2017/01/14更新0like3477view

著者:水沼 均

密集した狭小敷地では、2階にリビングダイニングを設けて快適な空中生活を

この記事を書いた人

水沼 均さん

建築設計の学校で長年教師を務め、大勢の生徒さんと接してまいりました。年齢、経歴、そして住まいへの思いも大変多様で、他では得られない貴重な経験ができました。その経験を生かして、豊かな住まいづくりに役立つような記事をたくさん書いていきたいと思います。

密集した住宅地では景色や陽当たり、プライバシーを得るのが困難になりがちです。そして屋内と庭とのつながりも希薄になりがちですね。そんなとき、特に狭小敷地ではリビングダイニングを2階に設けると、問題が一気に解決することがあります。が、一方でキッチンや玄関の配置が少し難しくなります。また階段の上り下りを伴うため、将来的な不安も出てきます。でももしこうした問題をうまくクリアして「空中」で快適に暮らすことができたら、住まいはいっそうすばらしいものになることでしょう。

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1階が閉鎖的になってしまっている現状

密集した住宅地を歩いていると、庭がわずかしかないにも関わらず1階にリビングダイニングを設けている家が多く見られます。せっかく大きなテラス戸がついていても景色は望めず、プライバシーを守るためにカーテンは閉ざされたままになってしまっています。

せっかくの一戸建てなのだから庭を設けて、屋内とつなげたいところではあります。しかし庭自体の面積が確保できないケースでは、屋内も閉鎖的にならざるを得ないのが現状です。

2階にリビングダイニングを設けてみる

そこで思い切って2階に主階、つまりリビングダイニングを設けてみてはどうでしょう。特に狭小敷地の場合はおすすめです。2階に主階を設けると陽当たりや景色がうんと良くなり、プライバシーも得やすくなります。

下の写真は2階にリビングダイニングを設けた住まいの例です。密集した立地ですが、窓をたくさん設けて大変明るく開放的な住まいになっています。
2階主階だと地面とのつながりは弱くなりますが、ルーフテラスやデッキを設ければすてきな屋外空間は十分作れます。また個室は1階に来ますが、LDKほどの大きな窓は不要なので、プライバシーは比較的保ちやすいと言えます。

下の写真はダイニングの脇に広いウッドデッキを設けた例です。広い空を眺めながら屋外で食事を楽しむことができます。
無二建築設計事務所「家族のびのび大空間:自然素材の家」
そして2階主階のもう1つの魅力は、天井の形が自由に作れることです。最上階ならではの自由度を生かして、高い天井や勾配天井などを自在にデザインすることができます。

下の写真はリビングの上部を屋根なりの勾配天井で作った例です。屋根の骨組みをそのままインテリア要素にして、天井の魅力をいっそう豊かなものにしています。また勾配を生かした三角形の高窓もおしゃれですね!

キッチンと玄関のあり方は要検討。2階リビングのデメリットとは

ただ主階が2階にあると、1階主階では見られなかったようなデメリットも発生します。
まずキッチンが2階に来るため、食材の搬入やゴミの搬出等が少し大変になります。

また、玄関を1階に設けるとリビングダイニングとのつながりが弱くなってしまい、来訪者の気配も伝わりづらくなります。

そこでプランを工夫して玄関を2階に設け、アプローチの屋外階段を設けてみましょう。こうするとキッチンと玄関の問題はかなり改善されます。キッチンから外に出入りしやすくなるし、玄関とリビングダイニングとのつながりも良くなります。

下の写真は2階に玄関を設けた例です。地上よりかなり高い位置に来るので、道路からの「引き」が得られて落ち着きのある玄関になっています。
また下の写真は、屋外階段から2階玄関にアプローチする例です。大規模な住宅ではありませんが、道路から玄関まで十分に「引き」が取れているため、構えがとても立派な住まいになっています。
横井 努「丘の家」
また玄関を1階に設けていても、リビングダイニングとの間を吹き抜けでつなぐと、玄関まわりの気配が2階まで伝わってくれます。

下の写真は主階が2階の住まいですが、玄関土間の上部を吹き抜けにして気配が2階に伝わりやすくしてあります。さらに土間をうんと広めにとって趣味室を兼ねているという、大変凝った作りです!
二宮博・菱谷和子「TAK(タック)」

老後の階段上り下りに不安

もう1つの問題は将来的なことです。年配になって階段の上り下りが辛くなると、2階主階の住まいはかなり不自由なものになってしまいます。

そこで初めの設計時に、将来的なリフォームも見据えて計画をしておくと良いでしょう。将来1階にも玄関を設けたり、あるいは台所も増設して2世代住宅にするという方法もあるでしょう。
このように、2階主階の住宅はメリットとデメリットがかなりはっきりと分かれた考え方です。しかしデメリットの在りかがはっきりしている分、当初の計画と将来のリフォームでかなりの部分まで克服できると言えます。後々「失敗した」と後悔してはもったいないですし、ぜひ計画当初から将来像を見据えて進めてみてください。

完成した住まいのリビングダイニングのすばらしさを思うと、2階主階はぜひご検討をおすすめしたいアイデアです!
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水沼 均さん

建築設計の学校で長年教師を務め、大勢の生徒さんと接してまいりました。年齢、経歴、そして住まいへの思いも大変多様で、他では得られない貴重な経験ができました。その経験を生かして、豊かな住まいづくりに役立つような記事をたくさん書いていきたいと思います。

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