに収納すれば、毎日使うお気に入りを愛でながら、無駄な動線をオフすることができます。
こだわって選んだアイテムであれば、それがいつも目に入る場所にあるだけでも、日常に潤いが増しそう。
オープンスタイルのキッチンでは、背面にお気に入りのギャラリーがあると、空間全体をパッと華やかにしてくれます。キッチンに立つ側も眺める側もワクワクできそう。
シンプルなインテリアやモノトーンのインテリアの場合は、吊戸棚がないことでどこからも目に入るであろう、この背面ギャラリーで差し色を演出してみるのもよいかもしれません。
カウンターパネルを活かして、よりすっきりと
アイランドやペニンシュラタイプのキッチンならば、こうしてカウンターパネルを活かしたオープン収納も可能です。
吊戸棚がないことによる開放感やミニマルなイメージはそのままに、見せるキッチン収納を楽しむことができます。
潔くハンサムなとことんオープンスタイル
「食器も日用品も好きなものだから、扉はいらない」。そんな住み手のこだわりから生まれた、とことんオープンなキッチンです。もちろん吊戸棚はありません。
生活感をネガティブにとらえるのではなく、「好きなもの」だから見えても困らないという心意気が素敵ですよね。まさに、ご家庭の個性がエフォートレスに映し出された、魅力的な収納がそのまま「ギャラリー」になったキッチンではないでしょうか。
こちらのケースも、スケルトンなアイランドスタイルですが、カゴやケースを組み合わせ、ほどよく見せることで収納力を高めています。
収納ケースもテイストにこだわってみたり、素材を統一してみたりすることで、お気に入りギャラリーの一部になります。
壁面全体がギャラリーに、ボーダレスに仕上がるLDK
置く物のサイズに合わせて仕切られた、LDKの収納を一手に担う造作家具が、キッチンの収納もカバーしています。
すべてオープン棚ですが、ごちゃついた感じはなく、あるものひとつひとつの佇まいが堂々としている印象です。持ち物にこだわり、厳選すれば、真に必要なものだけが洗練されていくのかもしれません。
見せる収納で得られる自由と可能性
吊戸棚がなければその分、開放感が生まれます。そこに、使い手らしさの詰まったお気に入りを見せて収納すれば、キッチン以外の場所からも視覚的に楽しめる空間にすることができます。
こちらは、そんな吊戸棚がないメリットを最大限楽しんでいるキッチン。
マルチカラーのタイルが、レトロポップなカウンターパネルとリンクするように、背面のオープン収納もカラフルにスタイリングされています。収納するものだけでなく、収納ツールの色にもこだわることで、空間全体が統一された楽しい雰囲気になっています。
吊戸棚がないからこそ、キッチンの可能性が膨らんでいくこともあります。
たしかに収納は、多ければ多いほど便利かもしれません。しかし、定番の収納スタイルが本当に最適かどうかは人それぞれ。キッチンを理想のスタイルや使いやすさに少しでも近づけるためにも、吊戸棚の有無は検討の余地があるものといえそうです。