レゴで作ったかのよう！ロンドンで見つけた心くすぐられる団地

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ロンドンに暮らす編集者／Webプロデューサー。各媒体を通して現地の旬の情報を発信しています。

ロンドンの中心地、ウェストミンスター近くのピムリコという場所にリリントン・ガーデンズ・エステートという団地がある。国の指定建造物にも名を連ねる名建築だ。赤レンガで構成されるブロックの重なりが、独特の形状を作り出し、見るものをひきつける――。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

ロンドンの団地、リリントン・ガーデンズ・エステート（Lillington Gardens Estate）

指定建造物にも登録される名建築

密集住宅だからこそ生きる、庭の機能

いかにしてコミュニティを生み出すか

ロンドンの団地、リリントン・ガーデンズ・エステート（Lillington Gardens Estate）

最近、ロンドンの団地めぐりが面白いのである。街をぶらぶらしていても、団地を見るやついつい気になって建物をじっくり眺めてしまう。なにがそう面白いのか。ビクトリア様式、ジョージアン様式といったおなじみのスタイルにカテゴライズされるわけでもなく、その建物らしさが感じられるからかもしれない。古い建物の並ぶロンドンにあって、団地はどこも比較的新しく、時に目を引く。今回紹介するリリントン・ガーデンズ・エステートもその一つだ。

最寄りは、ロンドンの中心部、ウェストミンスター区の一角にあるピムリコ駅だ。世界的にも有名な美術館、テート・ブリテンも近い。比較的静かなエリアで、その独特のデザインからこの団地は独特の雰囲気を放っている。

ピムリコ駅前の風景。美術館のテート・ブリテンまで徒歩10分。

ピムリコ駅構内もアートな雰囲気

指定建造物にも登録される名建築

「レゴでつくったような建物だな」。レンガでできる模様以外はいっさいの装飾要素がなく、初めて見たときにそう感じた。見方によってはとてもシンプル。全体の完成が1980年と比較的若い建物ながら国の指定建造物でもあるListied Buidingにも登録されていて、建築的な評価も高い。（指定建造物については別記事【自分の家なのに、リフォームするときは許可が必要!? イギリスの指定建造物「Listed Building」】をご参照ください）

論より証拠、というわけで、ざっと建物の様子をご覧いただきたい。

密集住宅だからこそ生きる、庭の機能

8階建て。この団地はローライズ、すなわち低層建築として位置づけられている。同時に敷地当たりの住民の数も比較的多く、密集住宅としての側面もある。いっぽう、にもかかわらずそれほど窮屈な感じを与えないのはなぜか。それには団地の名前にも入っている「ガーデンズ」、すなわち庭の存在がしていることは間違いないだろう。

しっかりと手入れされた、まるで公園のような庭だ。ここでは子供たちも自由に遊ぶことができる。

木漏れ日も美しい

ガーデニング大国のイギリスらしく、きれいに剪定されている

いかにしてコミュニティを生み出すか

通りに面した一階には、パブにレストラン、クリーニング店や日用雑貨を売るお店までが軒を連ねる。ご近所さん同士がひなたぼっこしながらビール片手におしゃべりをしている風景――。なかなかにイギリスらしく、団地内のコミュニティ形成の一端を見た気がした。

敷地の一階に見つけたパブ。それにしても「ピムリコのプライド」ってそのままやな！

500世帯以上が住む、団地という凝縮した空間。事実、このリリントン・ガーデンズ・エステートの「人口密度」はかなり高いとされている。一方で公園やお店などが開放感を生み出してもいる。昼下がり、一階のパブで語り合うご近所さん同士の姿をみて、このコミュニティの豊かさを感じた。この適度な距離感は、さながらシェアハウス（同じ土地に住んでいる一体感）とマンション（仕切られた空間としての機能）のちょうど中間のようなものではないか。ほほえましく思いながら、この場所を後にした。