2017/02/02更新0like6092viewYUICHI ISHINO

「狭い」「古い」も見事に解決!? 現代イギリスの住まいから学んだ部屋作りのコツ

戦前から戦後にかけてのイギリス一般家庭の住宅とは? 英国400年分の「住まい」の歴史がわかるジェフリー博物館(Geffrye museum)でその特徴を勉強してきました。そこで得た気づきは、現代のレイアウトやリノベーションに生かせるかもしれません。

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イギリスの普通の「住まい」が分かるジェフリー博物館

イギリス中流階級の「住宅の歴史」が一気に振り返ることができるジェフリー博物館(Geffrye museum)。1600年から2000年までの特徴的な部屋の様子が時代ごとに展示されていて、訪れるものを飽きさせません。今回は戦前から現在にいたるまで、一般的な英国の家庭の様子とはどういうものなのか、同博物館の展示を参考に振り返ってみたいと思います。
ジェフリー博物館の前庭

ジェフリー博物館の前庭

そもそもイギリスの「中流階級」ってなんだ?

イギリスは歴史的に階級社会で、いまだそうした文化が根強く残る、とよく言われます。ぼく自身この国に住んでいてそれを否定するものではないですが、よくある誤解だけはといておきたいなと思います。それは、現在、「階級」が制度として存在しているのではなく、ただ「意識として残っている」ものだということです。もちろんそこに差別はなく、そもそも驕りや卑下がついてまわるものでもない(ただし、この国のコメディではミドルクラスがワーキングクラスを、あるいはワーキングクラスがミドルクラスのことを皮肉ることは多いです。それはBBCでも)。

自分の「帰る場所」というか、それぞれがそれぞれに誇りをもってその階級に属している、ぼく自身は日々いろんな人たちと接する中で、そんな印象を受けています。そういうわけで、ここでいう「中流階級」という定義が余計にあいまいなものになるのですが、ジェフリー博物館(Geffrye museum)の展示をぼくの感覚でみると、「上質な暮らしを体現している層の部屋」ということになります。お金のあるなしは本質的に階級とは関係ないものの、「多少生活に余裕があって趣味のいい家庭」ということになるでしょうか。

ただしそれも「戦後以降」に限ってのことで、それより少し前まではほとんど貴族をスケールダウンさせただけの層ともいえるので、余計に話はややこしくなりますね。なんだかすみません……。

戦前、1935年ごろの部屋

細かいことはさておき、戦前から現在にかけて、趣味のいい(笑)イギリスの部屋の風景をのぞいていきましょう。

写真は1935年頃のリビングルーム。「生活に余裕があり、かつ子供がいないカップル」を想定した展示となっています。ちなみに、これは郊外の一戸建てではなく、大都市内にあるフラットの一部屋がイメージされています(※フラットとは日本でいうところの大きめのアパートやマンションです。余談ですが、イギリスで「うちの実家はマンション住まいで」なんていうと相手のリアクションがちょっと変わります。イギリス英語で「マンション」は「大邸宅」を意味します)。電話やレコードプレーヤーなど近代的な電化製品が揃えられているのが見えますが、セントラルヒーティングや、温水システムなどが完備されるのもこのころのことです。
1935年ごろのリビングルームの様子

1935年ごろのリビングルームの様子

建築のスタイルはヴィクトリア調やジョージアン調からモダンに様変わりし、シンプルな印象を与えます。ホリゾンタルの直線が小気味よく、部屋の様子を特徴づけていますよね。フロアは、寄せ木細工の床、もしくはプレーンなカーペットで敷き詰められているのが一般的だったようです。インテリアの色調はペールな明るめがトレンド、窓枠はしっかりとメタルフレームで、これもモダンを体現したものでした。また、天井が比較的低いこともこの時代によく見られた特徴です。

戦後、1965年ごろの部屋

次に戦後。1965年の部屋の様子です。写真は、小さな土地に建てられた2~3階の一戸建てのリビングをイメージして展示されたものです。狭い空間を最大限にいかすため、部屋をわけることなくリビングに最大のスペースを配分。家具などで統一感を出し、サイドボードを有効活用して部屋を区切ることもあったようです。セントラルヒーティングの設備の関係で、階段は部屋の角に置かれることが一般的でした。
1965年ごろのリビングルームの様子

1965年ごろのリビングルームの様子

なお、このころになると中流下級で使用人を雇うことはほとんどなくなります。そのため、料理をしながら子供の様子が見られるようにキッチンが併設されるなど、部屋のアレンジがより現代的になってくるのも特徴です(個人的にはこれ以降の「中流階級」のイメージが「一般的な家庭」の定義にふさわしい気がします)。インテリアは北欧デザインのものが人気で、壁や天井は白くペイントするのがトレンド。ちなみに、余談ですが、庭いじりが好きなイギリス人ですから、このころの中流階級の一戸建てでは庭つきがあたりまえだったようです。

1998年ごろの部屋

最後に1990年代後半の部屋へ。

1970年代から80年代にかけて商業施設や、インダストリアルビルを住まいとして利用することが流行しました。とりわけロンドンのデッキエリアや金融ビルが立ち並ぶシティと呼ばれる地区でこうしたムーブメントが顕著に。以降、テムズ河岸の倉庫も次々に住宅へとリノベートされていきました。今では東ロンドンの人気地区、ショーディッチに現れた「ロフトスタイル」の部屋などはこうした時代を象徴するものです。

写真はそうした時代を経た1998年、いわゆるDINKSの家庭をイメージしています。ミッドセンチュリーの家具と現代的なインテリアのミックスが印象的で、ややミニマリスト的なアプローチも感じさせますね。リビングにキッチンを連ねて設計されているのも特徴となっています。(ちなみにテレビはソニーでした!)
1998年ごろのリビングルームの様子(それでも今から約20年前!)

1998年ごろのリビングルームの様子(それでも今から約20年前!)

以上、駆け足で見ていきましたが、わずか50年余りの間にイギリスでもリビングの風景が様変わりしていきました。個人的には、狭い空間でも上手に生かそうとしている点、それからリノベートなど積極的に古いものを生かそうとしている点がとても勉強になった――。ぼくの住むロンドンのフラットもとってもとっても狭いですが、「工夫次第でなんとかなるかも!」とちょっと勇気づけられました。
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この記事を書いた人

YUICHI ISHINOさん

ロンドンに暮らす編集者/Webプロデューサー。各媒体を通して現地の旬の情報を発信しています。

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