2020/02/22更新3like9958view

著者:夏野まゆこ

【クローゼットオーガナイズ】処分した服100着以上!10年悩んだクローゼットが生まれ変わった

この記事を書いた人

夏野まゆこさん

中古マンションを購入しリノベーションしてから、家を整えることにハマり、ライフオーガナイザーとクローゼットオーガナイザーの資格を取得しました。
5歳の息子と日々格闘しつつ、10分あれば片付く家を模索中。
「好きなモノと必要なモノだけしかない家」が理想で、できるだけモノは少ないほうがいいと思いつつ、モノがあるからこそ「豊かな暮らし」も実現しているような気がして悶々としています。

家の収納で特に悩みが多いと言われるクローゼット。「洋服はたくさんあるのに着たい服がない」「とにかくごちゃごちゃしていて、クローゼットを開ける度に憂鬱な気持ちになる」「どこに何があるかわからない」などなど、思い当たる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回、クローゼットの片付けを依頼してくださったKさんも、まさにそんな悩みを抱えたひとりでした。10年もの間、気になりつつ手をつけらないままだったクローゼットが、見違えるほどスッキリと使いやすいものに大変身。その過程を全部ご紹介します。

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▽ 目次 (クリックでスクロールします)

クローゼットオーガナイズって?

この記事を書く前に、まずは自己紹介をさせてください。

夏野まゆこと申します。中古マンションを購入しリノベーションしてから、家を整えることにハマり、ライフオーガナイザーとクローゼットオーガナイザーの資格を取得しました。

5歳の息子と格闘しつつ、10分あれば片付く家を模索中。

「好きなモノと必要なモノだけしかない家」が理想で、できるだけモノは少ない方がいいとは思っていますが、モノがあるからこそ実現している「豊かな暮らし」もあることを体感し、バランスのいいモノとの付き合いかたを日々考えています。
これまでSUVACOでは、ライフオーガナイザーとして収納記事を執筆してきましたが、さらに幅広い視点で心地よい暮らしのご提案ができるように、クローゼットオーガナイザーの資格も取りました。

クローゼットオーガナイザーの仕事は、ただ単純にクローゼットを片付けるわけではありません。

使う人の生活スタイルや、片付けのクセなどに合わせた収納システムを考え、さらに毎朝のコーディネートがラクに楽しくなるようアドバイスをする、クローゼットに特化した収納のプロ。それがクローゼットオーガナイザーなのです。

クローゼットの収納が、他の収納に比べてなぜ難しいかというと、洋服をしまう場所だからです。

洋服は「社会とのつながり」「自己表現」「トレンド」「行動」「感情」など、様々な条件のもとで選ばれクローゼットにやってきます。

それらの要素がごちゃごちゃになってしまっていたり、長期に渡って見直しがされず、そのままになってしまっていたりすることで、クローゼットの中に混乱が起きてきます。
それを一人でひも解き、要・不要に分け、適正な位置に収めていく作業は、膨大な時間、労力、精神力が必要。

クローゼットオーガナイザーは、これらの作業をサポートし、客観的なアドバイスをすることによって、クローゼットの問題を解決していきます。

クローゼットオーガナイズはどういう手順?

クローゼットオーガナイズの手順は、実はとてもシンプルです。

(1)事前ヒアリングシートで抱えている問題と現状を書き出してもらう
(2)実際に家にお邪魔して現状確認し、クローゼットやそこで使用するもののサイズを計測
(3)(2)を踏まえて、プランシートの作成とゴール可視の共有
(4)プランシートを承諾してもらったら、それを元に作業を行う
(5)理想のクローゼットが完成!

さて、前述したKさんはクローゼットにどんな悩みをお持ちなのでしょうか。

ここからは実際に行った作業の様子を見ながら、クローゼットオーガナイズをより詳しく紹介していきたいと思います。

悩み多きKさんのプロフィール

Kさん
40代 女性 10年前にマンションを購入。猫と快適な日々を送っている
以前住んでいた家よりも新居のクローゼットが小さかったため、そもそも引っ越した時点でキャパオーバー。しかし、そのまま使い続けた結果クローゼットがカオス状態になってしまった。

【Kさんのクローゼットの悩み】
・ラックに服が掛かり過ぎているせいで、ハンガーにハンガーをひっかけて掛けるようになってしまい、奥の洋服が取れない
・チェストの前にモノを置いているせいで、引き出しが開かない
・着たい洋服が探せない
・衣替えがしにくい
・どうにかしたいと思いつつ、ひとりではなかなか踏み出せない日々が続いている
事前に書いていただくヒアリングシートでは、収納に対する考え方も確認します。Kさんのシートはこんな感じでした。
忙しく仕事をされている方に共通する問題は「時間がない」ということ。

時間がないから見直せない。時間がないからつい楽な方法を選んでしまう。その結果、部屋が散らかってしまったり、元に戻すことさえ億劫になってしまったりするケースが多いようです。

「リバウンドしてしまう」「元に戻すのが苦手」といった場合、実は片付けができないのではなく、そもそも収納のシステム自体が合っていないから、ということが多いです。

Kさんも片付けに対して苦手意識があるようですが、もしかするとシステムができていないだけかもしれません。

実際に使っているのは10%!? クローゼットの現状

ゆったりとしたリビングと落ち着いたインテリアがとても素敵なKさんのお家。一見すると片付けが苦手な人の部屋には見えません。やはり片付けが苦手なのではなく、「クローゼットの中にあるモノの量が、管理できる量を超えてしまっているのかな?」といった印象です。

早速問題のクローゼットを拝見してみましょう。
ビフォーのクローゼット。モノがぎっしりと詰め込まれている

ビフォーのクローゼット。モノがぎっしりと詰め込まれている

洋服やさまざまなモノが詰め込まれているのがわかりますね。どこに問題があるのかもう少し細かく見ていきます。
(1)畳まれた服が積みあがった状態で、びっしり詰まっている。(奥に何が入っているかわからない)

(2)日用品、不用品が置かれていてチェストの引き出しが開かない(引き出しの中に何が入っているかわからない)

(3)毛布、ベッドカバーの替えを置いているが、使っていないものもある
(4)書類、不用品、バッグなどが隙間に詰め込まれている (奥に何が入っているかわからない)

(5)水着が入っていること以外は、何が入っているのかわからない

ラックにかかっている洋服も取れないため、普段着ているのは正面向きにハンガー掛けしているものだけ。クローゼットのほとんどが使用できていない状態です。

気持ちを上げてもらう!ゴール(理想のクローゼット)を可視化して共有

Kさんのクローゼットを現状確認したのち、制作したプランシートがこちらです。
理想のクローゼットを可視化したプランシート

理想のクローゼットを可視化したプランシート

理想のクローゼットを可視化したプランシート

理想のクローゼットを可視化したプランシート

今回は手持ちの収納ケースなど、すでにあるものを利用するので、買い足すものは少なめ。

ポイントは、「減らす・分ける・使用頻度を意識する」の3つ。
「どこに」、「何が」、「どれくらいあるのか」をいつでも把握できる状態にすることが理想です。
この状態をキープできれば、今後、買い物をする時の意識にも大きく変化が生まれます。

そして、一番大事なのは、このゴールをKさんと一緒に共有すること。実際にクローゼットを使用するのはKさんなので、「Kさんにとって理想のクローゼット」でなくては意味がないのです。

いざ、作業! まずは「クローゼットからすべてを出す」→「要・不要に分ける」

収納を見直す基本のプロセスは
「出す」→「要・不要に分ける」→「カテゴリーに分ける」→「適正な位置に戻す」

今回は下記のような4象限マトリックスを使ってKさんに仕分けをお願いしました。
「要・不要に分ける」ための4象限マトリックス

「要・不要に分ける」ための4象限マトリックス

好きで使っている→残す
好きだけど使っていない→検討
好きじゃないけど使っている→検討
好きじゃないし使っていない→処分

「好きだけど使っていない服」は、似合わなくなった・サイズが合わなくなった・思い入れがある、など「今の自分」にとって本当に必要な服か、クローゼットに置いておく必要があるかの検討が必要です。

「好きではないけど使っている服」は、礼服やスーツなど、好き嫌いとは別に必要な服。ただ、これも持っている量や、ライフスタイルの変化によっては減らせるケースがあるので見直していきます。
まずはクローゼットからどんどん洋服を出し、1枚ずつKさんに仕分けしてもらい、上記4つのエリアに分けたシートの上に置いていきます。

Kさんは今回のオーガナイズで使っていない服は処分する!と決意されていたので、仕分けのスピードが早い!

この仕分けの重要なポイントは「迷わないこと」。

ひとつの洋服に10秒以上時間をかけないようにすることがとても大事。迷ったらとりあえず保留にして、作業を進めます。

一つひとつの洋服に時間をかけると、枚数が多い場合に時間がかかってしまいますし、迷わず作業を進めることで、要・不要の判断力がついてくるからです。「さっきは迷ったけど、あとで見直したら判断できた」ということもよくあるケースです。

Kさんが実際に仕分けている様子がこちら。
4象限に沿って、大量の洋服を仕分けている

4象限に沿って、大量の洋服を仕分けている

手前左側が処分する服。圧倒的にボリュームがあるのがわかります。

クローゼットの奥にあったものほど、Kさんの記憶から忘れられている服が多く、作業中も「そういえばこんなの持ってた」というセリフを何度か耳にしました。

印象深かったのが、クローゼットの奥から発掘された服のほとんどが、クリーニングから戻ってきてビニールがかかったままの状態だったこと。

「この服、着たくならなかったんですか?」と聞いてみると、「仕事で必要だったから買った服がほとんどなので、無くても困らなかった」との答え。

「好きだから」ではなく「必要だったから」買った服は、思い入れがないため、何年もラックにかかったままで放置されていたのです。

転職したことで、その服たちも既に着る機会をなくしており、すべて処分となりました。

そして、服以外でたくさんラックに掛かっていたのが、こちら。
大量に出てきたハンガーとビニールたち

大量に出てきたハンガーとビニールたち

クリーニング店のハンガーとカバー用ビニールです。

クリーニングから戻ってきた服をそのままラックに掛け、洋服だけを取り出してしまうので、ハンガーが取り残されてそのままに。これがなんと20個以上もラックを占領していました。

しかし、Kさんにハンガーを残している自覚はないのです。

これはあくまでも、Kさんの行動の“クセ”が積み重なった結果。

このハンガーは一例ですが、この他にも、自分では気付かないうちに増やしてしまっているもの、実は結構あるんです。
ひたすら仕分けをしていくこと3時間。すべての洋服を出し切ったクローゼットは空っぽになりました。

「クローゼット奥の壁を見たのは引っ越ししてきた以来です」
というKさんの言葉にびっくりしましたが、クローゼットの奥が見えてない人、意外と多いのかもしれません。

仕分け作業の結果、リサイクルに出した洋服80着、処分した服やゴミは70リットルのゴミ袋5つ分にもなりました。
処分する服やゴミがこんなに!

処分する服やゴミがこんなに!

次は、「カテゴリーに分ける」→「適正な位置に戻す」

ここまでで、「出す」→「要・不要に分ける」という作業が終わりました。

次は残した服を「カテゴリーに分ける」作業です。

このカテゴリー分けも、使う人のライフスタイルによって、使いやすいカテゴリーパターンが異なります。

Kさんの場合、仕事とプライベートで着る服を特に分けていないとのことだったので、以下のようにカテゴリーを分けました。

【外出着】
・トップス(オンシーズン/オフシーズン)
・ボトムス

【部屋着】
・トップス(半袖/長袖)
・ボトムス 

【その他】
・旅行用(水着、ワンピースなど)

このカテゴリー分けも、クローゼットを乱さない大事なポイント。
ひとつの引き出しに対してひとつのカテゴリーのものだけを収納すると、探すのも戻すのも楽になりますし、自分が何をどれくらい持っているかを把握しやすくなります。

では、カテゴリーごとに収納していきましょう。
トップスの引き出し

トップスの引き出し

トップスの引き出し。この引き出しは奥行きがあるタイプなので、手前によく使う服(1軍)奥は時々使う服(2軍)を配置することで出し入れのストレスが軽減できます。
部屋着(半袖)の引き出し

部屋着(半袖)の引き出し

部屋着(半袖)の引き出し。同じ時期に着るキャミソールも一緒に入れていますが、小さくてたたみにくいキャミソールは仕切り板を使って収納します。

出し入れがしやすい、量の管理がしやすい、色のバランスがわかりやすいなどの理由から、靴下やストッキング、下着類などの小さな衣類は仕切る収納がおススメです。

ちなみにこの仕切り板は、100均で購入することができます。

モノの量は1/3以下に 100%使いこなせるクローゼットの完成!

すべての服を適正な位置に戻したら、全ての作業は終了です。
Kさんのクローゼットがどうなったかというと……?
アフターのクローゼット。こんなにすき間が生まれた!

アフターのクローゼット。こんなにすき間が生まれた!

中段はほぼ空いた状態に。

春夏のブラウスなどはここにかければシワにもなりません。Kさんの悩みだった“衣替え”自体、する必要がなくなりました。
アフターのクローゼット

アフターのクローゼット

ラックに掛けているのは、コートと通年着られるブラウス、カーディガンなど。上段の白いケースには、使用頻度の低い日用品のストックや、猫のシーツなどをまとめています。

どれくらい変わったのか、ビフォーアフターで見比べてみましょう。
クローゼットのビフォーアフター

クローゼットのビフォーアフター

クローゼットのビフォーアフター

クローゼットのビフォーアフター

ラックにハンガーが掛からないため、ハンガーにハンガーをひっかけていた状態のクローゼットに、ラック自体が空いてしまうほどの余裕ができました。

何が入っているか把握できていなかった引き出しも、カテゴリごとに収納することで、どこに何があるのか一目でわかるように。

Kさんのクローゼットの悩みは、これですべて解消されました。

Kさんの感想 「もう一度おしゃれを楽しみたくなった」

作業終了後、Kさんからこんなメールをいただきました。

「前に住んでいた家よりも今の家の収納が小さかったため、クローゼットは引越し直後から満杯でした。ひとりで片づけたら、1週間張り付いて作業をしても、片付かなかったと思います。

クローゼットオーガナイズの作業中は、引き出しを使いやすく仕切ることや、引き出しの高さにあわせた服の畳み方や使い勝手の良い配置など、目から鱗のことばかりでした。

無作為に3色ほどあったハンガーを、季節ごとに色分けして服を掛けるアイデアも、きれいでわかりやすく、良かったです。

今までにないほど使いやすく、多少服が増えても安心なスペースができたクローゼット。最近は洋服に興味が持てないと思っていましたが、入れる場所がないから買いたくなかったんだなとわかりました。

売った洋服のお金で、たくさん着たくなるような新しい服を買いたいと思います。
今のスッキリ感は保ちたいのでむやみに買いませんが(笑)。

今回いただいたアドバイスを活かして、今後もこの状態をキープしていきたいです。
夏野さん、どうもありがとうございました!」

着たい服を、クローゼットの一番いい場所に

Kさんの「もう一度、おしゃれを楽しみたくなった」という言葉はとても印象に残りました。

本来、クローゼットはおしゃれを楽しむための場所。クローゼットを見て、毎朝ため息をつくよりも、えいや!と片付けてみると、きっと違った世界が見えると思います。

ご紹介した通り、クローゼットオーガナイズの手順はとてもシンプルなので、多少手間はかかりますが、自分だけで行うことも、もちろん可能です。

その時、忘れないでいただきたいことは、仕分けの際に「着たい服」「必要な服」だけ選ぶこと。

つい「いらないもの」から見つけようとしがちですが、その選び方では「もったいないから」「まだ着れるから」という理由で、本当は必要ない服まで残してしまうからです。

そして、今着たい服を選んだら、それらをクローゼットの中で一番いい場所に置いてください。さっと取り出せて、すぐに着られるようにしておくことも忘れずに。

「やっぱりひとりでは出来そうもない」「客観的なアドバイスもほしい」という方は、クローゼットオーガナイザーの力を借りるという選択肢もあります。

「好き」「使う」「着やすい」だけで構成された、今の自分にとって1軍だけのクローゼットは、「もっとこうなりたい」という一歩先の自分へ導いてくれると思います。

そろそろ季節の変わり目、まずは衣替えのタイミングから、クローゼットの見直しをしてみてくださいね。

クローゼットを整える。衣替えはそのチャンスです。(アウター・ボトムス編)
稼働率100%のクローゼットをつくる(トップス編)
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夏野まゆこさん

中古マンションを購入しリノベーションしてから、家を整えることにハマり、ライフオーガナイザーとクローゼットオーガナイザーの資格を取得しました。
5歳の息子と日々格闘しつつ、10分あれば片付く家を模索中。
「好きなモノと必要なモノだけしかない家」が理想で、できるだけモノは少ないほうがいいと思いつつ、モノがあるからこそ「豊かな暮らし」も実現しているような気がして悶々としています。

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