2017/02/18更新0like9331viewYUICHI ISHINO

これぞ「英国!」なデザインの取り入れ方~ヴィクトリアンからアーツアンドクラフツまで

今回は1800年代のヴィクトリア女王の時代から1900年頃までのイギリスのミドルクラスの「住まい」を見ていきたいと思います。そこには現在もよく見るデザインの数々が。当時はどのように部屋に取り入れていたのでしょうか。

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1800年から1900年までのイギリスの中流階級の家って?

Geffrye Museumの正面

Geffrye Museumの正面

イギリスのミドルクラスの住まいを振り返ることができるジェフリー博物館(Geffrye Museum)。 今回は、その博物館の展示を参考に、1800年代のヴィクトリア女王の時代から1900年頃のエドワード7世の時代までを見ていきたいと思います。意外に思うかもしれませんが、当時のイギリスの「中流階級」は、われわれの思い描くような「庶民」のイメージとはまったく異なります。貴族をただスケールダウンさせただけとも言える彼らの独特な暮らしぶりとは――。

小説『ジェーン・エア』の時代の部屋

さて、個人の勝手なイメージなのですが、イギリス文化といえばまずヴィクトリア朝時代(1837年~1901)のそれを思い浮かべます。大英帝国の絶頂を謳歌していた頃のことです(一方、日本は江戸時代の終わりから明治にかけての激動の時代です)。イギリスの有名な小説『ジェーン・エア』もこのころに書かれたもので(1847年)何度も何度も映画やドラマになっていますが、なんというか、イギリス人ってこの時代が好きな人が多い印象なんですよね。

デザイン用語ではこのころの建物のスタイルをヴィクトリア様式と言いますが、これはバロックやゴシックなどの昔の様式に、産業革命後のイギリスらしく鉄やガラスの工芸技術をうまく折衷させたデザインが特徴。きわめて独特なスタイルを確立しました。前述したように、当時を舞台にしたドラマのセットなんかを見ていると、部屋の様子がイギリスにしては(笑)にぎやかというか、装飾的でやや気取ったところを感じさせます。
『ジェーン・エア』の世界観?

『ジェーン・エア』の世界観?

写真は1870年のミドルクラスの部屋が想定されています。家族のくつろぎのスペースだけでなく、子供専用の部屋、ベビーシッターの部屋、使用人の仕事場にベッドルームまであるのが標準的だったようです。ぼくからしたら、もう「それって中流階級じゃなくて貴族やん!」という感じなのですが、上には上がいるのがイギリス。貴族なんかはお城に住んでいたりするのが普通です(日本でも人気の『ダウントン・アビー』の世界観)。

部屋にはピアノが見えます。説明によるとゲストを呼んだ日などは家族みんなでピアノの前に集まり、演奏しながら一緒に歌ったりしたようです。しつこいようですが、その感じ、「貴族やん!」。

この時代になると、産業革命以降、テクノロジーの進歩もあって、さまざまなものが中流階級でも手に入るようになりました。壁紙、タイル、ガラス工芸に立派な家具など、製品の選択肢も随分と広がったようです。事実、展示にも、精巧なつくりのカーテンやカーペットに手の込んだオーナメント、リッチに装飾された家具、大きな鏡、そして絵画など、絢爛豪華とまではいきませんが、目がくらくらするには十分な雰囲気のあるインテリアの数々が並んでいます。

1890年頃の部屋――芸術的なデザインが花開く

次の写真は1890年頃の部屋を再現したものです。壁紙やタイル、絨毯の模様などデコレーションの芸術性が、ヴィクトリア時代の中でもっともピークに達していた時期だといわれています。実際に、写真をのぞき込んでいただければ一目瞭然ですが、非常に細かく、そして美しいパターンが見て取れます。個人的にはチカチカしてやや過剰かなと思えなくもないですが、クロースアップで見てみるとその芸術性にほれぼれとしてしまいますね。
ひとつひとつのパターンが美しい

ひとつひとつのパターンが美しい

このあたりのトレンドは、作家のオスカー・ワイルドらの世界観と密接に関係があります。いわゆる耽美主義(英語ではAesthetic Movementといいます)の隆盛で、先に述べた芸術的なデコレーションの数々はこの影響を強く受けたものといえます。

この部屋で目を引くのは何といっても暖炉ではないでしょうか。きわめて装飾的なタイルで囲まれているほか、かなり「趣味よく」厳選された陶器が完璧な調和のもとにディスプレイされています(なんだか、仰々しい表現ですが、しかし、それぐらいこの時代のインテリアはいい意味で仰々しいと思っていますw)。なお、余談ですが、カーテンやラグなどは中東や東アジアから輸入されてきたものが多かったようです。

1910年頃の部屋――アーツアンドクラフツ運動と装飾

最後に1910年の部屋の風景を。写真はいわゆるエドワーディアン様式といわれるものの代表です。1880年代以降、徐々にトレンドとなっていったアーツアンドクラフツ運動の影響も色濃く出ていますね。アーツアンドクラフツは産業革命後の大量生産時代に対する反省から始まった「古きよき職人による工芸製品」への回帰運動。部屋のインテリアにも見られように、シンプルで力強い印象のデザインが特徴です。実は私の友人の家のつくりもこの典型で、ドアのガラスの装飾なんかはまさにそっくり(写真掲載できず、すみません)。調べると、ロンドンの北の方にはこういったエドワーディアンの様式が多いといった記述もみられました。この時代になってくると、デザインもなんとなく親近感がわいてきます。
シンプルでも存在感のあるインテリアの数々

シンプルでも存在感のあるインテリアの数々

ちなみに、この頃には電気もしっかり通っていて、水道から温水を出すことも可能だったそう。また、大きな部屋の機能も、前時代の「Drawing Room(応接間)」から、「Living Room」や「Sitting Room」などへと見直されてきたそうで、こうしたライフスタイルのシフトから住まいの表情も少しずつ変容していったようです。

といったわけで、駆け足で1800年代から1900年頃までのイギリスのミドルクラスの部屋の様子を見てきました。現在の視点で見るとかなりアンティークな感じになってしまうので、なかなかこうした部屋の再現は難しいかもしれませんが、インテリアのワンポイント・アクセントで取り入れてみるのも面白いと感じました。余談ですが、うちは親戚のおばさんがウィリアム・モリス大好きなので、アーツアンドクラフツっぽいパターンの包み紙でよくプレゼントをラッピングしています(笑)
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この記事を書いた人

YUICHI ISHINOさん

ロンドンに暮らす編集者/Webプロデューサー。各媒体を通して現地の旬の情報を発信しています。

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