2018/10/21更新2like6294view

著者:SUVACO編集部

毎日がちょっと心地よくなる『あかり』のこと。これから照明を選ぶ人へ。

「心地がいいな」と思う家には、いいあかりが灯っている。
でも、心地よく感じるあかりってどういうことなのだろう。知っているようで知らない、照明のこと。

わたしたちの暮らしと共に、照明がどう変わってきたのか。わたしたちの心に、照明はどのような影響を与えるのか
。心地よい時間を過ごしたいから、照明について考えてみました。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

あかりの選び方 2018

30年くらい前、両親が家を建てたとき、照明選びは器具選びでしかありませんでした。カタログから好きなデザインの器具を選ぶだけ。部屋の広さに対して、光の量が十分か、は気にしていたとは思いますが、どんな光がその照明から放たれるのかまではきっと考えていなかったと思います。

そして、20年ほど前になるとカタログの内容は器具を見るだけでなく、その照明がどんな演出をするのか、という空間提案へと変わっていきました。部屋という空間の中に光が溶け込むような照明が注目されてきたのです。
©コイズミ照明株式会社

©コイズミ照明株式会社

さらにLEDが登場すると、照明をとりまく世界はガラリと変わります。より自然に近い光を照明によって再現することが可能になり、わたしたちは生活のシーンに合わせて光の色と強さを選べるようになりました。

住宅のデザインも多様化し、インテリアも30年前にくらべると随分洗練されてきた今、照明選びは器具選びから、どんな空間にどう住まいたいか、ということを選ぶ。そんなところにまで影響を与えるようになりました。
森清敏/川村奈津子「富津岬の別荘」

空間を光でメイクする。という考え方

例えば、白くて四角い部屋があったとして、そこを「広い・狭い」「温かい・冷たい」「落ち着く・元気がでる」という印象をつけるのは、照明だけで叶います。それくらい、照明がわたしたちに及ぼす影響は強いのです。それはまるで、女性がメイクによって、印象をガラリと変えるよう。
K-ATELIER「月栖の家(つきすみのいえ)~プライバシーと街並みの両立~」
LEDによって色と光の強さを自由に調整できるようになった今、照明は自由自在に空間を演出できます。「シャープさ」「穏やかさ」「華やかさ」「あたたかさ」。
照明は、まさにシーンをつくるものになりました。

太陽に学ぶ、心地よい照明のルール

では実際に、どういうシーンにどんな照明があると、わたしたちは心地よさを感じるのでしょうか。

そのヒントは、太陽の光にありました。太陽と共に生活するリズムが身についていることを「サーガディアンリズム」といいますが、人ははるか昔から、この「サーガディアンリズム」が身についているため、昼と夜を作り出す太陽の光に近い光(人工光)の中にいると心地よさを感じやすいのです。
日中、太陽の光は高い位置から白い光を放ちます。こうした光は、わたしたちの集中力を高め、いきいきと活動的にさせます。オフィスやジムなど活動的に過ごす場所に白い光が使われているのはこのためです。

反対に、朝夕の低い位置にある黄赤の光は、くつろぎの光。ろうそくに灯る炎を思わせるその色は、ゆっくり心に染みわたり、わたしたちに落ち着きを与えてくれます。レストランやエステサロンなどでは、リラックスしてすごしてほしいという思いからこうした照明を選んでいます。
つまり、心地よい照明を考えるとき、一番大事なのは「その空間でどの時間にどう過ごしたいか」ということ。
たとえば、仕事を終えて帰宅する。リラックスして過ごしたいリビングの照明は、シーリングライトで全てを煌々と照らすよりも、黄赤のあたたかみのある照明をいくつか灯すほうが心が静まり、リラックス効果も高まります。
松井哲哉 / 村田知子「竹包隠居 tikuhouinkyo」
日本の住宅はついつい天井からの光で部屋を明るくしてしまいがちですが、天井からの照明は最低限にして、フロアランプやデスクランプで必要な光を補う。欧米では当たり前になっているこのスタイルを取り入れてみると、夜の過ごし方が変わってきそうです。

これからの照明を想う

今回、照明の記事を書くにあたり、照明の老舗である「コイズミ照明株式会社」の東京ショールームにお邪魔させていただきました。
お話をうかがったのは、館長の中村美絵さんと”あかりエバンジェリスト”として活躍されている小篭(こかご)彩子さんです。

小篭さん 
「あかりエバンジェリストって聞き慣れないかと思うのですが、エバンジェリストというのは、伝道師という意味です。日本の住宅はまだまだ『明るいのがいい』という慣習が根強くあり、照明に対する意識が高いとは言えません。でも、視覚から入る情報は全体の85%を占めると言われているように、わたしたちの暮らしの中で、照明が及ぼす影響は思っているよりもずっと高いのです。」
「商業施設などでは、照明計画は当然のように考えられますが、住宅はまだまだ。もっとたくさんの人に照明で暮らしや空間が、豊かに満たされたものになるということを知ってもらいたくて、あかりエバンジェリストとして活動しています。」
ショールームでは様々な光を体感することができます。あかりエバンジェリストの小篭さん。

ショールームでは様々な光を体感することができます。あかりエバンジェリストの小篭さん。

中村さん
「照明はとても奥深く、使用感も含めて理想的な照明計画を立てるのは非常に難しいです。ショールームでは、わかりやすく照明を学んで、体感してもらえるように『あかり教室』というものを開催しています。誰でも気軽に参加していただけるので、興味のある方にはぜひショールームまで足を運んでいただきたいと思います。」
あかり教室では、実際の家と同じ感覚で光の感じ方を体験できます。百聞は一見にしかず。見ればわかります。

あかり教室では、実際の家と同じ感覚で光の感じ方を体験できます。百聞は一見にしかず。見ればわかります。

説明をしてくださった館長の中村さん。照明についてわかりやすく丁寧に教えてくださいます。

説明をしてくださった館長の中村さん。照明についてわかりやすく丁寧に教えてくださいます。

「照明は天井や壁の色、素材によっても光の見え方が変わります。また印象的に見える光の当て方も変わってきます。ショールームでは、図面から具体的な器具にまで落とし込み、取り付ける位置などもご提案しています。照明にたいして疑問があれば、いつでも気軽に相談していただければと思います。」

【取材協力】
コイズミ照明株式会社
https://www.koizumi-lt.co.jp/

■東京ショールーム

東京都千代田区神田佐久間町3丁目12 4F
TEL/03-5687-0081
開館時間/AM10:00~PM5:30
休館日/火・水曜日(但し祝日の場合は営業)、年末年始、夏期休暇

※ご見学やご相談には、予約が必要な施設もございます。ご確認のうえ、ご来館ください。
※ショールームは、大阪・名古屋・福岡にもございます。

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