2020/06/30更新3like5158view

著者:岩間光佐子

一戸建てにベランダ・バルコニーをつくるときのポイント

この記事を書いた人

岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

一戸建ての住まいでは、ベランダやバルコニーを設けたプランは多くみられます。最近では、使い勝手を高めたり、より居心地のよい空間とすることで、もうひとつのリビング、子供の遊び場などに使用するケースも。ここでは、ベランダやバルコニーを有効活用するためのプランニングのポイントをご紹介します。

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在宅時間が長くなる暮らしでは、屋外空間の活用も重要?

在宅勤務のスタイルも多くみられるようになり、自宅で過ごす時間が長くなると、今まであまり気づかなかったこと、気にならなかったことも、困りごとのひとつとなるケースもあるようです。

SUVACOが行った「新型コロナウイルスによるライフスタイルの変化で気づいた我が家の良かった点・改善したい点」に関する調査の中で、問題点として挙がった要素の1位は「書斎スペースなど在宅ワークに適した環境の不足」、次いで「食材など備蓄スペースの不足」、「バルコニー・ベランダ・ウッドデッキなどを心地よくしたい」「感染症対策が不十分(換気・複数のトイレなど)」となっています。

【調査発表】コロナ影響で半数近くが「我が家の課題」に直面― 「在宅ワークに適した環境がない」が課題点の40%を占める

仕事とプライベート、それぞれの時間を心地よく過ごすためには、過ごし方に適した空間づくりが求められますが、屋外空間を上手に取り入れることも大切になってくるのでしょう。家族とのくつろぎの場としてだけでなく、仕事中の気分転換のスペースとして、ベランダやバルコニーを有効活用することで、家での時間も快適になるのではないでしょうか。

ベランダとバルコニーの違いとは?

一戸建ての醍醐味として、庭を活用することが挙げられますが、都市部等を中心にゆとりのある庭スペースを確保することは難しいかもしれません。庭に代わる、もしくは庭にプラスする屋外空間として多く取り入れられるのが、ベランダやバルコニーでしょう。

ベランダとは、外に張り出した屋根のあるスペースのこと。形状や広さなどにもよりますが、雨の日でも過ごすことができ、洗濯物を干しておくことも可能です。一方、バルコニーは、屋根のない開放的なスペースのこと。開放的で、外とのつながりを楽しむことができます。プランニングによっては、下の階の屋根を兼ねたルーフバルコニーを設けることも。比較的広いスペースを確保できることも多く、さまざまな使い方ができるスペースとなるでしょう。

ただ、ベランダとバルコニーの表現は、曖昧なケースもあるので、屋根の有無などは図面で確認することが大切です。

ベランダ・バルコニープランのチェックポイント

①誰が、いつ、どう過ごすのか、使用目的をイメージする
新築やリフォームの際には、家の中の間取りプランに比べ、ベランダやバルコニーをじっくり検討することは少ないかもしれません。せっかく設置されていても使い勝手が悪く、有効利用できない場合もみられます。

プランニングの際には、ベランダやバルコニーがなぜ必要なのか、使用する目的や方法などを事前に明確にしておくことが大切です。家族のくつろぎの場としたいのか、子供の遊び場としたいのか、ベランダガーデニングを楽しみたいのか、洗濯物を干すスペースとしたいのかなど新しい家での暮らしをイメージしてみること。具体的な使い方、要望を事前に設計者に伝えておくことが重要です。
②間取りプラン、住まい全体で検討を
ベランダやバルコニーだけに限りませんが、プランニングは住まい全体で検討することが基本。たとえば、お茶を飲んでくつろぐスペースとしたいのに、キッチンから遠かったり、道路や隣家が接近していたり、日当たりが悪ければ、居心地も悪く使用頻度も減ってしまうこともあるかもしれません。

また、洗濯物を干すためのスペースとしたいのに、洗濯機が設置されている洗面所から遠かったり、動線が複雑であれば使わなくなってしまうことも。子供部屋からしか出られない配置のベランダでは、利用方法も限られてしまう場合もあります。どのような使い方をするにしろ、屋内空間からのつながりや動線、環境など、使用目的に適しているか確認することがポイントです。
③室内とのつながりを重視したい
ベランダやバルコニーの利用方法として、最近多くみられるのが、お茶を飲んだり、ベランダガーデニングを楽しむなど、もうひとつのリビング、くつろぎのスペースとしたもの。室内空間とつながりを持たせた、開放的な空間づくりが増えてきています。

特に、2階にLDKを配した間取りの場合、リビングやダイニング空間と一体化させた屋外スペースを設けることで、多様な使い方ができるでしょう。広々と開け放つことができるようなスタイルの窓とすれば、ひとつのスペースとしても利用可能。室内の床と段差を抑えるようにしたり、用いる床材に統一感を持たせれば広がりのある空間も生まれます。
④室内への通風や採光は十分に配慮
ベランダやバルコニーを取り入れる際には、室内への通風や採光にも気をつけたいポイント。適した形状や建材を用いないと、室内への風通しが悪くなり、湿気が溜まってしまう場合も。また、階下の部屋に日差しが届かず、暗くなってしまうこともあります。

たとえば、風を取り込むためには、横や縦格子、スリットのある手すりとしたり、通風用の小窓を設けるなども考えられます。また、階下への採光を確保するためには、サイズや形状に配慮したり、光を通す手すり面材を選ぶ、また、床材もスリットのある素材とすることで階下への採光や縦方向の通風を確保することができるでしょう。
⑤防犯性や安全性などにも配慮して
敷地条件や周辺環境にもよりますが、ベランダやバルコニーは、防犯性も配慮しておきたいスペースです。侵入者が上ってくることが出来ないようなつくりとしておくこと。プランニングにもよりますが足がかりになるような柱を設けないタイプの方が防犯的には安心かもしれません。また、侵入者の隠れ場所とならないように気配のわかる手すり、見通しのいいデザインとすることもひとつの方法。人を感知するセンサー付きの照明の設置を検討してもいいでしょう。

また、幼いお子さんがいるご家庭では、安全面への十分な配慮も必要です。手すりの形状、床面の滑りやすさなど、設計担当者に確認しておくようにしましょう。
⑥日差しを遮るオーニングやシェードなども必要に
夏場でも快適なスペースとするためには、強い日差しを遮ることも必要でしょう。最近では、簾(すだれ)やよしずのような効果を得ることができる、外付けスクリーン(シェード)商品も豊富に揃っています。設置することで、室内温度の上昇を抑えるとともに、エアコンなどの電気使用量を低減することにもつながるアイテムです。適度に光を取り込めるので、簾やよしずのように部屋の中が暗くなることもなく、自動巻き上げで収納されるので扱いやすいのも特徴でしょう。

また、水平にせりだす日よけや雨よけであるオーニングも。季節や時間ごとの日差しに合わせ出し入れし、直射日光を調整することが可能です。生地には、雨よけのため防水加工が施されている商品もみられます。
⑦洗濯物を干すスペースとしてのポイント
ベランダやバルコニーを洗濯物干し場として利用するケースも多いでしょう。プランニングのポイントは、まず、前述したように洗濯機の置き場からの動線に配慮すること。家族構成にもよりますが、洗濯物はかなりの重さがあります。できるだけ、短く単純な動線となるように設けたいものです。また、洗濯物を取り込み、畳む場所との関係も重要。さっと取り込むことができるようなウォークインクロゼットや寝室などにつながるベランダやバルコニーがあれば作業もしやすいでしょう。

その他、洗濯作業の方法に合わせて、使い勝手を高める機器やアイテムの設置も検討したいもの。収納式の物干し竿掛けなどであれば空間を有効活用できます。スペースにゆとりがあればスロップシンクを設けても。運動靴を洗ったり、ガーデニングなどでも使い勝手がいいでしょう。

テーブルや椅子など、使い方に合わせたアイテムを

くつろぎのスペースとして利用する場合は、テーブルや椅子、作り付けのベンチなどを取り入れたいものです。アウトドア用やキャンプ用品などを上手に組み合わせてもいいでしょう。

また、夜間にも利用したいのであれば、照明器具もプランニングしておくと便利です。実用的な使い方だけでなく、外観や鉢植えをライトアップするなど、演出面を意識すれば、室内側からでも楽しむことができるでしょう。

ベランダやバルコニーは外観デザインにも大きく影響するものです。プランニングの際には、室内側からだけでなく外側からのデザインにも配慮することも大切です。窓の位置や形状、デザインなど、トータルに検討することもポイントです。
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岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

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